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StudioGraphics Special Issue
製品レビュー & 特集 |
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広角レンズレビュー 「TOKINA AT-X 16-28 F2.8 PRO FX」 |
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第2回 広角ズームレンズ対決 Tokina vs Nikon vs Canon |
2011/04/20 |
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「第1回 フルサイズセンサーを活かせる広角ズームとは?」では、著者がお気に入りの広角ズームレンズとの出会いとそのいきさつを解説しました。今回はいよいよ広角ズームレンズ対決。
ニコンとキヤノンの純正広角ズームレンズにトキナーAT-X 16-28 F2.8 PRO FX を加えて、解像力、歪曲収差、周辺光量の低下、逆光時のゴーストやハレーション発生についてを比較チェックします。実写・実寸画像も多数掲載。
また前回と同様に、トキナーAT-X 16-28 F2.8 PRO FX による作例も撮影のポイント付きで紹介します。
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ニコン、キヤノンのF2.8超広角ズームと比較テストすることに… |
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トキナーの広角ズームレンズ「トキナー AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」の外観写真。 |
ボクが使っているのは、宮本製作所製のマウントアダプターに絞り可変機構と電子接点を追加した海外製のマウントアダプター。近代インターナショナルが販売している製品の旧バージョンに相当する。ただ、近代インターナショナルが輸入しているのは電子接点なしのバージョンのみ。電子接点付きが欲しい場合はここから個人輸入するしかない。 |
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「トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」を購入して2か月が経ち、その描写性能にも満足している。でも、最後まで気になるのが、「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」の描写性能だ。やっぱり多少の不便を我慢してでも、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDにマウントアダプタ経由でEOS5D MarkIIに装着した方が幸せになれたのではないか、ボクの決断は間違っていなかったのか? という迷いが未だボクの心の中でくすぶっていた。
そんなとき、「スタジオグラフィックス」から、トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXのレビューを書いてみないかという依頼が舞い込んできた。話を聞いてみると、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDと撮り比べも考えているという。ボクにしてみれば、願ったり叶ったりの話だ。
ただ、ニコンD700では、そこまでのレンズ性能を求めない画素数(画素ピッチ)だし、ニコンのデジタル一眼レフは、純正/非純正レンズを問わず、画像処理エンジンで倍率色収差を補正してくれるので、レンズに倍率色収差が存在するのか、しないのか、JPEG撮りではまったくわからない。ボク自身、AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXの購入前に、EOS5D MarkIIで実写したレビューやサンプル画像をインターネットを探してみてみたものの、フル画素で撮影した撮って出しのノーレタッチ画像はなかなか見つからず、自分自身で実写してみるまで、AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXの真価を図りかねていた。
そんなこともあって、できれば、より画素数の多いニコンD3X(RAWで撮影してCaptureNX2で現像すれば、倍率色収差補正をOFFにすることもできる)の貸し出しを打診したものの、残念ながら手配できないという。そこで、件のマウントアダプタを使って、EOS5D MarkIIに装着して画質比較をすることを提案。防塵防滴のゴムパッキングを一時取り外す必要があるが、テスト終了後に、ニコンのサービスセンターで有償で装着し直してもらえる、ということで、ゴーサインが出た。さらに、せっかくキヤノンEOS5D MarkIIを使って比較をするのならと、キヤノン純正のフラッグシップである「EF16-35mm F2.8L II USM」も加えた3本で比較テストを行うこととなった。 |
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フルサイズの広角描写で一番気になるのが周辺画質 |
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ボクがキヤノンEOS5D MarkIIをあまり積極的に使わなくなったのは、超広角の風景撮影で周辺部が流れたり、倍率色収差による色ズレが気になるからだ。主要なキヤノン純正レンズであれば、RAWで撮影してDPP(Digital Photo Proffesional)で現像すれば、倍率色収差を目立たなくすることはできるが、周辺部の描写の甘さというか乱れは、F11まで絞っても気になってしまう。
そんなわけで、ボクが超広角ズームにもっとも求めている性能は、たとえピクセル等倍でチェックしても周辺部に流れや甘さがなく、倍率色収差も少ないということ。ピクセル等倍鑑賞なんてナンセンス、と揶揄されるかもしれないが、そこまでの描写性能が得られないのであれば、APS-Cサイズのデジタル一眼レフとデジタル専用の超広角ズームの組み合わせで十分。そのほうが小型軽量でフットワーク軽く撮影できるし、画角の広さだって今やフルサイズに負けていないからだ。大きく重いフルサイズ用超広角ズームを持ち出すからには、周辺画質も含め、飛びっ切りの高画質が得られなければ存在意義はない!
