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第37回 Photoshop Elements 8 レビュー (4)
画像サイズを知的に変える 「再構成」ツール大研究 2010/1/13
 
1.どんな時に使うの?「再構成」の勘どころ
2.「再構成」の操作の流れ
3.背景を自動判別して不自然なく知的に変形処理
4.保護ブラシなしでも縮小可
5.不要なものを積極的に消す

新しいPhotoshop Elements 8.0の目玉機能のひとつが「再構成」ツール。
アドビシステムズからのアナウンスでも「これがすごい」「これがすごい」と言われましたが「いったいどんなときにこの機能を使うのか」と考えていました。
ところが先日、ようやく使う機会がありました。
いったいどんな機能なんでしょうか?
どのようなときに使うのでしょうか?

アドビがイチオシの機能「再構成」ツール。背景を縮めても後ろの名物岩は縮んでないのはなんで?

 
1.どんな時に使うの?「再構成」の勘どころ
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アドビシステムズのホームページにジャンプ
画像A アドビシステムズ「再構成」の解説ページ。横位置の写真を、被写体を変形させず、不自然なく縦位置写真に再構成している例です。
新しいPhotoshop Elements 8.0の目玉機能のひとつが「再構成」。

「再構成」機能ってなんだ?
何を"再構成"するんだ?
って人も多いと思います。

アドビシステムズのヘルプやウェブサイトの解説によると、「再構成」は「人間、建物、動物などの主要なビジュアルコンテンツを変更することなく、写真のサイズ変更を行います」と書いてあります。サンプルの写真は右画像のように、草原を走る3人の子供を横位置で撮った写真を、3人の子供をゆがめることなく、背景を加工することで不自然なく、縦位置に再構成しています。

つまりアレですな…被写体は変形させずに、背景を縮めたり伸ばしたりする機能…と、こういうわけです。

ふむ、たしかにサンプルをみるとそんな機能のようですが、どんなときに使うのでしょうか。
それは決まったサイズのフレームの中に、写真の主題である被写体や主題をすべて詰め込みたいときに使うのです。

例えば、この下の写真。年賀状で使ったのですが、私はこの写真を正方形のフレームに収めなければなりませんでした。そして収めたい主題はもちろん、砂だらけで奮闘した2人の子供の表情と、潮干狩りでゲットした収穫…ハマグリやアサリたちです。

画像B

というわけで、画像を正方形のフレームに収めてトリミングしてみました。

画像C 元画像のトリミング
画像C 元画像を正方形でトリミング。
画像D 再構成後のトリミング
画像D もし、もしも2人がもっと近づいていたならば、もっとアップでトリミングできます。

すると・・そのフレームにすべての主題を収めるには、画像Cのように被写体が小さくなってしまい、見た人には子供の表情が伝わりにくいのです。更に、手にハマグリを持っていることを解りやすくするには、少しでも寄った写真にしたいのです。

この問題を解決するには子供達の距離が問題です。ふたりがもっと近づいて立ってくれれば、表情も大きく、ハマグリも見える位置でトリミングできます。

そんなわけで2人にもっと近づいてもらい、トリミングした画像がDです。

思ったとおり、画像Cに比べて、画像Dは表情もハマグリも解りやすくなりました。

でも、撮り直したわけではありません。

ふたりがもっと近づいてもらって撮っていたらなぁ、と感じたとき、私は独り言をつぶやきました。

「あぁ、なんてことだ・・2人がもっと近づいていないとダメだ。2人の立ち位置を再構成したいなぁ・・あぁ、再構成ができたらなぁ・・再構成? ・・・おぉっ、再構成ツールを使おうっ!!」

というわけで「再構成」機能の出番が遂にやってきたのですっ!!
えっ!? わざとらしい展開とセリフですって? まぁまぁ、でも、独り言の内容はアレとして、プロセスはすべて本当の話なんですょ。

2.「再構成」の操作の流れ
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画像E クリックで拡大

画像E ツールパレットから「再構成」ツールをクリックして選択します。

画像F クリックで拡大
画像F 再構成ツールの概要とオプションについて解説が表示されます。
画像G クリックで拡大
画像G (1)ツールパレットから「再構成」を選び、(2)保護ブラシをクリックし、(3)保護ブラシのサイズを選びます
画像H クリックで拡大

画像H 保護したい部分、被写体を保護ブラシで塗りつぶします。

画像I クリックで拡大
画像I 画像右のバウンディングボックスを左にドラッグします。保護した被写体はそのままで、背景の横幅が縮まります。

再構成は、人物や建物など、縦横比を変形すると不自然に感じてしまう被写体を自動で判別し、判別した被写体の変形を保護しつつ画像を変形するツールです。

ツールパレットから「再構成ツール」をクリックします(画像E)。

 

再構成ツールの使い方のウインドウが表示されますので内容を確認して「OK」をクリックします(画像F)。

 

この状態で被写体をきちんと認識していれば保護できる場合もありますが、手順としてはここで変形させたくない被写体を「マスク」します。マスクとはPhotoshop CSにも出てくる用語。変えたくない部分を覆って保護することで、塗装で塗りたくない部分を「マスキング」するのと同様に使う用語です。

 

画像Gで手順をまとめています。

  1. ツールパレットから「再構成」を選び
  2. 保護ブラシをクリックし
  3. 保護ブラシのサイズを選びます

保護ブラシのサイズは画像のサイズや保護したい被写体の大きさによって決めますが、数値が大きいほど太いブラシになります。

 

