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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第4回:夜桜の撮り方(前編)

Posted On 24 3月 2015
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Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

日本列島各地から桜の開花便りが寄せられてきました。今回の夜景撮影講座は 「 夜桜 」をテーマといたしました。後編は明後日( 3月26日 )に更新予定です。先日更新した「 PLフィルターで桜の春色をより際立たせる 」 も合わせてご参照いただき、桜の撮影をお楽しみください。 by 編集部

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3月に入り、日中の気温も高くなり過ごしやすい時期となってきました。
湿度や気温が大きく影響する俯瞰夜景の撮影はオフシーズンとなりますが、春の訪れと共に夜桜の撮影シーズンが来ています。場所によっては2月末頃から早咲桜が咲き始め、3月末頃からは全国各地で順次、桜が満開となるでしょう。今回は桜の開花シーズンに合わせ、夜桜の撮影テクニックについて豊富な作例を用いて解説したいと思います。

写真1 ライトアップされた河津桜(早咲桜)を撮影

河津桜

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM / 焦点距離:157mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:1/6秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:3200 ]

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■夜桜撮影の基本

毎年2月~5月ぐらいにかけて桜の開花時期となり、全国各地のお花見スポットは大勢の花見客で賑わいます。春になって暖かくなった頃に、カメラを持って外にお出掛けされる方も多いのではないでしょうか。日中に桜の写真を撮影するカメラマンはとても多いのですが、最近は夜桜を撮影するカメラマン人口も増えているように思います。そこで、まずは夜桜の撮影にあたり基本的な内容から入りたいと思います。

(1)撮影・観賞時期:

桜の開花時期は地域によって大きく異なりますが、大阪・名古屋・東京など大都市圏の場合、3月末~4月上旬にかけてがベストシーズンとなります。ただし、桜の種類によっても開花時期は異なります。例えば一般的な桜(ソメイヨシノなど)は3月末~4月上旬が開花時期となりますが、河津桜(早咲桜)は早ければ2月末から3月中旬にかけて咲きます。桜の種類によって同じエリアでも開花時期が異なります。

(2)気象条件:

一般的な遠景(俯瞰)の夜景と異なり、空気の澄み具合や湿度はそれほどシビアではありません。晴れまたは曇りであれば綺麗な夜桜写真が撮れますが、その日の風速が最も重要になってきます。風が強いとせっかくカメラを三脚で固定しても被写体ブレが発生してしまいます。天気予報などを確認し、なるべく風の弱い日を選ぶことが重要です。

(3)撮影スポットの探し方:

地域情報サイト・ポータルサイトなどで花見特集が組まれています。「ウォーカープラス」などでは夜桜の観光名所を紹介しているので、Webサイトや情報誌などを参考にあらかじめ撮影スポットを探しておくと良いでしょう。

(4)その他・注意点:

桜の開花シーズンは昼夜問わず混雑します。特に観光名所は週末が大変混雑するので、いずれの夜桜スポットであっても「月~木」の平日を狙うと良いでしょう。また、ライトアップが消灯すると夜桜の撮影が難しくなるため、点灯時間もわかる範囲で確認しておくと良いでしょう。

写真2 多くの人で賑わう夜桜の名所(東京・目黒川)

夜桜スポットの人混み(東京・目黒川)

毎年、桜の開花シーズンとなると多くの人で賑わう目黒川。平日でも混雑するほどの人気スポットだ。屋台や飲食店にも多くの人だかりができる。
[ ボディ:CANON EOS 5D Mark2 / レンズ:SIGMA 28-300mm / 焦点距離:100mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1/10秒 / 絞り数値:F6.3 / ISO感度:1600 ]

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■夜桜の撮影に必要な機材

夜桜の撮影に限って、特別に必要な機材はありません。一般的な夜景撮影と同じ機材で大丈夫です。夜景撮影機材の詳しい選び方については「第1回の記事」も参考にして下さい。以下は撮影機材のワンポイントアドバイスになります。

(1)カメラ本体:

お手持ちのデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼で問題ありませんが、三脚が使えない場所で撮影する時に高感度に強い機種だと撮影の幅が広がります。

(2)レンズ:

荷物をコンパクトにしたい方は標準ズーム1本でも十分ですが、ボケを活かした作品を撮りたい場合はマクロ・単焦点・開放F値の明るい望遠ズームレンズなどがあると良いでしょう。明るいレンズほどライブビューの画面も明るくなるので、ピント合わせなどが容易になります。また、夜桜の撮影スポットは光源(街灯)が近くにあるので、少しでもゴースト・フレアを減らすためにもレンズフードは必ず持参しましょう。

(3)三脚:

三脚が禁止されていない場所であれば、三脚の使用をおすすめします。混雑している場所では長時間露光によって人が写り混まないようにしたり、広角で風景として夜桜を撮る時には必須となります。

(4)その他:

昼間の桜の写真を撮るときにはPLフィルターが多用されますが、夜桜の場合は必須ではありません。ただし、水準器・レリーズ・予備バッテリーなど基本的なアクセサリは用意しておきたいところです。

