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デジカメの「しくみ」
第15回 : 「レンズの大敵を知る」  〜収差 1〜
 
今回からはさまざまな収差について解説
軸上色収差とは
軸上色収差を取り除く
倍率色収差とは
2005/10/19
スタジオグラフィックス公認 デジタルカメラの教科書
体系的に学ぶデジタルカメラのしくみ第2版 スタジオグラフィックス、デジカメのしくみ講座の著者、西井と神崎が執筆したデジカメの歴史、カタログの読み方、レンズや撮像素子のしくみなどをやさしく解説した書籍。待望の第二版 2009年1月発売。 NEW
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富士写真フイルムの関連会社、フジノン株式会社が製造している自動検査装置用のレンズです。このレンズは、収差を極限まで抑えることに成功し、画像認識率の向上を実現しています。
 
■今回からはさまざまな収差について解説
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●シビアな環境で使用するレンズ
 

 デジタルカメラは、従来の銀塩カメラ以上にさまざまなシチュエーションで使われるようになっています。その一例が、冒頭写真でも紹介した自動検査装置システムです。自動検査装置とは、部品実装したプリント基板など工場で生産される機器・部品の良否判断や宅配便の仕分け、飲料の液量管理などを人間の目ではなく、撮影した映像にて検査を行なう為のカメラシステムのことをいいます。自動検査装置システムでは、汚れやキズ等の部品欠陥を瞬時に判別するのにデジタル画像処理を使いますので、CCDを使ってデジタル画像が撮影できるデジタルカメラが最適というわけです。冒頭写真のレンズ群は、世界で初めて、自動検査装置用途で2/3型500万画素CCD搭載カメラに対応した高解像固定焦点レンズシリーズなのだそうです。

 さて、このようなレンズは、色ズレや歪みは大敵です。我々が撮影するような写真であれば、さほど問題にならないようなことでも、自動検査装置システムだとそうはいきません。機械や部品は正常なのに、レンズの現象による色ズレや歪みが原因となって不良品だと判断されてしまっては大問題です。そこで、このようなレンズの現象を極限まで抑えなけばいけないというわけです。
 ちなみに、このようなレンズに発生する色ズレや歪みなどは「収差」と呼ばれることは前回解説しましたね。しかし、さまざまな現象の総称を収差というのであって、それぞれの現象が発生する原因や対処方法は異なっているのです。そこで、今回から3回に渡って、さまざまな収差について細かくみていくことにしましょう。

 まずは、色収差に分類されている軸上色収差と倍率色収差についてから解説していきます。

   
■軸上色収差とは
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●色によって屈折率は異なる
   光は波長によって微妙に屈折率が異なります。この現象はプリズムを使えば実際に目で確認することが可能です。プリズムは、ガラスでできた透明な三角柱です。プリズムを三角形に見えるように置き、真横から自然光を照射します。すると光が、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色に分かれて見えます。ここでは説明を単純化するために、色の三原色である赤、青、緑の3色について着目して話を進めます。


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【プリズムで屈折率の違いを確認できる】
プリズムに光を照射すると色(波長)によって屈折率が異なることを目で確認できます。プリズムは、学校で虹の原理を学習するときに使用するので、実物を見たことがある方も多いのではないでしょうか。 (『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
   
●色がボヤけて見える軸上色収差
 

  プリズムで屈折させた光を見ると、赤い光はあまり角度が付かずに屈折し、青の光は急な角度で、そして緑はその中間くらいの角度で屈折しているのが分かります。これと同じ現象が、実は凸レンズに光を照射した時にも起こっているのです。するとどのようなことが起こるでしょう。赤い光の焦点は、青い光の焦点に比べて、レンズから遠いところに結ばれます。逆に赤い光の焦点は青い色の焦点よりもレンズに近いところに結ばれます。焦点が合わないということは、ピントがズレることを意味します。つまり、物がボヤけて見えるということなのです。

 このように、色によって焦点の距離がズレた結果、焦点がボヤけてしまうことを軸上色収差と呼びます。


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【軸上色収差の模式図】
青い光と赤い光とでは違った位置に焦点ができます。 (『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
 

