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製品レビュー & 特集
広角レンズレビュー 「TOKINA AT-X 16-28 F2.8 PRO FX」
第1回 フルサイズセンサーを活かせる広角ズームとは? 2011/04/13
 
「伊達淳一の広角レンズレビュー」タイトル フルサイズセンサーを活かせる広角ズームとは? ・レンズ選びの条件 ・レンズ対決 (第2回) ・vs ニコン vs キヤノン ・撮影レビュー ・撮影&活用テクニック
「約半分の値段で、これだけ高精細な描写と安定した周辺画質が得られるならコストパフォーマンスは抜群。大きく重いフルサイズのカメラボディとレンズを駆使するだけの労力に見合うだけの描写が得られるレンズだ」(本文より)
フルサイズ機ならではの悩みと、広角ズームレンズ選びの条件とは?
第1回は、著者がお気に入りの広角ズームレンズとの出会いとそのいきさつを解説します。(全4回)
本文 Photo & Text by 伊達淳一
  ボクがフルサイズ一眼レフをあまり使わなくなった理由とは? このページのトップへ  

  35mmフィルムと同じ画角、同じボケ表現ができるのが、フルサイズセンサー搭載のデジタル一眼レフの強みだ。また、APS-Cサイズのデジタル一眼レフよりも撮像素子が大きいので、画素数を増やしても画素の大きさにゆとりがあり、(同じ世代の撮像素子で比較すれば)高感度やダイナミックレンジなどの特性に優れている。

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トキナーの広角ズームレンズ「トキナー AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」の外観写真。
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フォーカスリングを前後にスライドするだけで、ワンタッチでAFとMFを切り換えられる。AF時にフォーカスリングが回転しないのも快適。超音波モーター駆動ではないが、DCモーターと減速ギアを一体化し密封構造にしたSD-M(Silent Drive-Module)により、AF動作音もさほど耳障りではない。
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ボクが使っているのは、宮本製作所製のマウントアダプターに絞り可変機構と電子接点を追加した海外製のマウントアダプター。近代インターナショナルが販売している製品の旧バージョンに相当する。ただ、近代インターナショナルが輸入しているのは電子接点なしのバージョンのみ。電子接点付きが欲しい場合はここから個人輸入するしかない。

 しかし、ボク自身は、フルサイズ機よりもAPS-Cサイズ機のほうが好きだ。その最大の理由は“周辺画質”だ。確かに、フルサイズ機のほうが、画素ピッチが広く、レンズに求められる解像力もそれほど高くはないのだが、撮像素子が大きい分、イメージサークルが広く、周辺部の画質低下が気になるレンズが多いのだ。

 特に、超広角から標準域にかけて周辺まで安定した描写が得られるレンズはごく限られていて、絞り開放はおろか、2〜3段絞っても周辺で像が流れたり、倍率色収差で色ズレが目立ってしまう。

 おまけに、フルサイズのデジタル一眼レフは、カメラ本体だけでなくレンズも大きく重い。それだけの労力をかけて撮影するからには、APS-Cサイズ機よりも明らかに優れた描写を期待したいところだが、望遠/超望遠の撮影ではAPS-Cサイズ機のほうが有利だし、撮影画面に対するAFエリアのカバー率もAPS-Cサイズ機のほうが上。超広角から広角にかけても、デジタル専用レンズが充実していて、しかも、フルサイズ用レンズよりもコンパクトで価格も手頃だ。唯一、フルサイズ機が明らかに優位なのが、大口径レンズを使ったボケ描写。特に、24mm F1.4や35mm F1.4、50mm F1.4、85mm F1.4、135mm F2など、広角〜中望遠の大口径レンズを絞り開放で撮影したときのフワッととろけるような大きなボケ描写は、フルサイズならではの持ち味だ。

 そんなわけで、ポートレート撮影などで、ボケ量を期待した撮影以外ではAPS-Cサイズのデジタル一眼を使う比率が個人的には高くなっていて、せっかく買ったフルサイズ機が宝の持ち腐れになっている。ニコンD700は風景撮影にはいささか画素数が物足りなくなってきているし、キヤノンEOS5D MarkIIは、周辺まで画質が安定した超広角ズームがないのがネックだ。ニコンD3X + AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDというのがおそらくベストな組み合わせなのだろうが、悲しいかな、ニコンD3Xを買う財力と体力のどちらも持ち合わせてはいない。ニコンユーザーにとっての不幸は、キヤノンEOS5D MarkIIのような普及価格帯のフルサイズ高画素モデルが存在しないこと。

 一方、キヤノンユーザーにとっての不幸は、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDのような、周辺までずば抜けた画質を誇る超広角ズームが存在しないことだ。

 ちなみに、力業ではあるが、Gレンズの絞りを動かせるマウントアダプターを使って、キヤノンEOS5D MarkIIにAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを装着することもできる。ただ、当然のことながら、ピント合わせはマニュアルフォーカスとなるし、自動絞りも連動しないので、手動で絞りを絞った状態で撮影することになるので、正直、手間がかかることは確かだ。

