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鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真撮影講座
第20回 路面電車の撮り方2(実践編)


railway20

Photo : Masato Endoh


TOPIX

鉄道写真の撮り方を体系的に解説している、鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真講座の 20 回目は路面電車の撮り方の「 実践編 」を解説いたします。前回(第 19 回 路面電車の撮り方 )も合わせてご覧ください 。 by 編集部

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みなさまこんにちは!鉄道写真家の遠藤真人です。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。前回は路面電の基礎知識に焦点をあてて、魅力を解説しました。今回は撮影の実践編です。張り切ってゆきましょう!!

Index

1.路面電車撮影オススメの機材

写真1長崎電気軌道
焦点距離:230 mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F6.7 / ISO感度:800 路面電車の撮影はフットワークの軽さが重要だ。たくさん乗って、どんどん撮影してゆきたい。

焦点距離:230 mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F6.7 / ISO感度:800 路面電車の撮影はフットワークの軽さが重要だ。たくさん乗って、どんどん撮影してゆきたい。

鉄道の中で路面電車は比較的に撮りやすい被写体です。他の鉄道よりも運行本数が多く、距離感が近いためです。何度でもトライして撮影しましょう。専用軌道区間では 60 キロ程度で走ることもあります。一方で併用区間や街中では停車と発車を繰り返して走行するため、平均速度はゆっくりです。

その特性を踏まえると、カメラの連写性能は秒4コマ程度の速さで実用可能です。じっくりとこだわりの一枚を狙いましょう。
また路面電車の撮影場所は多くのところが路上です。無理に三脚を立てようと思わずに、手持ちでの撮影を心がけましょう。

次にレンズですが、広角から望遠までの高倍率ズームレンズがおすすめです。街中の撮影では障害物が多いため、ズーミングで調整して綺麗な構図を作りましょう。具体的には 35 ミリから 300 ミリ程度の領域がカバーできれば十分に撮影できます。レンズメーカーの機材も撮影に適しています。カメラは手持ち撮影が前提なので、手ブレ防止機能は強力なものを選びましょう。また、軽い機材であれば列車移動も快適です。路面電車の撮影にはコンパクトかつ、高性能な機材を積極的に選びたいところです。

写真2 広島電鉄
焦点距離: 400mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F6.3 / ISO感度:320 元京都市電の車両が今日も何気なく走っている。横川駅を出発して次の電停で撮影。

焦点距離: 400mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F6.3 / ISO感度:320 元京都市電の車両が今日も何気なく走っている。横川駅を出発して次の電停で撮影。

写真3函館市営交通
焦点距離:18mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:800 続いて広角レンズの使用例。被写体は函館市電のヌシともいえる530。車両そのものが函館の歴史を語る存在となっている。沿線には旧い建築物も残されていて、嬉しい限りだ。

焦点距離:18mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:800 続いて広角レンズの使用例。被写体は函館市電のヌシともいえる530。車両そのものが函館の歴史を語る存在となっている。沿線には旧い建築物も残されていて、嬉しい限りだ。

さらにカメラやレンズだけでなく、カメラバックも撮影では重要なアイテムとなります。今はミラーレスのカメラを前提とした、軽くて丈夫なカメラバックも豊富に販売されています。ネットの通販も良いですが、実際の機材が入るのかよく確かめた方が良さそうです。店頭で現物を確認してから買うことをおすすめします。路面電車の撮影ならば、カメラ1台とズームレンズが2本。高倍率ズームであれば、カメラ1台とレンズ1本のスペースがあれば十分です。大きなカメラバックは邪魔になることも多いので、スリムで耐久性が高いものを選びたいところです。路面電車は乗ってよし!撮ってよし!です。

写真4 広島電鉄
焦点距離: 135mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:640 またまた広島電鉄から一枚。広電の3000形電車は私の好きな形式の一つ。連節台車が愛嬌を増している。この場所は跨道橋から、車の往来を見計って撮影した。

焦点距離: 135mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:640 またまた広島電鉄から一枚。広電の3000形電車は私の好きな形式の一つ。連節台車が愛嬌を増している。この場所は跨道橋から、車の往来を見計って撮影した。

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2.路面電車の撮影設定

次はカメラの設定機能です。先の項でもお話ししたとおり、路面電車は低速で走行することが多いです。シャッタースピードは1/500 秒から 1/1000 秒の撮影設定でも大丈夫です。よく列車の速度を見極めて選びましょう。
車両によっては行き先表示が LED タイプのものも多いので、綺麗に写るよう工夫をしましょう。これは通勤電車の回で紹介した撮影方法と同じで大丈夫です。もし信号待ちなどで、障害物がなく綺麗に撮れた時には遅いシャッタースピードを使ってゆきましょう。
絞りの設定については、場合によって分けて使いましょう。路面電車はほとんどの場合は一両編成でやってきます。列車単体の写真ならば、F4 ~ F5.6 もあれば問題ありません。一両の長さは、在来線の列車よりも短いのです。次に街中の風景と一緒に写す時には、F8 ~ F11 程度に絞り込むと良いでしょう。周りの風景もしっかりと写止めたいところです。

