萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第6回
SAMYANG 20mm F1.8 ED AS UMC
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのはフルサイズ対応 20mm 単焦点広角レンズ「 SAMYANG 20mm F1.8 ED AS UMC 」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ 価格から想像できない描画性能
「 SAMYANG 20mm F1.8 ED AS UMC 」は、35mm フルサイズフォーマット用としてデザインされたマニュアルレンズで、開放値は F1.8 と、標準レンズ近辺と変わらない開放値を持つ 20mm 広角レンズだ。このところレビューさせていただいているサムヤンレンズに共通して言えることだが、このレンズにもマウント部に電子接点がない。よってマニュアルフォーカスで自動絞りにも当然対応していない。となれば、カメラ側での収差などの処理も対応されない……ということ。だからその分、レンズそのものの性能を安定的に提供しなければならない。
SAMYANG 20mm F1.8 ED AS UMC のレンズ構成は 12 群 13 枚。2枚の非球面レンズと3枚の低分散レンズを採用する贅沢ぶりで、各収差を良好に補正し対応している。フレアとゴーストを最大限に抑えるウルトラコーティング仕上げも施していて、価格からはうかがえない上品な写りをしてくる。絞り羽根は7枚。フィルター径は 77mm だ。
マウントは、ニコンF、キヤノン EF、ペンタックスK、ソニー A/E、キヤノンM、富士フイルムX、マイクロフォーサーズ、とほとんどのマウントがラインナップ。今回の撮影にはキヤノン EF マウントを拝借し、カメラは EOS 5D Mark III を使った。
カメラに装着したレンズとのバランスは良好。フォーカスリングのトルク感はやや重めだが、慎重なピント合わせにはこれくらいがちょうどいい。正直なところ、これだけ明るい広角レンズでは、カメラの明るいファインダーも手伝って、ピントのヤマをつかみにくい。必然的に慎重になるピント操作に加え、ライブビューも併用することだろう。それを考えるとピントリングのトルクもいいし、リング幅も手にフィットしていい感じだ。
絞りは 1/2 段クリック。最大絞りは f22。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 20mm F1.8 ED AS UMC |
■ スナップで試してみた
■ 総評
20mm となると、なかなか単焦点レンズで扱う機会が少ない方も多いだろう。各メーカーで 16-35mm 域の広角ズームが出揃い、20mm はその中間の焦点距離くらいに思われている、いわゆる「 地味な存在 」ではあるだろう。しかしその分新鮮さに溢れる焦点距離の一つに気づくだろう。またズームでは、明るくても F2.8 か、せいぜい F4。開放値 F1.8 という大口径ならではのボケも味わえるし、20mm だけで割り切って撮影すると、これがなかなか面白い。構図にどう入れようか、どう寄ろうか、など、極端なパースが印象的な超広角ほどのインパクトが付かない分、丹念に作画していく必要があり、それが撮影執着心を掻き立てるのだ。使いこなしてやろう! という征服意欲というか、それも面白い。
多くの方にオススメしたい画角とは言い切れないし、MF をはじめとした、使い勝手に慣れが必要なレンズだが、ハマる人はハマる! といった玄人好みのレンズだ。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 20mm F1.8 ED AS UMC |
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