 それに、防塵防滴用ゴムパッキングが付いていると、マウントアダプターの絞りレバーがほとんど動かせなくなってしまうので、パッキングのゴムを取り外す必要があるなど制約も多い。とりあえず、マウントアダプターは購入してみたものの、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDの購入には踏み切れないでいた。

  トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXとの出会い このページのトップへ  

 「CAPA(キャパ)」というカメラ雑誌をご存じだろうか? そのCAPA本誌で、その年に発売されたレンズで最高の1本を選ぶ「CAPAレンズ大賞」という企画があり、ボクも選考委員の一人として名を連ねている。各選考委員は、大賞にノミネートしたいレンズをそれぞれ5本推薦し、その中から複数の選考委員が支持したレンズ数本を大賞候補として絞り込み、最終選考のための撮影会を開催する。選考委員といえども、発売されたすべてのレンズを実写評価しているとは限らないからだ。

 このCAPAレンズ大賞2010の最終候補に残った8本のレンズの中に、トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXがあった。推薦したのは西平英生氏と馬場信幸氏。恥ずかしながら、ボクはこのレンズを自分自身で使ったことがなかったので、少しでもこのレンズの性能を把握するため、撮影会を待たずにAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXを借り、フィールドで試写してみることにした。

 できれば、画素数の多いキヤノンEOS5D MarkIIで試してみたかったのだが、編集部から届いたのはニコンマウント。ニコンD700の画素数ならそれほど高いレンズ性能は求められないし、ニコンのデジタル一眼レフは画像処理エンジンで倍率色収差を自動補正してくれるので、レンズのアラが目立ちにくい。そのため、周辺画質の良さは十分に感じることはできたが、果たして2000万画素超のフルサイズ機の描写力を引き出せるかどうかは、まだこの時点ではわからなかった。

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作例01

「CAPAレンズ大賞2010」の選考のために、編集部からAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXを借りて、まず試写してみたのが、枯れ枝と画面内に強い反射があるシーン。F11まで絞って撮影しているので、画面周辺までシャープな描写が得られているが、画面右上に窓ガラスの太陽光反射によるゴーストが生じている。液晶モニターの再生画像ではうっかり見落としてしまいそうなゴーストだ。
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撮影データ/ニコンD700
焦点距離:16mm 絞り優先オート F11 1/1800秒 +0.7EV
ISO640 WB:オート
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作例02

非球面レンズを使った広角レンズは、あまりボケ味が良くないレンズが多いが、このAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXは、コントラストの高い被写体が背景にあっても、それほどうるさいボケになりにくいのが好感触。開放F値もズーム全域でF2.8なので、被写体にグッと近づいて撮影すれば、超広角ズームといえども結構背景をぼかすことができる。
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撮影データ/ニコンD700
焦点距離:28mm 絞り優先オート F3.2 1/1600秒 +0.7EV
ISO200 WB:オート

※「拡大画像」ボタンをクリックすると大きいサイズの画像を表示します。「実寸画像」をクリックすると
  撮影実画像を表示しますが10MBを超えるものもあります。(縦横向きも実際のものです)
  なお、ダウンロードに長い時間がかかる場合があり、 回線の混雑時には正常に表示できない場合があります。
  ブラウザの設定によっては自動で縮小されて表示されます。

 しかし、レンズ大賞最終選考のための撮影会では、西平英生氏がキヤノンマウントのAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXを持参してくれたので、さっそくキヤノンEOS5D MarkIIに装着して、さまざまな焦点距離、さまざまな絞り値でテスト撮影。
液晶モニターの拡大再生画像でも十分に手応えを感じることができたが、自宅に帰ってパソコンでチェックしてみると、これまで見たこともないようなキレのあるEOS5D MarkUの広角描写にビックリ。画面中央は絞り開放からエッジ立つほどの描写で、画面周辺もごく四隅を除けばF5.6まで絞れば安定する。うるさいことを言わなければF4でも十分だろう。輝度差の大きな輪郭部分にはわずかにパープルフリンジっぽさが残るケースもあるが、倍率色収差はごくわずか。唯一、気になる点は、前玉が非常に突出しているので、斜光や逆光でゴーストが出やすいことくらいだ。

 

  Lレンズを下取りに出して、AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXを購入 このページのトップへ  

 こうなると、物欲は抑えられず、すぐにこのレンズを自分のモノにしたくなる。ネットで実売価格を調べると、(このスペックのレンズとしては)実にリーズナブルだ。撮影会の翌日には、手持ちのEF17-40mm F4L USMをドナドナして(下取りに出して)、新品のAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXを手にしていた。カメラ店の店員は「Lレンズを売って、トキナーを」という目でボクを見ていたが(笑)、Lレンズのリセールバリューは高く、わずかな追い金でAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXを手に入れることができた。

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トキナーの広角ズームレンズ「TOKINA AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」をEOS 5D Mark II に装着した外観写真。

