萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第1回
SAMYANG 35mm F1.2 ED AS UMC CS
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す新連載「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」が始まりました。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けします。今回取り上げたのは APS-C 対応 35mm 単焦点レンズ「 SAMYANG 35mm F1.2 ED AS UMC CS 」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ 35mm F1.2 ED AS UMC CS を選んだ理由 ■ 35mm F1.2 ED AS UMC CS はどんなレンズなのか ■ マニュアルフォーカスと相性の良いミラーレス機 ■ 実は万能画角の標準レンズ ■ 35mm F1.2 ED AS UMC CS での作例 ■ 総評 |
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。
■ 35mm F1.2 ED AS UMC CS を選んだ理由
今月から新連載として始まった「 萩原流サムヤンレンズ使い倒し 」。高コストパフォーマンスレンズを多くラインナップするサムヤン。本連載は数あるサムヤンレンズの中から、私、萩原が毎月1本ずつ撮影に持ち出し、萩原独自の作例と評価をお伝えしようというもの。
連載第1回めにチョイスしたレンズは、「 SAMYANG 単焦点標準レンズ 35mm F1.2 ED AS UMC CS 」。このレンズは APS-C センサーサイズ機対応の焦点距離 35mm マニュアルレンズだ。焦点距離 35mm だと広角よりのレンズと感じるかもしれないが、APS-C サイズ機では焦点距離を 1.5 ~ 1.6 倍で換算するので、ほぼ標準画角となる。開放値 F1.2 という大口径にも惹かれて今回のチョイスとなった。
■ 35mm F1.2 ED AS UMC CS はどんなレンズなのか
このレンズはレンズ構成7群9枚で非球面レンズを2枚採用。絞り羽根は9枚。フィルター径は 62mm だ。今回はソニー E マウント用を用意してもらったので、カメラは Sony α7RII にした。α7RII は APS-C ではなくフルサイズのセンサーを採用しているが、APS-C にクロップ( トリミング )できる機能を搭載しているので、本レンズでも問題なく装着できる。またミラーレス機のいいところで、クロップした実像がファインダーで確認できるので、画角の違いを意識せずに撮影に集中できる。
SAMYANG 35mm F1.2 ED AS UMC CS は α7RII に装着したときのバランスがかなり良い。レンズ鏡筒はやや細身だが、手のひらに収まりつつピントリングを回すにはもってこいのサイズだ。ピントリングの回転の感触はやや重めだが、開放値 F1.2 での撮影は被写界深度が極めて薄くなるため、重いトルクの方が慎重なピント合わせができるだろう。絞りは 1/2 段クリックで F1.2 ~ F16 までだ。
■ マニュアルフォーカスと相性の良いミラーレス機
マニュアルフォーカスと聞くとピント合わせが大変という声が聞こえてきそうだが、ミラーレス機を使うのであれば心配は無用。α7RII を含む EVF ( 電子ファインダー )を搭載した最近のミラーレス機には、フォーカスのピーキング機能が搭載されているからだ。ピーキング機能とは、ピントの合っている部分に色をつけて EVF 内に表示する機能で、ピーキング機能をオンにしていれば、ピントリングを回して変化するピントの合っている箇所を一目で確認できる。また、ピントを合わせたい箇所を拡大表示する機能を搭載した機種もある。またミラーレス機は常に実絞り( ファインダー内で被写界深度が確認できる )で表示されるので、絞りに即した被写界深度がリアルタイムで確認できる。実はミラーレス機はマニュアルフォーカスが大得意なのだ。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 単焦点標準レンズ 35mm F1.2 ED AS UMC CS |
■ 実は万能画角の標準レンズ
早速撮影に出かける。大きめで実用性の高いレンズフードがいい感じだ。さて、APS-C であれば標準画角となるこのレンズ。標準レンズといえば、絞りを開ければ望遠レンズ、絞れば広角レンズになると言われる万能画角のレンズなのだ。またかつては写真の登竜門的スタートキットレンズとして最初に所有する画角の代表格だった。そして現在では多くの写真愛好家たちを魅了する、そんな奥深さが魅力なのが標準域のレンズだ。この「 SAMYANG 35mm F1.2 ED AS UMC CS 」も、標準域の奥深さと、写真を経験すればするほど感じる、シンプルな画角さ故の面白みを味わうことができる。
「 SAMYANG 35mm F1.2 ED AS UMC CS 」の描写そのものは柔らかめ。シャープ感を持ち上げた感じはなく、しなやかさを持つ好感触だ。それでいて開放からピント面はきちっと浮かび上がる。カリカリ感がないので、繊細な描写が得意なように思えた。
ぼけ味は、いたってナチュラル。これから作例をずらっとご覧いただくが、クセは全くなく、自然なぼけの中で主役となる被写体が浮かび上がる様を実感できるはずだ。
■ 35mm F1.2 ED AS UMC CS での作例
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。
■ 総評
開放値 F1.2 という大口径は、さすがに余裕を感じる。特に屋内の光の乏しいところでは、このレンズのすっきりでかつ細やかな描写と相まって、積極的に使いたくなった。今回はポートレートを撮影していないが、ギスギスした固さがないので、モデルに喜ばれるふわっとした仕上がりを期待できる。MF である以上、全てのシーンで素早く対応するには慣れが必要ではあるが、ピント合わせも込みでの写真撮影の楽しさを心から味わえるのは、標準域が一番だと思う、その点でもこのレンズは、ライトに、かつ F1.2 を生かした幅広いシーンに対応できる、いいレンズだ。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 単焦点標準レンズ 35mm F1.2 ED AS UMC CS |
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