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星景写真家・北山輝泰の日本星空名所案内
第9回 中部編~ 05


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Photo & Text:北山輝泰


TOPIX

新年あけましておめでとうございます。12月下旬より寒い日が続きます。さて、2022年最初の更新は、星景写真家・北山輝泰氏の「日本星空名所案内」を更新しました。今回は伊豆半島で人気の爪木崎の撮影ポイントをご紹介いたします。
by 編集部

<本記事は 2022 年 1 月現在の情報です。ご覧いただく時期により記事内容と異なる場合がございます。>

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皆さん、明けましておめでとうございます。星景写真家の北山です。今年も日本星空名所案内をどうぞよろしくお願いいたします。さて、新年1回目の更新は、中部編の vol.5 ということで、静岡県の撮影スポットをご紹介します。

Index

1.静岡県の撮影スポット

今回ご紹介をするのは、静岡県伊豆半島の南端にある「爪木崎」です。爪木崎と言えば灯台が有名ですが、突き出た岬の端にあり、空の抜けが非常に良いため、星空撮影との相性も抜群です。灯台が位置する方角は南東になるため、今の季節は冬の星座たちと一緒に撮影をしたり、春から夏の季節は昇る天の川を銀河と一緒に撮影することもできます。

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2.爪木崎の撮影ポイント(1)

爪木崎に着いたら、まず灯台と一緒に星空を撮影してみましょう。駐車場から灯台へつながる道は大きく二通りありますが、どちらも舗装された道を歩いていくのでスニーカーがあれば十分でしょう。灯台は駐車場よりも高い位置にあるため、どちらのルートでも階段を登ることになります。徒歩 10 分程度歩けば到着です。

写真1

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灯台へと繋がる道は、展開した三脚を横に三本並べると人が通れなくなるほどの幅しかありません。場所を占有してしまうと他の方が撮影できないといった状況になりますので、タイムラプス用の素材撮影をする際などは、混み合わない平日の夜を狙うなどした方がいいでしょう。また、灯台近くで撮影する場合は、なるべく三脚を低くして、邪魔にならないようにするなど配慮が必要です。前述しましたが、灯台のある方向は南東になるため、昇る星々と一緒に撮影していくことになります。

写真2
カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8  シャッター速度:15.0秒 ISO感度3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 
シャッター速度:15.0秒 ISO感度3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

爪木崎灯台と絡める星空としては、今の季節は冬の星座と一緒に撮影するのが良いでしょう。1月上旬~中旬は、21 時前後に撮影するとこのような写真を撮ることができます。2月になると 19 時前後になり、3月からは日の入の時間と重なってきてしまうため、できるなら2月中旬ごろまでに撮影するのが良いでしょう。

写真3
カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 プロソフトンA使用 シャッター速度:20.0秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯 

カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 プロソフトンA使用
シャッター速度:20.0秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯 

2月下旬からは天の川銀河の中心方向と一緒に撮影することもできます。こちらも撮影できるタイミングは月によって変わってきますので、星空をシミュレーションできるアプリやソフトなどを使って、事前に調べてからいくようにしましょう。

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3.爪木崎の撮影ポイント(2)

秋から冬の時期に爪木崎に来たら、ぜひ狙いたいのがりゅうこつ座のカノープスの撮影です。カノープスとは、全天で2番目に明るい星ですが、緯度が低い地域でしか見ることができず、日本では北関東から南の地域でしか見ることができません。探し方のポイントとしては、まず全天で一番明るいおおいぬ座のシリウスを探すことから始まります。そのシリウスが空高くにあるタイミングで、地平線付近を見ると赤く輝く明るい星が見つかればそれがカノープスです。本来は青い色をした星ですが、地平線付近の大気の影響を受けて赤く見えます。爪木崎は周囲が海のため、地平線付近までしっかり見渡すことができ、市街地に比べるとカノープスも見つけやすいでしょう。

写真4
カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 プロソフトンA使用
シャッター速度:20.0秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯 

カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 プロソフトンA使用
シャッター速度:20.0秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯 

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4.爪木崎の撮影ポイント(3)

