■Photoshop Elements & Premire Elements とは?
まずは「Photoshop Elementsについてあまり詳しくない」という読者の方に向けて。Photoshop Elementsはその名前の通り、Photoshop CS6の弟分にあたるソフトウェアです。Photoshop CSシリーズと言えば、プロやハイアマチュア御用達、画像補正やフォトレタッチのソフトウェアとしては最高峰の製品ですね。Photoshop Elementsもエンジンや機能において共通の部分が多いため、一般デジカメ・ユーザー向けとしては高機能な仕様になっています。
また、一般デジカメ・ユーザー向けとしてPhotoshop CS6より優れている点は、画像や動画を管理したり仕分けする機能「Elements Organizer」があると言うことです。Elements Organizerで写真を整理し、Photoshop Elements (Photoshop Elements Editor とも呼ばれます)で補正や合成する、という構成です。
また、動画編集ソフトとして一般ユーザー向けにラインアップされているのが「Premire Elements」です。セット製品を利用すると、「Elements Organizer」で整理した写真を「Photoshop Elements」で編集し、動画を「Premire Elements」で編集する、という構成になります。
|
Elementsファミリーは、製品として画像編集の「Photoshop Elements11」(図内左)とビデオ編集の「Premire Elements11」(図内右)があります。双方にファイルを整理・検索するElements Organizer機能(図内中央)が含まれていて、写真やビデオ画像の整理・検索・編集・公開がシームレスで管理できることが大きな特長です。新バージョンで追加・強化された機能を箇条書きしたものが上記のスライド画像です。 |
ここまではスタジオグラフィックスのPhotoshop Elements講座「フォトショップ・エレメンツ de ゴーゴー!」の読者だったら、既によくご存じのことですね。では、新バージョンでの追加された機能、強化された機能を紹介します。
■Photoshop Elements 11 の新機能
Photoshop Elements 11 は、親しみやすいインタフェースと、より簡単な操作を追求したバージョンとなっています。まずは、注目の変更点を画像付きで解説し、その後、末尾にその他変更点を列記します。
画面デザイン(ユーザーインタフェース)の変更
Photoshop Elements 11は画面のカラーに親しみやすい明るいグレーに変更になりました。不思議なもので、Photoshop Elementsはもともとブラック基調を採用していたのですが、Photoshop CS6 の画面がグレーからブラック系へと変更になった年に、Photoshop Elements 11 はグレーに戻すことになったわけです。
また、文字やアイコン群が大きく表示され、より見やすく変更されています。
|
ブラックからグレー基調に変更になった操作画面(画面例はElements Organizer)。自動認識した人物別、イベント別などに仕分けできる。画面例は旅行や釣りなど、イベント別に表示したところ。赤印が鴨川シーワールドへの旅行を保存したイベントフォルダ。 |
人物別・場所別・イベント別整理がより便利に(Elements Organizer)
Photoshop Elements 11 の写真整理機能「Elements Organizer」が改良されました。人物の自動認識機能(顔認識)に加えて、グループ別に分ける機能が解りやすく変更されました。サムネイルは時系列で表示され、新しい写真が左、右に行くほど古い写真が表示されます。
また、場所別、イベント別の整理がやりやすくなりました。
|
イベントフォルダに表示しているサムネイルにマウスカーソルを合わせて、左から右に移動すると新しい写真へとサムネイル表示が変わっていく。フォルダを開かなくても、どんな写真が保存されているのかが簡単に確認できる。 |
ジオタグに対応 撮影場所をGoogleマップに表示(Elements Organizer)
主にGPS連携で利用されているジオタグは、撮影した場所を画像に記録するEXIF情報のひとつです。GPS機能付きのデジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真は「Elements Organizer」を使って、撮影場所をマップ表示することができます。
また、GPS機能のないカメラで撮った写真をマップ上にドラッグ&ドロップで配置することも可能です。
|