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【軸上色収差がある場合の映像】
色によってピントの位置が異なるために、像がボヤけて見えてしまいます。
   
●アッベ数とフリントガラス、クラウンガラス
 

 ちなみに、ガラスでできた1枚の凸レンズによる赤と青の焦点距離の差は2%程度と言われていますが、この値はレンズの材質などによって微妙に異なります。この焦点距離の差が大きいレンズを「分散が大きい」といい、差が小さい場合は「分散が小さい」と言います。そして、この分散の度合いを表す値にアッベ数があります。アッベ数はν(ニュー)で表され、フラウンホーファー線という太陽光のスペクトル中に見られる暗線(吸収線)の青、赤、黄の屈折率を元に計算されます。

 ちなみに、カメラに使用するレンズのガラスは、このアッベ数によってガラスを大きく2つに分類しています。アッベ数が50以下のものをフリントガラス、50以上のものをクラウンガラスと呼んでいます。ただし、アッベ数が50前後の場合は、50以上でもフリントガラスとしていることもあり、数値によって厳密に分けているわけではありません。

   
■軸上色収差を取り除く
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●どのようにして軸上色収差を少なくするか
   軸上色収差を取り除く最も簡単な方法は、凸レンズと凹レンズを組み合わせることです。凸レンズでは、赤の屈折が小さく青の屈折は大きいのですが、凹レンズでは逆に、赤の屈折が大きく青の屈折は小さくなるのです。この特徴を合わせれば、赤の焦点も青の焦点も同じ位置に合わせられるわけです。ここで注意すべきなのは、全体としては凸レンズと同じ効果をもたらすように凹レンズを選ぶ必要がある点です。したがって、凸レンズには屈折率が高くてアッベ数の大きいフリントガラスが、凹レンズには屈折率が低くてアッベ数が小さいクラウンガラスが使われます。このように選んだ凸レンズと凹レンズを組み合わせれば、赤い波長の光も青い波長の光も1つの焦点に集められるようになるのです。


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【凸レンズと凹レンズを組み合わせで補正する】
屈折率が高くてアッベ数の大きい凸レンズと屈折率が低くてアッベ数が小さい凹レンズを組み合わせると、赤も青も1つの焦点に集めることができます。 (『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
   
■倍率色収差とは
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●色がにじんで見える倍率色収差
   これまで、凸レンズに照射する光は平行光を考えてきました。しかし、実際にはそれ以外の光軸外からの光も照射されます。では、レンズに斜めから光を照射したと考えてみましょう。
 このとき、色によって屈折率が異なるので、色によって焦点の位置がズレてしまいます。焦点の距離が同じであっても、レンズの中心線からの距離が異なるわけです。この、倍率が異なることによって色がにじんで見える収差のことを倍率色収差と呼びます。「色によって像の倍率が異なる」ともいいます。


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【倍率色収差の模式図】
斜めから照射した光も青い光と赤い光では焦点の位置が違うところにできてしまいます。 (『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
 

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【倍率色収差がある場合の映像】
中央はハッキリとクリアに見えますが、端の方では色がにじんでしまいます。
   
●どのようにして倍率色収差を少なくするか
 

 倍率色収差が大きいレンズでは、中央では黒い文字の輪郭がハッキリしていても、レンズの端の方では輪郭に赤や青色がにじんで見えるようになります。この倍率色収差を抑えるのはとても難しく、対策はさまざまあるものの、なかなか完全に除去できません。光の分散性を非常に低く抑える材質で作った特殊低分散レンズを使用する方法、特定の波長の光だけ屈折率が変わる異常分散レンズを使用する方法、異常分散するように被膜、つまりコーティングを施すなどの方法があります。

 おっと。やはり分量が多いので、色収差を2つ解説しただけでずいぶん長くなってしまいましたね。では、もう一方の分類である単色収差の解説は次回行うことにしましょう。では、次回をお楽しみに!

 

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  レンズの最新技術については、スタジオグラフィックス特別企画
  「メーカーに聞く デジタルカメラのココが知りたい!」にも掲載中。
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