萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第11回
SAMYANG 35mm F1.4 AS UMC
写真と文:萩原 和幸 モデル:宮瀬ひなの( ソレイユ )
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのは開放絞り F1.4 のフルサイズ対応 35mm 単焦点マニュアルレンズ「 SAMYANG 35mm F1.4 AS UMC 」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ 私の標準レンズは 35mm
今回試したレンズは、SAMYANG 35mm F1.4 AS UMC。35mm フルサイズフォーマット用としてデザインされたマニュアルレンズだ。35mm という焦点距離には非常に関心のある筆者。現在の私は撮影となると、35mm を「 標準レンズ 」としてるほど、重要な焦点距離だ。それだけについつい厳しい目でみてしまう。そんな 35mm のユーザーなら一度は手にしてみたい F1.4 という大口径レンズ。この仕様は純正メーカーからもラインアナップされているが、当然ながら価格もそれなりで、キヤノンなら 20 万円越えはするスペックだ。サムヤン製なら、フォーカスはマニュアルながら純正メーカーの4分の1以下というハイコストパフォーマンスを見せつけてくれる。
F1.4 という開放値は、ボケをコントロールすることによる表現の幅の広がりと、光の条件が乏しいところでパフォーマンスを発揮する。やや広めに感じる 35mm という画角は、遠近感の誇張に加え、ボケをコントロールする面白さを一番感じられる画角だと思う。
レンズ構成は 10 群 12 枚。複合非球面レンズ( AS )採用で、絞り開放時の描写にこだわっている。フレアとゴーストを最大限に抑えるウルトラコーティング仕上げも施している。フィルター径は 77mm。
マウントは、ニコンF、キヤノン EF、ペンタックスK、ソニーAマウント、富士フイルムX、ソニーEマウントがラインナップ。今回の撮影にはキヤノン EF マウント用を EOS 5D Mark IV で使ってみた。( 写真2は EOS 5D Mark III だ )
カメラに装着してのバランスは良好。マニュアルフォーカスレンズではフォーカシング方式に全群繰り出しを採用しているものが多いが、このレンズでは内部のレンズ群を移動させるインナーフォーカス方式を採用しているので、レンズの全長が変わらないのがいい。重量は EF マウントで 710g と F1.4 のスペックを考えると軽い部類だ。
フォーカスリングのトルク感はやや重めで深度の浅いこのレンズでのピント合わせには良好だ。絞りは f1.4 ~ 2 の間を除いて 1/2 段クリック。最大絞りは f22。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 35mm F1.4 AS UMC |
■ ポートレートとスナップで試してみた
さて、早速撮影に出かける。私の仕事( ポートレート )で多用する 35mm なので、今回の撮影ではポートレートを中心にしてみた。ボケ味や逆光性能、肌の発色などを観察してみた。
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。
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■ 総評
さすがに開放 F1.4 のボケは大きく、35mm という画角はスナップでもポートレートでも使いやすい。ボケ味についてはやや重い傾向にあるが、言われなければ気にならないユーザーも多いだろう。柔らかい描写だが芯があって、ピント面はキリッと際立つので、ポートレートには使い易いレンズだ。冒頭でも述べたが、F1.4 というスペックを手にするには、純正ならかなりの覚悟が必要な金額になる。しかしこのレンズなら、35mm で F1.4 を入手するには躊躇も少ないはず。開放から非常に高いバランスのとれた描写を提供してくれるので、MF という点を除けば、絶対に後悔しないレンズと言っていいだろう。