「このステーキはどこで食べたんだっけ?」「ツバメのヒナ可愛かったね、あれ、ドコで撮ったんだっけ」。スマートフォンやGPSデジカメで撮影した写真には撮影場所情報(ジオタグ)を記録することができ、Elements Organizerではその情報をGoogleマップで表示できます。Photoshop Lightroom 4 でもジオタグはサポートされています。(Photoshop Lightroom 4 (特別提供版) の実売価格) |
クイック・ガイド・エキスパート の3つの操作画面モード
簡単な操作だけで編集したいユーザには「クイック」モードがお勧めです。Elements 11からは「クイック」モードがデフォルト(初期値)となり、ソフトウェアを起動した途端に、どうして良いか解らない…ということを改善しました。また、文字やアイコンが大きいことからもやさしい印象を受けます。Photoshop Elements初心者でも迷わずに画像編集を始めることができるよう工夫されていると言えます。
もちろん、Photoshop ゆずりの高機能編集には今まで通り「エキスパートモード(編集モード)」が用意されていて、ツールボックスやメニューから画像編集を行うことができます。
そしてもうひとつ、「ガイド」に従って、やりたいことを説明ガイド付き&ウィザード型で解りやすく指定することができる機能「ガイド」モードは、機能ごとに仕上がりがひと目で確認できるよう表示されるために機能が解りやすく、上級者もガイドモードでよりElementsを便利に活用できるようになっています。
|
「クイック」モードの画面例。スマート補正、露光量、レベル補正、ホワイトバランスなど、デジカメ画像でよく使われる補正機能が右側のメニューから解りやすく選択できるようになっています。また、機能と度合いの選択も、効果の確認を見ながら選べる「バリエーション」選択方式(赤枠)なので、初心者にも直感的な操作が可能です。 |
|
「ガイド」モードの画面例。ミニチュア写真風に加工ができる「チルトシフト」。画面右上のサムネイル画像にマウスを合わせると、補正前と補正後の見本が表示されるので、どのような効果かが解りやすい。解説を読みながら上から操作していくと迷うことなく操作ができる。 |
境界線を調整
Photoshop CSシリーズで注目された機能のひとつとして「境界線を調整」があります。髪の毛や動物の毛までもがきれいに範囲指定できると好評の機能ですが、この機能がPhotoshop Elements 11 にも実装されました。
Photoshop CS6と同様にこのように詳細に選択範囲の境界が指定できます。
|
Photoshop CSシリーズに搭載されたとき、魔法のツールとして話題になった「境界線を調整」ツール。髪の毛や動物の毛を細かく自動選択できる、驚きの選択範囲機能がElements 11 にも搭載された。画面例は犬の左半分をブラシでなぞって自動判別したところ。 |
100以上のフィルター効果を搭載
画像に様々な効果を加えるフィルター機能は、手間を掛けずに変わった加工をしたい初心者ユーザーには重要な機能です。Photoshop Elements 11 では100以上のフィルターを搭載しています。また、Photoshop CS6にもない、Elements 11 独自のフィルターとして、コミックペン、グラフィックノベルなどが追加されています。
|
新しく追加になったフィルターのひとつ「グラフィックノベル」。マンガのような線画に近い画像に加工編集することもできる。 |
|
「コミック」。ポスタリゼーションのような効果でコミック風に加工。画像例のようにビビッドな色合いでも、シックにグレースケールでもOK。 |
また、フィルター→スケッチ→ペンとインクで使用できる「ペンとインク効果」(写真にアニメ効果を適用できる)も注目のフィルターのひとつです。
その他の新機能
- 効果パネルから効果やスタイルの読み込みに対応
- 類似画像の検索 重複画像の削除や類似画像の整理にも便利
- ガイド編集に「ビネット効果」(周辺光量落ち効果)が追加(ロモカメラ効果から改訂)
- ガイド編集に「ハイキー」「ローキー」効果が追加 故意にハイキー・ローキー写真を作成可
- マップから画像の選択
- Adobe Revel のフォトライブラリと連携 > Adobe Revel とは?
Photoshop Elements 11 は写真の整理と編集が可能な統合型画像編集ソフトとして進化を続けています。機会があれば、StudioGraphicsでも新機能に詳しく触れたいと思います。(旧バージョンの記事は下記を参照)
>> 「フォトショップエレメンツ de ゴーゴー!」 目次へ
※今回のレポートはPhotoshop Elements 11 のベータ版を使用しています。
製品版の画面や性能、仕様は変更になる場合があります。
ベータ版の使用、図版の使用はアドビシステムズ社の許諾を得て掲載しています。
|