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デジカメの「しくみ」
第3回 : 画素数と画質の関係
 
デジタルカメラの性能を比べるときに使う「画素数」って何?!
画素数が増えると画質はよくなるの?
でも、必ずしも高画素化によって画質が悪くなるわけではない
画像処理技術でデメリットを軽減する
■体系的に学び直す
    デジタルカメラのしくみ


デジカメのしくみ講座の著者、西井美鷹が執筆したデジタルカメラと機能や技術の解説本。 デジカメをもっと知りたい人のために。好評発売中。

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2005/01/12
オリンパス株式会社から発売された400万画素の「CAMEDIA C-770 Ultra Zoom」(上)と320万画素の「CAMEDIA C-760 Ultra Zoom」。緻密な画像が撮影できるのは400万画素のCAMEDIA C-770 Ultra Zoomだが、発色が綺麗なのは…。
 
■デジタルカメラの性能を比べるときに使う「画素数」って何?!
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●デジタルカメラといえば「画素数」ですが
 

 デジタルカメラを買おうとしたときに、真っ先に気になるのが画素数ですよね。デジタルカメラだけでなく、携帯電話に装備されているカメラ機能でも画素数が話題になります。わたくしも、パソコンに興味を持ち始めた知人から「A社のBってデジタルカメラ買おうと思うんだけれど、500万画素モデルと400万画素モデルがあるんだよね。値段も1万円違うんだけれどどっちがいいと思う?」なんて質問をされることがよくあります。このように、デジタルカメラの性能や画質の尺度として使われる解像度ですが、いろいろな雑誌・書籍やWebサイトなどで「画素数だけが画質を左右するわけではない」とか「高画素のコンパクトサイズのデジタルカメラは画質が悪い場合も多い」なぁんて記述も見かけますよね。画素数が多ければ、綺麗な画像が撮影できるはずなのに何故このようなことが書かれることがあったりするのは変ですよね。

 では、デジタルカメラの画素数は、画質にどのような影響を与えているのでしょうか。

今回は、画素数と画質のしくみに迫ってみましょう。

   
●画素数とは 〜総画素数と有効画素数〜
 
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【カタログにも総画素数と有効画素数が表記されている】
デジタルカメラのカタログに画素数を表記するときには、有効画素数を第一に表記すること、総画素数などを表記する場合には、有効画素数と混同することの無いよう「有効画素数600万(総画素数620万)」と書くように、カメラ映像機器工業会から指針が示されている。
 
 画素数と画質の関連の話の前に、画素数とは何を指すかを明確にしておきましょう。

まずは、画素について。

画像をデジタルデータで表すためには、画像を細かく分割して、その分割したものを1つの色で表示する必要があります。このときの分割した領域(面積)を「画素」というのです。この分割を多くすればするほど元の画像に近くなりますし、逆に分割を少なくすればモザイクのようになってしまいます。つまり、画素数が多ければ細かく微細な色の変化も表現できるようになるわけです。デジタルカメラの性能を比べるときに、画素数が使われるのは、こういった理由からなのです。

 デジタルカメラの画素数は、CCDの表面を細かく分割した数によって表されます。つまり、CCDの表面を500万に分割したものが「500万画素のデジタルカメラ」になるわけです。ちなみに、デジタルカメラでは「総画素数」と「有効画素数」という2つの画素数という言葉が使われます。総画素数とはCCDなど撮像素子の画素の総数を指し、有効画素数とは最終的に画像データとして出力されるときに反映される有効な画素の数を指します。猶、「500万画素のデジタルカメラ」と表現されるときには、有効画素数を使うようにカメラ映像機器工業会(CIPA)がガイドラインを定めています。
   