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写真3 夜桜撮影時のセッティング風景

夜桜撮影のセッティング風景

ライトアップが明るいため、手持ちでも撮れなくはないが、当日は風が弱くて長時間露光にも適した条件だったので、三脚を持参して正解だった。

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■夜桜撮影時のカメラ設定について

夜桜の撮影も通常の夜景撮影時の設定と大差はありません。撮影時の条件によって絞り値やISO感度、ホワイトバランスを変える必要が出てきます。カメラ設定による作例の比較は後編で紹介しますが、まずは設定方法を押さえておきましょう。

写真4 夜桜の撮影風景

夜桜の撮影風景

ライブビューでピント合わせ中の様子。水平出しはカメラ内蔵の電子水準器を使用。

(1)撮影モード:

マニュアル露出(M)モードか絞り優先(Av)モードで良いでしょう。絞り値によって背景のボケ方が大きく変化するので、好みの絞り値に設定できる撮影モードがおすすめ。

(2)フォーカス:

AF/MFどちらでも大丈夫です。夜桜のライトアップの光量が控えめな場合やF値の暗いレンズを使う場合はMFで合わせた方が確実でしょう。

(3)ISO感度:

風が弱くて三脚を使える場所の場合、機種にもよりますが、ISO100~ISO400ぐらいの幅が良いでしょう。風が強い場合や手持ちで撮る場合は
ISO1600~12800ぐらいの幅が目安となるでしょう。

(4)ホワイトバランス:

照明の色や当日の天候条件によっても影響しますが、「オート」「太陽光」「白色蛍光灯」などが見た目に近く綺麗な色が出ると思います。後からレタッチすることを考えて、保存形式はRAWデータにしましょう。

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■撮影の基本1:ピント合わせ

全体的な風景として夜桜を撮影する場合、ピント合わせの位置にそれほど悩むことは無いと思いますが、マクロレンズや単焦点レンズで被写体に近寄って撮影する場合、ピントを合わせる位置が重要になります。

写真5 (1)中心よりやや右下の枝にピントを合わせる

中心よりやや右下の枝にピントを合わせる

3枚の作例の比較の中では最もベストな位置にピントが合っています。ピントを合わせる位置の目安として、枝の手前にある花に合わせるのが基本ですが、花に合わせると中心の目立つ部分がボケてしまうため、あえて枝にピントを合わせた例です。

写真6 (2)中心よりやや左上の桜の花にピントを合わせる

中心より左上の桜の花にピントを合わせる

今度は左上の少し奥まったところに咲いている花にピントを合わせました。花はとても綺麗に写っていますが、写真を見た時にぱっと真ん中から手前の花に視点がいくので、若干違和感が感じられるかもしれません。もちろん好みにもよります。

写真7 (3)後ろの桜の花にピントを合わせる

後ろの夜桜にピントを合わせる

最後の作例は奥に咲いている花にピントを合わせた例です。意図的に合わせているのであれば良いですが、今回の作例だと違和感が感じられるはずです。

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■撮影の基本2:露出補正

次に露出補正の設定による作例を比較したいと思います。夜景撮影で絞り優先モードなど使う場合、露出補正は±0を基本に好みによって補正を段階的にプラスまたはマイナスに設定して撮影すれば良いのですが、夜桜の撮影時はライトアップが原因で白飛びが発生する場合はマイナス補正、逆にライトアップがやや弱い場所ではプラス補正にした方が綺麗に撮れることも。以下の作例では若干色とびがあるものの、+1補正の写真が最も綺麗に見えます。

写真8 露出補正(+1)

露出補正+1

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16.0mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:1/8秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:6400 ]

写真9 露出補正(±0)

露出補正±0

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16.0mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:1/15秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:6400 ]

写真10 露出補正(-1)

露出補正-1

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16.0mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:1/30秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:6400 ]

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■撮影の基本3:レンズの焦点距離

最後にレンズの焦点距離による作例の違いを見ていきます。夜桜を夜の風景全体として撮るのであれば、広角ズームレンズを使い、桜の花だけをアップで撮りたい場合はマクロレンズ・単焦点レンズ・望遠ズームなどを使います。

写真11 広角ズームレンズの作例

広角ズームレンズの作例

菜の花を照らす提灯がとても良い雰囲気だったので、広角側をフルに浸かって撮影。超広角ズームレンズがあると被写体のすぐ手前でも広がりのある写真が撮れる。狭い場所や人が多い場所でも活躍。
[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16.0mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:1.3秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:800 ]

写真12 単焦点レンズの作例

単焦点レンズの作例

被写体になるべく近寄り、最短撮影距離(45cm)のギリギリまでカメラを近づけて撮影。F値をもう少し開放気味に撮影すると綺麗にボケたように思う。カメラの液晶モニターではボケ具合がわかりにくいこともあるので、F値を変えて何枚か撮影しておくのがベスト。
[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SIGMA 50mm F1.4 DG HSM / 焦点距離:50mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:1/13秒 / 絞り数値:F2.8 / ISO感度:800 ]

写真13 望遠ズームレンズの作例

望遠ズームレンズの作例

桜の木からやや遠くから離れて、中心の花にピントを合わせて撮影。風が弱かったため、ISO感度をそれほど上げずに済んだ。
[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM / 焦点距離:180mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:1/10秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:800 ]

夜桜の撮り方 ( 後編 )は コチラ

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岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「ゼロから学ぶ工場夜景写真術(アスペクト社)」。
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