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細部描写力(解像力) |
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昔から、レンズの描写性能をチェックするには枯れ枝を撮るのが一番、と言われているかどうかは知らないが、少なくともボクは先達からそう教えられた。レンズの解像力テスト代わりに壁に貼った新聞紙を撮る、という人もいるが、少なくとも超広角ズームで新聞紙を画面いっぱいに撮影するには、撮影距離がかなり短くなってしまい、一般的な風景撮影における撮影距離とは大きく異なってしまう。やはり、実際に撮影する被写体に近い撮影距離で実写テストしたほうが理にかなっている。
というわけで、テスト被写体に選んだのは、自宅近くの桜並木。毎年、きれいな桜のトンネルを見せてくれる場所で、毎年、いろいろなカメラやレンズで撮影しているが、とにかくレンズ性能、とりわけ周辺画質が問われる被写体だ。あと1週間もすれば桜の花もほころび始め、おそらく10日後には満開の桜が見られるはずだが、残念ながら原稿の締め切りは延ばしてはもらえない。まあ、レンズの性能テストには、枯れ枝のほうがわかりやすいので、殺風景な被写体で申し訳ないが、その点はご容赦願いたい。
ちなみに、キヤノンEOS5D MarkIIの主なカメラ設定は以下の通り。
・撮影モード=マニュアル露出
・撮像感度=ISO200
・高輝度側・階調優先=しない
・オートライティングオプティマイザ=しない
・周辺光量補正=しない
また、ピント合わせはライブビューの拡大表示を見ながらマニュアルフォーカスで調整。AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDはマウントアダプタ経由で装着しているので、シャッタースピードの変化を見ながら絞り位置を調整している。
16mm付近 F2.8 での撮影画像(全体イメージ) |
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ニコン「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」 |
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トキナー「AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」 |
キヤノン「EF16-35mm F2.8L II USM」 |
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こうして、代表的な焦点距離で絞り値を変えながら3本のレンズで撮り比べ、実写結果を並べてみると、予想はしていたものの、やはりAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDの描写性能が飛び抜けて高いことに驚かされる。どの焦点距離域でもごく四隅を除いては、F2.8絞り開放からまったく乱れもなく、非常にシャープで整った描写だ。F4まで絞ればさらに切れ味が向上する。
一方、トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXは、絞り開放では周辺部の描写がやや甘めで、特に四隅で解像が乱れてしまうのが惜しいが、EOS-1D系のAPS-Hサイズ相当の範囲はかなりシャープでキレの良い描写。特に16mm域での画面中央の描写は、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを上回る切れ味の良さで、枯れ枝の輪郭がエッジ立って見えるほど。1段絞ってF4にすると、ごく四隅を除いて周辺画質も安定し、さらにF5.6まで絞れば、ほぼ満足できる周辺画質になる。F5.6〜F8がこのレンズの性能を最大限に引き出せる絞り値だ。
キヤノンEF16-35mm F2.8L II USMは、ズームテレ端の35mm以外は、画面周辺部での画質低下が顕著で、特にワイド側ほど周辺部が流れたように写り、この個体に若干の片ボケが生じていることもあって、F8まで絞っても画面右側に若干の甘さが残っている。ズーム中域の24mm域ではF5.6まで絞るとごく四隅を除いて描写が安定するが、実売で20万円以上するレンズとしては、絞らないと周辺画質が安定しないというのは困りもの。この個体以外のEF16-35mm F2.8L II USMも2本ほど過去に使ったことがあるが、いずれも似たり寄ったりで、肝心のワイド端の周辺画質に不満が残る。キヤノンユーザーの一人として、周辺画質にこだわったEOS5D MarkIIの描写性能を最大限に引き出せる高性能超広角ズームの登場を切に願っている。
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細部実寸比較 16mm付近 画像比較(抜粋) |
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写真の中央付近と左上端の実寸画像。
- 中央付近(F2.8)
- 左側付近(F8.0)
縮小画像をクリックすると撮影実画像を表示しますが、10MBを超えるものもあります。ダウンロードに長い時間がかかる場合があり、 回線の混雑時には正常に表示できない場合があります。 ブラウザの設定によっては自動で縮小されて表示されます。 |
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↑ Nikon 16mm F2.8 |
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↑ Tokina 16mm F2.8 |
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↑ Canon 16mm F2.8 |
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↑ Nikon 16mm F8.0 |
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↑ Tokina 16mm F8.0 |
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↑ Canon 16mm F8.0 |