爪木崎では例年 12 月末から1月下旬まで「水仙祭り」が開催されます。お祭りの開催期間中の日曜には催し物が開かれるなど、賑わう期間になりますが、この期間に撮影に行ける場合は、ぜひ水仙と一緒に星空を撮影するのも良いでしょう。( 水仙祭りについての詳細は公式 HP をご参照ください )。

写真5
カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 プロソフトンA使用
シャッター速度:30.0秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯 

カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 プロソフトンA使用
シャッター速度:30.0秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

水仙の花は地面低くに咲くため、一般的なアイレベルでの撮影では星空と一緒に撮影するのは困難です。そのため、なるべく三脚を低くして見上げる形で撮影する必要があります。また、暗い環境では長時間露光をしても水仙の存在感を出すことは難しいため、月明かりがある日に撮影するか、露光中に暖色系のヘッドライトをあてるなどして、存在を浮かび上がらせつつ撮影するテクニックが必要になります。ヘッドライトを使って撮影する場合は、周囲に撮影している人がいないかを確認してから撮影するようにしましょう。

写真6
カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 プロソフトンA使用
シャッター速度:30.0秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: SONY α7Ⅲ レンズ: TAMRON 17-28mm F2.8 プロソフトンA使用
シャッター速度:30.0秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

水仙と星空を撮影したら、ぜひ周囲にあるアロエの花も撮影するのが良いでしょう。真っ赤な色が特徴のため、青白く輝くシリウスなどと一緒に撮影すると面白いかもしれません。

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5.爪木崎の撮影ポイント(4)

灯台周辺での撮影が終わったら、一度駐車場の方に戻り、今度は灯台を見下ろす高台から撮影します。駐車場から東北東の方向に舗装された道が続いており、そこを歩いていくと芝生の広場があります。

写真7

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ここからは爪木崎灯台や海岸などを一望することができるため、広角レンズや標準レンズなど、様々な画角のレンズで撮影してみましょう。

写真8
カメラ: Hasselblad X1D Ⅱ 50C レンズ: XCD21mm
シャッター速度:32.0秒 ISO感度3200 絞り:f4.0 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: Hasselblad X1D Ⅱ 50C レンズ: XCD21mm
シャッター速度:32.0秒 ISO感度3200 絞り:f4.0 ホワイトバランス:蛍光灯

写真9
カメラ: SONY α7 レンズ: TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD(マウントアダプター使用)
シャッター速度:15.0秒 ISO感度3200 絞り:f1.4 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: SONY α7 レンズ: TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD(マウントアダプター使用)
シャッター速度:15.0秒 ISO感度3200 絞り:f1.4 ホワイトバランス:蛍光灯

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6.爪木崎へのアクセス

爪木崎へのアクセスですが、車を使ってアクセスするのが基本になります。ルートはいくつかありますが、135 号線を走り、東伊豆町を通っていく海岸線のルートや、伊豆縦貫道路の月ヶ瀬IC より 414 号線を抜けて河津方面へ抜けていくルートなどがおすすめです。爪木崎の駐車場の開閉時間は、午前9時から午後5時まで(※有料)となっていますが、管理されている方のご配慮で午後5時以降も駐車や出庫することもできます。詳細はお問い合わせください。駐車場は大変広いため、天文現象の時以外であれば、停めるのに苦労するといったことはないでしょう。

写真10

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7.まとめ

今回は伊豆半島の撮影地の中でも人気の撮影地「爪木崎」をご紹介しました。美しい海岸の風景や、夜の灯台の明かりとの星空撮影をぜひ楽しんでいただければと思います。次回の更新もお楽しみに!

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著者について
北山輝泰 星景写真家 1986年東京生まれ。 日本大学芸術学部写真学科 卒業 大学在学中、星好きだった恩師の影響で宇宙や天体写真に興味を持つようになる。卒業後、福島県鮫川村に移住をし、本物の星空に触れる生活を始める。 その後、天体望遠鏡メーカーに転職し、営業として7年勤務した後、星景写真家として独立。現在は天文雑誌「星ナビ」のライターをしながら、全国で星景写真のワークショップや創作活動を行っている。ワークショップ詳細については Facebookページ「ナイトフォトツアーズ」にて。