夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第47回 お台場以外にも撮影エリアが充実!東京ベイエリア夜景の撮り方入門
Photo : Takuya Iwasaki
TOPIX
全国各地の夜景スポットをご紹介するシリーズも10回目を迎えました。今回は大人気の東京ベイエリアの夜景スポットをご紹介します。しかしながら、定番である「 お台場 」を外してのご紹介です。ちょっとした穴場スポットかもしれません!ぜひ、ご覧ください。 by 編集部 |
10月に入り、築地市場が豊洲市場へ移転するニュースが大きく報道されました。東京ベイエリアは東京オリンピックの開業に合わせて、大規模な工事・整備が行われており、街の景観も日々変化する一方で、新しい夜景スポットも生まれつつあります。今月は定番中の定番である「お台場」以外の夜景撮影スポットを解説します。
写真1 東京オリンピック開催に向けて変化する東京ベイエリア
■東京ベイエリアの特徴
東京ベイエリアが具体的にどこのエリア(地名)を示すかは、明確には決まっていないが、一般的には港区・中央区・江東区の3つの区の臨海部を表す。東京都の「東京ベイエリアビジョン(仮称)」によると北は築地から南は青梅までがエリアに含まれている。一般的には東京ベイエリア=お台場をイメージする人がほとんどで、夜景撮影においてもメインはお台場エリアとなるが、豊洲・有明エリアを中心に公園の整備が進んでおり、ここ最近は急速に夜景スポットが増えている。逆に東京オリンピックの工事の影響で、東八潮緑道公園などが工事で立入が規制(一部)されている場所もあり、事前の情報収集が欠かせない。
写真2 東京ベイエリアの地図
(地図素材:CraftMap)
■東京ベイエリアの夜景撮影のポイント
東京ベイエリアで夜景を撮影するにあたり、特段気をつけることは無いが、1日に複数の夜景スポットを巡るなら、日没の時間に合わせてタイムスケジュールを組んだり、撮影スポットが工事などで立入禁止になっていないか、インターネット等で予め調べておきたい。撮影機材は標準ズームレンズや望遠レンズズームを使用することが多く、レインボーブリッジやジャンクションを間近で撮るようなシーン以外は広角ズームレンズの出番はほとんど無いだろう。
写真3 駐車場が整備された「豊洲ぐるり公園」
(1)梅雨時期などを外せば年間を通じて撮影できる
関東地方は「冬晴れ」の傾向があるため、秋~冬が最も撮影に適しているが、雪の影響などはめったに受けないため、年間を通じて撮影が楽しめる。1日に長時間撮影するなら、日没の早い秋~冬がベスト。
(2)公共交通機関、車のどちらでもアクセスしやすい
電車でのアクセスが良好で、ゆりかもめに乗車すれば、多くの主要スポットを訪問できる。一日乗車券でお台場エリアも合わせて訪問するのも良いだろう。
(3)風の強い場所が多いので、安定感ある三脚が望ましい
公園など海に面した撮影スポットが多いため、風の影響を受けやすい。特に望遠レンズを使って東京タワーやレインボーブリッジを撮るようなシーンでは、丈夫で安定感のある三脚を使いたい。
(4)工事やイベントなどの情報を予め入手したい
東京ベイエリアは東京オリンピックの関係で、公園や施設の工事が行われており、立入が規制されている場所も多い。例えば隅田川に架かる永代橋や清洲橋は工事の関係で、ライトダウンしていたりと、夜景撮影への影響が大きいので、訪問する場所の情報は予め調べておくと良いだろう。
■撮影スポット(1)豊洲ぐるり公園
2017年7月に部分開園し、2018年4月に全面開園した広大な公園。園内は東京ベイエリアを一望でき、レインボーブリッジを中心に東京タワーから東京スカイツリーまで広範囲に見渡せる。アクセスも良く、開放感ある公園からは東京屈指のベイエリア夜景が楽しめる。撮影から鑑賞まで幅広いシーンで楽しめ、雰囲気も良いので、お台場エリアと合わせて訪れると良いだろう。レインボーブリッジは距離があるので、70mm前後から始まる望遠レンズを持参すると良い。(地図)
写真4 トワイライトタイムにレインボーブリッジを写す
■撮影スポット(2)東雲水辺公園
辰巳運河沿いに整備された公園。辰巳桜橋からはタワーマンション群が見渡せ、位置によっては東京スカイツリーも遠くに見える。住宅の明かりなので、平日と休日で光量差はさほど無いが、平日は通勤帰りの会社員が多いので、休日の方がゆったりできる。(地図)
写真5 広角レンズでタワーマンション群を写す
■撮影スポット(3)富士見橋
豊洲と有明を結ぶ橋で、豊洲市場が完成する前は東京スカイツリーも見渡せた。レインボーブリッジが被写体の中心となるが、東京都心のビル明かりも良く見えるので、豊洲ぐるり公園をアクセントに写す構図もおすすめ。歩道はフットライトで照らされていて雰囲気が良く、初心者でも訪問しやすい。(地図)
写真6 東京都心のビル群と豊洲ぐるり公園を移す
■撮影スポット(4)有明北緑道公園
有明エリアに整備された縦長に広大な公園で、北側は東京タワーやレインボーブリッジが見渡せ、南側は有明JCTやパレットタウンの観覧車が見渡せる。入口は少しわかりにくいが、有明スポーツセンター付近と、木村屋総本店の横に通路から公園内に入れる。立ち位置によって景観が大きく異なるので、撮影に夢中になると1時間でも全然足りないほど。歩く時間も長くなるので、時間に余裕を持って訪問したい。(地図)
写真7 望遠レンズで東京タワーを中心に写す
■撮影スポット(5)晴海大橋
晴海と豊洲を結ぶ橋で、両側に歩道が整備されている。西側の歩道からはレインボーブリッジ、東側の歩道からは豊洲や晴海のタワーマンション群を中心に、ららぽーと豊洲まで見渡せる。作例は東側の歩道から撮影しており、タワーマンションの温かみある明かりが印象的。橋の歩道は大型車両の通行で揺れることがあるので、撮影時は車の通るタイミングを見極めながら、ブレに注意したい。(地図)
写真8 タワーマンション群とららぽーと豊洲を写す
■今月のお勧め夜景スポット「有明スポーツセンター」
NHK@首都圏「ひるまえほっと」でも紹介された、知る人ぞ知る穴場スポット。展望廊下からはお台場方面を中心に夜景が見渡せ、東京タワーやレインボーブリッジも見える。室内からの撮影となるため、写り込み対策をしっかりしよう。
有明スポーツセンター
営業時間:22時まで(休館日あり)
所在地:東京都江東区有明2-3-5
アクセス: ゆりかもめ「お台場海浜公園駅」約14分(駐車場あり)
料金:無料
URL:有明スポーツセンター(夜景INFO)
写真9 お台場方面を写す