保護ブラシで被写体を塗りつぶします(画像H)。塗りつぶした部分は緑になり、保護されることを示しています。

マウス操作が苦手な人には、大変に感じるかもしれませんが、例のような写真では少しくらいはみ出しても構いませんので、ササッと塗りつぶしてください。

保護が完了したら、画像の右の□(バウンディングボックス)をマウスでドラッグして左に移動します(画像I)。

背景の潮干狩り場が変形して横幅が縮んだにも関わらず、2人の子供は変形せず、結果的に2人の立ち位置が近づきました。

これで再構成は完了です。

後はトリミングして、前述のような画像Dになったのです。完成した画像を見る限りでは不自然さは全く感じないと思います。

では、この再構成ツール、背景がどのように変形しているのか、そのインテリジェントな機能をもう少し詳しく見てみましょう。


3.背景を自動判別して不自然なく知的に変形処理
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今回の画像は、再構成ツールで下の 画像J のように変形しました。
背景の横幅だけが大幅に縮小していることが解ります。
画像J クリックで拡大
画像J 元の画像(上)と「再構成」した画像(下)。背景を縮めても不自然に感じないのは…

でも、よぉく見ると不思議なことに気が付きます。
背景の横幅を縮めたにもかかわらず、背景に写っている人物や鉄塔は変形していないのです。

拡大してよく見てみましょう…ほら。

画像K クリックで拡大
画像K 背景の砂浜や山並み、バケツは縮んでいますが、人物や鉄塔は縮んでいません

鉄塔の右横にある電柱から出た斜めの柱が不自然にゆがんでいるので変形していることは解ると思いますが、このように保護ブラシをかけていない背景でも、インテリジェントに内容を判別して、不自然の内容に変形を行っているのです。

変更の前後を見比べれば、砂のうねりなど厳しい目で見ると不自然さを感じる部分もありますが、変更後の画像を見ただけでは気付かないでしょう。


4.保護ブラシなしでも縮小可
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下の 画像L は、保護ブラシを使わずに、ただ再構成ツールで背景を縮めただけのものです。保護ブラシで保護しなくても、被写体や写真の主題が画像の左側にあることを自動で判断して、ある程度の縮小までは左画像には変形を行いません。これは画像左側のバウンディングボックスを右にドラッグしても同様の結果です。
なお、これ以上縮めると、被写体も変形してきますので、保護ブラシを使罠蹴ればなりません。

画像L クリックで拡大
画像M クリックで拡大
画像M 保護ブラシを使わなくても、ある程度までの縮小なら被写体を保護します。更に背景の筆島も保護されています。操作が簡単で、かつ実用的な機能になっていると言えます。

 

画像L 背景をある程度縮めても画像左側は保護。

また、「再構成」ツールのオプションバーには「肌色をハイライト」という機能があり、肌色を自動検出して人物のゆがみを保護する機能もあります。

画像N クリックで拡大

画像N 「肌色をハイライト」で人物を自動特定。

肌の露出度の高い写真であれば、簡単に効果的に人物を特定させることができます。しかし、縮めすぎると髪の毛や洋服の部分から歪みが出るのでその部分を確認しながら注意深く操作するのがポイントです。

右の画像が操作のサンプルです。オプションバーの「肌色をハイライト」ボタンをクリックすると、写真の中の肌色部分をハイライトします。サンプル画像Nの上画像ではシュレックみたいに緑色に見えますが、そこが肌色と認識した部分。

下画像がドラッグして縮めて再構成したものです。子供達の比率は保護されたまま、距離が近づき、背景が縮められていることが解ります。

5.不要なものを積極的に消す
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縦横比を保持したい被写体を塗りつぶす「保護ブラシ」に対して、縮小時に積極的に削除したい部分を塗りつぶす「削除ブラシ」も用意されています。

使用方法は、前述の「2.「再構成」の手順」で解説した手順で、保護ブラシのかわりにオプションバーで「削除ブラシ」を選択し、削除したい部分を塗りつぶします。削除ブラシをこすった部分は赤色で塗られます。

例えば、サンプルの写真の背景から「立て札」と「鉄塔」を消したい場合、下記のような手順で操作します。

画像O クリックで拡大
画像O (1) ツールパレットから「再構成」を選択、(2)「削除ブラシ」を選択(必要に応じてブラシサイズも指定)、(3)消したい被写体を塗りつぶす


この状態で、バウンディングボックスをドラッグして背景を縮めると、削除ブラシで指定した背景の被写体(3)は縮小時に消えていきます。

画像P クリックで拡大

 

今回は縮小を例に解説しましたが、この機能は拡大時にも有効です。被写体の縦横比は保護されたまま、背景が不自然なく拡大して(伸びて)処理されます(下記は子供2人を保護ブラシで塗った状態で拡大したサンプルです)。

画像Q クリックで拡大

また、その際は、削除ブラシで指定した被写体は"削除"ではなく、"保護しない"という指定になりますので、前述のように立て札と鉄塔を削除ブラシで塗った状態で背景を拡大する(横に伸ばす)と、立て札と鉄塔は横に伸びていきます。

このように、意外とインテリジェントで面白い「再構成」ツール。いろいろ使ってみると面白いかもしれませんよ。試してみてください。

※本文内のAdobe Photoshop Elements 8 は、報道関係者向けに提供されたベータ版を使用しています。
  画面デザインや機能など、製品版とは一部、異なる場合があります。

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※Photoshop等はアドビシステムズ社の商標です。
 
初出:2010/01/13
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