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> すべての比較画像をみる
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歪曲収差と周辺光量低下 |
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次に、歪曲収差(ディストーション)と周辺光量のチェックだ。個人的には、それほど歪曲収差に目くじらを立てないほうなので、よほど不自然な陣笠の歪曲収差でもなければ許容してしまうが、世の中には歪曲収差を徹底的に毛嫌いする人もいるので、一応チェックしてみた。
撮影距離は約1m。歪曲収差は撮影距離が短くなるほど強調される傾向があるので、遠景の被写体を撮影したときは、もっと歪みが目立ちにくくなる可能性もあるが、とりあえず歪曲収差の傾向を掴むには撮影距離が短い方が歪みが誇張されてわかりやすい。
3本ともワイド端で(陣笠を含む)タル型、テレ端で糸巻き型の歪みが認められるが、3本のなかではトキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXの歪みがおとなしく、画面中央が膨らんで見えにくい。絞り開放時の周辺光量低下ももっとも目立ちにくい。ただし、同じ16mmでも実際の画角はトキナーがもっとも写っている範囲は狭いようだ。
また、キヤノンEF16-35mm F2.8L II USMは、ズーム中域からテレ端の35mm域で糸巻き型の収差が少し目立つ。周辺光量低下もそれなりに目立つが、EOS5D MarkIIの[周辺光量補正]を[する]にすれば、画像処理で周辺光量低下を目立たなくすることができる。このあたりは純正の組み合わせの強みだ。
歪曲収差と周辺光量 比較画像 16mmの場合 |
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↑ ニコン「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」 16mm |
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↑ トキナー「AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」 16mm |
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↑ キヤノン「EF16-35mm F2.8L II USM」 16mm |
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歪曲収差と周辺光量 比較画像 24mmの場合 |
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↑ ニコン「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」 24mm |
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↑ トキナー「AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」 24mm |
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↑ キヤノン「EF16-35mm F2.8L II USM」 24mm |
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> すべての実寸画像をみる
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逆光性能 |
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トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXを使っていて、神経を使うのがゴーストの発生だ。とにかく前玉が巨大で突出しているので、前玉に光が当たりやすく、その分、ゴーストも発生しやすいのだ。前玉が突出しているという点では、ニコンのAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDも同様だが、ニコンには「ナノクリスタルコート」という秘密兵器があり、ゴーストが出にくいと定評が高い。
もっともどんなレンズでもゴーストが出やすい画角、光源の位置というものがあり、そのすべてのパターンを検証するのはむずかしい。今回、16mm域で画面内に太陽を入れた例でゴーストの出方を比較しているが、あくまでこれは一例に過ぎず、光源の位置やレンズの画角によっては、また違った結果になる。ただ、コーティングの効果やゴーストの色味など、基本的な傾向は掴めると思う。
逆光画像比較 |
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↑ ニコン「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」 |
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↑ トキナー「AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」 |
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↑ キヤノン「EF16-35mm F2.8L II USM」 |
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この例を見ればわかるように、ナノクリスタルコートが施されたレンズといえども、ゴーストがまったく出ないわけではなく、出るときはしっかり出る。とはいえ、比較的ゴーストは淡く、フレアも少ないので、ゴーストが発生したとしてもちょっとしたフレーミングの変更で、ゴーストの出方をコントロールしやすいレンズと言える。その点、トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXは、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDよりもゴーストが明るく、若干、ゴーストの量も多めなので分が悪いが、他の作例を見ればわかるように、ゴーストが出たとしても、その出し方をうまく処理すれば、それはそれで画面効果として活かすことができる。また、光源が画角外にある場合は、手で光を遮るなどうまくハレ切りを行うことである程度回避は可能だ(このあたりについては、次回取り上げることにするのでお楽しみに)。