■画素数が増えると画質はよくなるの?
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●デジタルカメラで使われるCCDの種類
   CCDが、光をデジタルデータに変えるしくみは1種類だけではありません。デジタルカメラで使われる代表的なCCDだけでも、「フレームトランスファー方式(FT-CCD)」「インタートランスファー方式(IT-CCD)」「フレームインターライン・トランスファー方式(FIT-CCD)」の3種類があります。それぞれのしくみや特徴を説明するだけで、この連載を1回使ってしまうほどのボリュームがありますので、これらの細かい違いについては今回はチョット省きます。(詳しくは、『体系的に学び直す デジタルカメラの方のしくみ(日経BPソフトプレス刊)』をご覧ください。)
 現在、デジタルカメラで使われるCCDは、IT-CCD方式が主流になっています。特に、コンパクトサイズのデジタルカメラに限っていえば、ほとんどがIT-CCD方式を採用しているといってもいいでしょう。しかし、IT-CCD方式のCCDこそが、画素数が多くなることと画質が良くなることが背反する原因となっているのです。
   
●1つの画素の全面で光を集められるわけではない
 

 デジタルカメラは、CCDを使って光をいきなりデジタルデータに変更しているわけではありません。CCDは、光をまず電荷というものに変換します。この電荷を集めて、その量によってデジタルデータとして表現できるようになるのです。このとき、CCD自体は電荷を集めてデジタルデータに変換することはできずに、CCDの電荷を増幅器という別の場所に転送する必要があるのです。そして、IT-CCD方式のCCDは、1つの画素の中に光を電荷に変換する部分と、電荷を転送する部分の両方を装備している方式なのです。つまり、IT-CCD方式のCCDは、CCDの全面を使って光を受けることはできないのです。
 デジタルカメラが画像データ作り出す素は「光」です。光を多く受けることができれば、色の再現の幅(ダイナミックレンジ)も大きくなります。そして、色の再現の幅が大きいということは、一般的に画質が良いといわれるようになります。しかし、IT-CCD方式では受光面積が小さくなってしまいますから、他の方式に比べると画質は悪くなってしまいます。では、なぜデメリットがあるIT-CCD方式が現在のデジタルカメラに採用されているCCDの主流なのでしょうか。それは、受光して光を電荷に変換するための部分と電荷を転送させる部分とを物理的に分離したパーツとして構成できるので、それぞれの特性を分けて効率良く向上させる開発が行えること、そして製造コストを安くできるという利点があるからです。しかも、画質は最良にはならないとはいえ、極端に使い物にならないというほど悪くなるわけではないので、価格と画質とのバランスがよく取れているとさえいえるでしょう。このような理由から、安い価格で発売しなければいけないコンパクトサイズのデジタルカメラには、IT-CCD方式が多く採用されているのです。


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【IT-CCDは全面を受光領域にすることはできない】
IT-CCDは、1つの画素が、受光して光を電荷に変換するためのフォトダイオード部分と電荷を転送する垂直転送用CCDに分かれているため、全面で光を受けることができない。(『体系的に学び直す デジタルカメラの方のしくみ』より)
   
●画素数が増えると受光面積が小さくなる=画質が低下する!? しくみ
 

 ではここで、IT-CCD方式のCCDを使ったデジタルカメラの画素数を増やすことを考えてみましょう。このようなときに、CCDのサイズを大きくできればいいのですが、通常は今までの大きさのままで画素数を増やすのが一般的です。今回も、CCDのサイズは変更せずに、画素数を4倍に増やしたと仮定してみましょう。このとき、画素1つあたりの面積は、今までの画素数のときに比べてどのようになっているでしょうか。

 画素数を4倍にしたということは、縦も横もそれぞれさらに半分に分割したと考えられますから、面積は1/4になりますよね。ところが、このとき画素1つあたりの面積は1/4になっても、受光できる面積は1/4ではないのです。IT-CCD方式では1つの画素の中に、受光する部分だけでなく電荷を転送するための領域を確保しておかなければいけないのですが、この転送用の領域はさほど小さくすることができず、単純に1/4にできないからなのです。転送用の領域が小さくできなかった分は、受光領域を犠牲にするしかありません。つまり、受光領域は、以前の画素数のときに比べると小さくなってしまうのです。受光領域が小さくなれば、受けられる光の量も少なくなってしまいますから、当然、色の再現の幅も小さくなってしまい、色の深みだけで比べると画素数が多い方が画質が劣って見えてしまうのです。


