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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第29回 光跡夜景の撮り方・多重露光編

Posted On 2017 4月 19
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Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

今回の夜景講座は人気の高い 「 光跡夜景の撮り方 」の 「 応用編 」です。隅田川を被写体にした光跡夜景の撮り方です。近隣にお住まいの方でしたらすぐにでも実践が可能ですね。NDフィルターの活用。初心者でも難しくない、レタッチソフトを使用した比較明合成の操作も解説しています。by 編集部

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4月半ばに入り、気候もずいぶんと暖かくなってきました。今回は「第8回:光跡夜景の撮り方」に続く応用編として光跡の多重露光を取り上げたいと思います。隅田川大橋の歩道から屋形船の光跡を綺麗に撮るコツからレタッチまでたっぷり解説します。

写真1 比較明合成の作例(3枚重ね)

比較名合成の夜景作例

隅田川大橋で撮影した屋形船の光跡。ND4フィルターを使い、2分程度露光して3枚続けて撮影し、レタッチソフト(DPP)で比較明合成した。

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■光跡の撮影に適した露出時間を計る

大前提として光跡を撮る場合、光跡が画面全体で繋がるために露出時間を見極める必要がある。マニュアル露出だと30秒が最大となるため、光跡を画面全体に入れるのに30秒を超える場合は、「バルブ(B)」での撮影が必須となる。隅田川大橋で船の往来時間を確認したところ、永代橋~隅田川大橋まで60~120秒ぐらいの時間がかかっていた。

写真2 まずは船の運航速度をチェック

光跡の時間を目視で計測

屋形船の運航速度を見ながら、適切なシャッター速度を見極める。当然ながら船によって速度も異なるため、数隻の平均速度を測っておきたい(写真はスマホで撮影)。

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■露出時間によってはNDフィルターを活用する

シャッター速度が30秒を超える場合、露出がオーバーになってしまう可能性が高い。一般的に夜景を撮る時は絞りはF11前後でISO感度を100に設定することが多いが、仮に60~120秒シャッターを開けて露出を±0に保つとするとF22~F29ぐらいまで絞る必要があり、回折現象(小絞りボケ)により画質が低下する可能性がある。そのため、NDフィルターを活用することで、絞り込み過ぎずに適正な露出で撮影できる。今回はケンコー製のND4のフィルター(77mm)を活用した。

写真3 NDフィルター

NDフィルター

NDフィルターは製品によって露出が下がる段数が異なる。通常の夜景撮影では必要無いが、花火撮影でも使えるのでND4またはND8のフィルターを持っておくと良いだろう。

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■カメラ側の多重露出設定はOFFに!?

最近のデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼はカメラ本体側で多重露出ができるが、基本的にカメラ側の多重露光は使わない方がいい。その場で合成できる手軽さがある反面、合成処理に時間がかかって撮影タイミングを逃してしまう可能性があり、後からレタッチソフトで合成する写真を自由に組み合わせられなくなるからだ。画像の合成はPhotoshopのような有料の専用ソフトを使わずに、本体付属の無料ソフトでも合成できる場合も。

写真5 多重露出設定画面

多重露出撮影機能はOFFで

後々のレタッチの手間を省きたい場合は、撮影時に多重露出するのもアリだ。

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■長時間露光時のノイズリダクションもOFFに

ノイズリダクションを有効すると、露出時間と同じだけのノイズ低減処理時間が発生し、タイミングが重要視される光跡撮影においては致命的。ノイズはできるだけ目立たせたくないが、RAWで撮影しておいて、後からレタッチソフトでノイズを除去する方が良いだろう。

写真6 ノイズリダクションの設定画面

長時間露光のノイズ低減はOFF

通常の夜景撮影時はノイズリダクションをONにしておきたい。

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■タイマーレリーズが無い時のスマホ活用法

30秒を超える場合、タイマー内蔵のレリーズを使っての撮影がおすすめ。通常のレリーズを使う場合、スマホの時計アプリやストップウォッチを使って、露出時間を計ると良いだろう。この方法ではどうしても写真ごとにわずかな露出時間のずれが生じるが、比較明合成であれば少々のズレは気にならないはず。

写真7 スマホの時計アプリを活用

タイマーレリーズが無い時の対処法

スマホの時計アプリを起動し、レリーズのシャッターを押すタイミングと合わせて露出時間を計測。

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■バルブモードで複数枚撮影

事前準備が整ったところで、実際の撮影に入っていきたい。今回はF13/ISO 100に固定し、バルブモードで80秒程度シャッターを開けた。同じカメラ設定・位置で4枚の写真を撮影。撮影日が平日の夜だったため、休日に比べて船の運航が少なく、かなりの待ち時間が発生した。

写真8 合成写真1枚目(19:51)

合成写真1

写真9 合成写真2枚目(20:07)

合成写真2

写真10 合成写真3枚目(20:24)

合成写真3

写真11 合成写真4枚目(20:35)

合成写真4
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■レタッチソフトで比較明合成

撮影後の画像データを開き、CANONのDigital Photo Professionalで比較明合成した。操作方法はいたって簡単で、画像を選択して合成していくだけなので、初心者でも難しくない。

写真12 DPPの多重合成ツール

DPPによる比較明合成

多重合成ツールを起動し、光跡の撮影画像を比較明合成した。

写真13 レタッチ完成後の写真

比較名合成2

今回は4枚の画像で合成しているが、撮影枚数を増やせばより多くの光跡を合成できる。

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■今月のお勧め夜景スポット「隅田川大橋」

今回は光跡を撮影した隅田川大橋を紹介したい。車道の両側(南北)に歩道があり、永代橋と一緒に光跡を撮るなら南側、清洲橋と東京スカイツリーを写すなら北側がおすすめ。公共交通機関でもアクセスしやすく、橋の西側には車とバイクが停められるコインパーキングもあり、アクセスの良さもポイントが高い。

夜景スポット名
訪問時間:終日(ライトアップは21時まで)
所在地:東京都江東区佐賀1丁目
アクセス:東京メトロ半蔵門線「水天宮前駅」徒歩約8分
料金:無料
URL:https://www.nightview.info/yakei/detail/sumida_bridge/

写真14 隅田川大橋の雰囲気

隅田川大橋

南側の歩道の雰囲気。歩道の幅が広く、最前列であれば三脚を立てても通行者の迷惑になりにくい。立ち位置によって、永代橋とリバーシティの高層マンションの重なり方が大きく変化するので、明るい時間からベストな撮影ポイントを押さえておくと確実。

著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。