キヤノンEF16-35mm F2.8L II USMは、前玉が突出していないこともあって、小さなゴーストが局所的に出るだけで済んでいる。ワイド側では逆光に比較的強いレンズだが、テレ側にズームしていくにつれ、ゴーストが目立ちやすい位置もあるので油断は禁物だ。ただ、以前のEF17-35mm F2.8L USMのように、画面内に太陽を入れただけで盛大にゴーストが発生していたことを思えば、安心して逆光シーンに挑めるレンズだ。
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レンズ比較 まとめ |
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以上、3本の大口径超広角ズームをテストしてみたが、絞り開放から究極の画質を求めるならニコンAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDをチョイスするのがベストだろう。ただ、マウントアダプタを使ってEOS5D MarkIIに装着する場合には、AFは使えないし、絞りも手動で絞り込む必要があるので、利便性はないに等しくなる。それに、前回述べたように、14mmという画角はパースペクティブが強調されすぎて、やや特殊な描写になりやすい。
その点、トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXは、常用の広角ズームとしては16mmスタートで十分だし、テレ端が28mmまでカバーしているのも、実際使ってみるととても便利。周辺画質もF5.6まで絞れば安定するので、EOS5D MarkIIで広角の風景撮影をするなら、現状、一押しのズームレンズだ。
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作例 |
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トキナーの広角ズームレンズ「TOKINA AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」で撮影した作例集。
※「拡大画像」ボタンをクリックすると大きいサイズの画像を表示します。
「実寸画像」をクリックすると撮影実画像を表示しますが10MBを超えるものもあります(縦横向きも実際のものです)。
長いダウンロード時間がかかる場合があり、回線の混雑時には正常に表示できない場合があります。
ユーザのブラウザの設定によっては自動で縮小されて表示されます。
作例01 |
新宿NSビルの巨大時計。パープルフリンジや色収差が目立ちやすいシーンながら、細い線もくっきりと描写できているのがわかる。歪曲収差も少ないので、安心して直線を画面周辺に入れることができる。開放F値がF2.8なので、2段絞ってもまだF5.6と明るく、光量の少ないシーンも心強い。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm マニュアル露出 F5.6 1/160秒
ISO320 WB:オート |
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作例02 |
新宿の高層ビルの壁面のディテールまで鮮明に写し取っている。超広角ズームや標準ズームのワイド端では、画面周辺部に緑やマゼンタの色ズレ(倍率色収差)が出やすいが、このズームは倍率色収差が(超広角ズームとしては)非常に少なく、JPEG撮りでもスッキリとした描写が得られるのが魅力だ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F5.6 1/500秒
+0.3EV
ISO100 WB:オート |
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作例03 |
太陽を木の枝で少し隠して光を弱めて撮影すれば、ゴーストを低減させることも可能。ただ、太陽を完全に隠してしまうと光のキラメキが失われてしまうので、多少ゴーストが残るくらいのほうが個人的には好き。ゴーストをいかに処理するかが腕の見せ所だ。それにしても枯れ枝の細い線が実に克明に描写されているのには感心する。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F8.0 1/250秒
ISO100 WB:オート |
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作例04 |
歪曲収差の出方をチェックするために、わざと直線を画面周辺部に入れて撮影。18mm域ではわずかにタル型の歪みが残っているが、広角レンズとしてはなかなか優秀な部類。歪みも素直なので、ソフトウェアによる歪曲収差補正もやりやすそうだ。ピクチャースタイルは[ニュートラル]で、シャープネスのみ[スタンダード]相当に調整している。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:18mm 絞り優先オート F9.0 1/320秒
ISO100 WB:オート |
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作例05 |
横浜大桟橋を出港間際の豪華客船「飛鳥II」。これまでの作例を見ると、どうしてもワイド端16mmとテレ端28mmでの撮影が多くなってしまうが(反省)、これは25mm域での撮影。超広角というほど遠近感も強くなく、扱いやすい画角だ。うっかりすると、背景の海岸線で水平を合わせてしまいがちだが、画面中央の垂直の線が垂直になるように構図を調整しよう。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:25mm 絞り優先オート F8 1/500秒
ISO100 WB:オート |
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作例06 |