写真5 熊本市交通局
焦点距離:122 mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F13 / ISO感度:800 2016年に発生した熊本地震によって、破壊された熊本城。2018年末の姿。このような情景も、あとで見返すと貴重な記録となるはずだ。余談だが、右側の1090形電車尾灯部には「バス協テール」が採用されている。

焦点距離:122 mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F13 / ISO感度:800 2016年に発生した熊本地震によって、破壊された熊本城。2018年末の姿。このような情景も、あとで見返すと貴重な記録となるはずだ。余談だが、右側の1090形電車尾灯部には「バス協テール」が採用されている。

ホワイトバランスは他のジャンルと同様にオートで大丈夫です。ただし、街中での撮影は建物の影になる場所も多いです。オートで撮影する時には光線の具合を確かめないと、変な色合いになることもあります。異変を感じたならば、ホワイトバランスを疑いましょう。最初からRAW データで記録している方は、RAW 現像処理のときに微調整を行うと、より良い仕上がりになります。

路面電車の撮影はそのリスクも考慮して、陸橋や交差点での撮影がおすすめです。陸橋は、高いポジションから撮影なので、車が列車に直接カブることを防げます。この時は望遠領域まで備えた高倍率ズームがおすすめです。路面電車は比較的ゆっくりと走ります。落ち着いてチャンスを狙いましょう。
交差点では列車をすっきりと狙える場所も多くあります。特に交差点内にカーブがある場所が狙いやすいです。よく探して挑みましょう。初めて撮影をする方には特にオススメのポイントです。ただし、撮影に夢中になって道路に飛び出すような危険行為にはならないように気をつけましょう。人の往来の障害とならないようにしたいところです。

写真6 富山地方鉄道
 焦点距離:165mm / シャッター速度: 1/250秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:100 2020年3月に念願の南北統一を果たした鉄道。富山駅を隔てて分かれていた路線が繋がったのだ。2020年初頭の明るい話題だった。


焦点距離:165mm / シャッター速度: 1/250秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:100 2020年3月に念願の南北統一を果たした鉄道。富山駅を隔てて分かれていた路線が繋がったのだ。2020年初頭の明るい話題だった。

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3.便利なウェブ情報&アプリもたくさん

路面電車を撮影するときに最近便利なアプリが登場してきました。それは各鉄道会社にある運行情報のアプリです。例えば、都電荒川線や豊橋鉄道では、実際の走行区間や車種などがリアルタイムに確認できます。他にもたくさんの路線で採用しているシステムなので、撮影に出かける前にはぜひダウンロードしておきましょう。効率よく撮影ができます。特に狙いたい車両が走っているかどうか気になる場合は有効に活用しましょう。撮影以外にもお得な情報が乗っているものも多く、観光地の情報など勉強になるアプリもリリースされています。

▼ 都電運行情報サービス
https://tobus.jp/tlsys/navi?VCD=ctop&ECD=slarm&LCD=

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4.鉄道ファンを驚かせた、市電の忘れ物

2020年の初頭、鉄道ファンの間である廃線跡が話題となりました。場所は JR お茶の水駅前に掛かる橋「 お茶の水橋 」です。一見すると普通の道路橋です。かつて市電が走っていたことは知っていましたが、ありし日の面影はまったく残っていませんでした。そして事件は補修工事が始まったときに起こりました。補修のために道路のアスファルトを剥がすと、石畳とともに当時の線路が出現したのです。突然、都心に現れた廃線跡は鉄道ファンを大いに驚かせ、話題となりました。

写真7 錦町線
焦点距離: mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:100 突如として市電時代の遺構が”出土”した。由緒正しい石畳に敷かれたレールは、まさに時代の生き証人。黒白写真に現像した。

焦点距離: mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:100 突如として市電時代の遺構が”出土”した。由緒正しい石畳に敷かれたレールは、まさに時代の生き証人。モノクロにRAW現像をした。

記録によると、その路線は東京市電時代の 13 系統錦町線のものでした。1944 年に廃止となった路線です。実に 76 年ぶりに姿を現したのでした。
これは市電が廃止となったあと、その上から直接アスファルトで道路を作ったため残ったものだそうです。この遺構そのものは補修工事とともに無くなってしまいましたが、遺構の一部は有志の団体で保存されるそうです。実はこのような場所は各地に残っているそうで、まれに道路から線路が露出しているとの情報もあります。興味がある方はぜひ遺構探訪をしてみてはいかがでしょうか。

以上で路面電車の撮影方法(実践編)の解説を終わります。

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5.次回予告

いかがでしたでしょうか。
お付き合いいただきありがとうございました。次回は撮影テクニックの置きピンを解説したいと思います。お楽しみにしてくだい。

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遠藤真人
著者について
鉄道写真家 1989年生まれ 日本大学芸術学部卒業 日本写真学会 会員 EIZO ColorEdge Ambassador 幼少期から鉄道に魅了され、カメラマンの道を目指す。近年は撮影のみならず、カメラメーカーや鉄道会社とのタイアップ企画を行う。また、イベント・メディア出演・写真教室講師を務めるなど活動は多岐にわたる。
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