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【画素数と受光面積】
IT-CCD方式のCCDでは、同じ面積のままで画素数を増やすと受光面積だけが小さくなってしまう。(『体系的に学び直す デジタルカメラの方のしくみ』より)
   
■でも、必ずしも高画素化によって画質が悪くなるわけではない
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●しくみからチョットはずれますが・・・
   では、なぜ画素数がこんなにも注目されてしまっているのでしょうか。しくみからは少しはずれますが、その経緯をお話ししておきましょう。
 画素数を多くするということは、色の再現の幅を小さくしてしまうということになるのですが、それでもデジタルカメラが流行し始めた当時は、画素数が増えることはとても意味のあることだったのです。それは、この頃のデジタルカメラは、画素数が少なかったためです。当時は、30万画素程度のデジタルカメラが販売の主流となっていました。このデジタルカメラで撮影した画像は、だいたいVGAサイズ(640×480ドット)程度の大きさになります。しかし、このときパソコンの解像度の主流は、すでに1024×768ドットや1280×960ドットに移行していました。すると、こういったパソコンの壁紙にすることすらキツイようなサイズでしか写真を撮れないということになります。このような理由から、最初のうちはより大きい解像度の画像データが撮影できるかという目安となる画素数がデジタルカメラを選ぶ上で重要な要素となっていたのです。
   
●細かさをとるか、色の表現力をとるか
   しかし、200万画素を超えるデジタルカメラばかりの昨今では、当時とは話が違ってきます。あまり画素数が多くなっても、今度はパソコンには表示しきれなくなってしまうからです。例えば、1200×1600ドットの表示だとどれくらいの画素数が必要になるかというと192万になります。これより高解像度のパソコンを使っている方は少ないですよね。つまり、ホームページなどに使うための写真を撮影するのであれば、200万画素以上は原理的にいえば必要はないということができます。また、写真を印刷するには多くのデータがあった方が良いので画素数が多い方が良いのですが、それでも写真プリントのサービス版で200〜300万画素、一回り大きなポストカード程度でも400万画素あれば充分だといえます。したがって、400万画素以上のCCDを使っているデジタルカメラを購入する場合には、どれくらい色の再現力が落ちてしまっているかを撮影した画像を自分で見て、確認してからにするといいでしょう。もちろん、画素数が多くなれば、より緻密な画像データを得ることができますから、一概に高画素化が悪いというわけではありません。細かさをとるか、あるいは色の表現力をとるかということを考えてデジタルカメラを選ぶと良いでしょう。


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【パソコンの表示解像度と画素数】
200万画素の画像データは、1200×1600ドットの高解像度パソコンでも表示しきない。撮影した画像をホームページで使うことがメインなら、200〜300万画素もあれば充分だということが分かる。(『体系的に学び直す デジタルカメラの方のしくみ』(神崎洋治・西井美鷹:著/日経BPソフトプレス刊)より引用)
   
■画像処理技術でデメリットを軽減する
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   最近では、この受光面積の縮小化による色の再現性の低下を補う技術の開発が活発になってきて、デジタルカメラの高画素化を助けています。
 CCDの電荷は、増幅器という別の場所に転送されてデジタルデータになるといいましたが、このデジタルデータは、私達が普段見ている画像データとは少し違います。増幅器によって作られたデジタルデータをさらに人間が見てより美しく、そしてより自然に見えるようにさらに加工されて、私達が手にする画像データとなっているのです。このように加工する技術を画像処理技術といいます。現在の画像処理技術の中には、高画素化による色の再現力低下をなるべく少なくするために、少なめの電荷の量でも綺麗な画像データを作成できるような技術も登場しています。画像処理技術に特化していたり、映像エンジンなどを搭載している高画素のデジタルカメラが、少ない画素数のデジタルカメラよりも綺麗な写真が撮れることもありますので、デジタルカメラを選ぶときには、このようなところにも着目するようにしてみましょう。

 
 
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