横浜市開港記念会館にて。外光が入る室内ながらそれほど明るくはない場所なので、シャッタースピードを確保するため、絞りをF3.5と開け気味にして撮影。普及型ズームなら絞り開放(ワイド端)になるところだが、このズームなら開放から2/3段絞っているので、その分、周辺画質に余裕ができる。ただ、よく見ると右下に人の頭が写っていた。ライブビュー画面では気がつかなかった。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F3.5 1/15秒
ISO100 WB:オート |
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作例07 |
都営大江戸線の汐留駅から地上に向かうエスカレータから。超広角ズームを持っていると思わず撮影してしまう場所だ。ほとんどの超広角ズームは倍率色収差でガラス枠の周囲に緑やマゼンタの色ズレが出てしまうが、AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXだと実にスッキリとした描写が得られるので大満足だ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F5.6 1/640秒
ISO100 WB:太陽光 |
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作例08 |
浜離宮恩賜庭園の入り口から。ここもよく撮影する場所だ。以前、EOS5D MarkIIで別の超広角ズームでこの風景を撮影したとき、周辺画質のあまりの悪さに驚愕。それ以来、フルサイズ不信になっていたのだが、AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXで撮影したカットを見て安心。これくらい安定した周辺描写が得られるなら、EOS5D MarkII本来の描写性能を楽しめる。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:19mm 絞り優先オート F8 1/800秒 +0.3EV
ISO200 WB:太陽光 |
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作例09 |
画面左上に太陽が写り込んでいて、その周囲の木漏れ日にわずかにパープルフリンジが認められるが、その量は極めて少ないことがわかる。手前の樹木と奥の高層ビルの両方にピントを合わせようとF10まで絞り込んで撮影しているが、解像力重視ならもう少し絞りを開けて撮影したいところ。とはいえ、並の広角ズームに比べれば、非常に高解像の描写だ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm マニュアル露出 F10 1/320秒
ISO200 WB:太陽光 |
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作例10 |
汐留の日テレプラザ(大屋根広場)から撮影した汐留シティセンター。画面右上のビル壁面にモアレが生じているが、それだけこのズームの解像力が高く、細かい部分まで描写できているという証だ。モアレが気になる場合は、思い切ってF22くらいまで絞り込んで撮影すれば、小絞りボケが生じてモアレが出にくくなるが、全体に解像力は低下してキレが失われる。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F8 1/640秒 +0.3EV
ISO200 WB:太陽光 |
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作例11 |
超広角ズームとしてはボケ味がいいのも、AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXの魅力のひとつ。老眼の洗礼を受けて、ライブビューMFでのシビアなピント合わせに自信がなかったので、F3.5まで絞って撮影しているが、背景のワインのボトルや通行人、町並みなどが柔らかくきれいにぼけている。それでいてピントを合わせたワンちゃんの目や鼻のあたりはエッジ立つほどシャープに写っている。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:28mm マニュアル露出 F3.5 1/160秒
ISO100 WB:太陽光 |
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作例12 |
震災の影響で先端がちょこっと曲がってしまった東京タワー。残念ながらタワー先端はちょっと不鮮明だが、おそらくレンズの性能というよりも撮像素子の描写限界。ベイヤー配列のカラーフィルター方式の撮像素子は、ひとつの画素で赤/緑/青のどれか1色しか取り込めないので、このように赤だけで構成されている被写体は、1/4しか情報が得られないので細部がどうしても甘くなってしまう。それだけに(他の弊害さえなければ)カメラの画素数は多いことが望まれるが、組み合わせるレンズも画素ピッチに見合った解像力が必要だ。AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXは、果たして3,000万画素超のフルサイズ撮像素子にも耐えられる解像力を持っているのか? ちょっと不安でもあり、楽しみでもある。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:28mm 絞り優先オート F8 1/640秒
-0.7EV
ISO200 WB:太陽光 |
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> 伊達淳一の広角レンズレビュー 「第三回 F2.8超広角ズームで撮る身近な桜」 (緊急掲載) |
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伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。 |
・製品の仕様は変更になる場合があります。
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・記事の内容について個別のご回答は致しません。
・写真や本文の転用・転載はかたくお断り致します。
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