 ところで、AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXを購入する際に、最後の最後まで迷ったのが、やはりAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDだ。ニコンGレンズ対応のマウントアダプタは、すでに1年以上前から準備済みで、いずれはニコンとキヤノンボディの両方でAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを共用しようと目論んでいたのだが、昨年、手ブレ補正の利便性に惹かれ、AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VRを購入してしまったこともあり、ここでAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを買っても用途がカブってしまう。

 それに、フルサイズで14mmという焦点距離は、レンズの個性がかなり強く、常用レンズというよりは特殊レンズに近い。テレ端で24mmというのも、標準ズームとのつながりを考えると、ちょっとのりしろが少なすぎる気がする。
その点、トキナーAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXがカバーする16mmから28mmは、フルサイズで実にスタンダードな超広角の画角が得られる焦点距離だ。それに、マウントアダプタで強引にAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDをEOS5D MarkIIに装着するのと違って、キヤノンマウントのAT-X 16-28mm F2.8 PRO FXなら(当然のことではあるが)AFが効くし、絞りだって自動で絞られる。AFとMFの切り換えも、フォーカスリングを前後にスライドさせるだけでワンタッチで切り換えられ、マニュアル操作性も十分考慮されている。

 そして、最終的に決め手となったのは、やはり実売価格の安さだ。AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDの約半分の値段で、これだけ高精細な描写と安定した周辺画質が得られるならコストパフォーマンスは抜群。大きく重いフルサイズのカメラボディとレンズを駆使するだけの労力に見合うだけの描写が得られるレンズだ。これまで、フルサイズのデジタル一眼レフを持ち出す頻度が少なかったボクだが、これからはもっと出番が増えそうだ。

  作例 このページのトップへ  

トキナーの広角ズームレンズ「TOKINA AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」で撮影した作例集。
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  「実寸画像」をクリックすると撮影実画像を表示しますが10MBを超えるものもあります(縦横向きも実際のものです)。
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作例03

受験シーズンまっただ中の湯島天神には早咲きの梅がきれいに咲いていた。周辺画質がいまひとつの超広角ズームだと、F8まで絞っても周辺の描写が乱れてしまうが、AT-X 16-28mm F2.8 PRO FXはごく四隅を除けば、周辺部までビシッとキレの良い描写が得られるので、安心して木の枝を画面周辺に配置することができる。
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撮影データ/ニコンD700
焦点距離:16mm 絞り優先オート F7.1 1/200秒
ISO200 WB:オート
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作例04

ここからはキヤノンEOS5D MarkIIによる撮影。レンズもカメラ店で購入した私物だ。いろいろ試写してみて、このズームでもっとも高画質が得られるのはF5.6〜F8。周辺画質を考えるとF8がベスト。ニコンのデジタル一眼レフと違って、倍率色収差補正は効かないので、これがこのレンズの素の画質だが、白い高層ビルの壁面を見ても、実用上問題になるような倍率色収差は生じていない。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F8 1/250秒
ISO100 WB:オート
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作例05

レンズの解像力を最大限に引き出せる絞り値はF5.6前後。柱の表面の質感までしっかり再現されている。2000万画素超のフルサイズ一眼レフの描写力をしっかり引き出せるレンズだ。歪曲収差もあまり大きくないので、こうした直線の多い幾何学的な被写体でも歪みを感じにくいのも特徴だ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F5.6 1/400秒
ISO100 WB:オート
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作例06

あえて太陽を画面周辺に入れて撮影してみた。太陽から画面中央に小さなゴーストが点在しているが、これらはそれほど気にならない。画面中央を挟んで対角方向(画面左下)に発生する円弧状のゴーストはちょっと目障りだ。光源の位置や画角を変えるなどして、ゴーストの出方を工夫したいところだ。もしくは、ゴーストそのものを作画効果として活かすのも手だろう。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F5.6 1/1000秒
ISO100 WB:オート
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作例07

普通にアイレベルで撮影したのではつまらないので、地面すれすれにカメラを構え、ライブビューに切り換え、ローアングルで樹を撮影してみた。樹の中央あたりにピントを合わせてF8まで絞って撮影しているが、地表付近や上の方の枝が少し流れたように写っているが、これはレンズの周辺画質が悪いからではなく、すでにピントが被写界深度から少し外れているため。フルサイズでパンフォーカス撮影をするには、もっと絞り込む必要があるようだが、解像力的にはF11以上絞らないようにするのが賢明だ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F8 1/200秒
ISO100 WB:オート
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作例08

新宿御苑の落羽松(ラクウショウ)の気根。まるで、SF映画に出てくる異星人の都市、もしくは小人や妖精が住む家々のような不思議な光景だ。気根を保護するため、板張りの通路からしか撮影できないが、ライブビューに切り換え、両手を伸ばしてローレベルで撮影。絞り開放で背景をできるだけぼかしてみた。広角としては素直なボケ味だ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:28mm 絞り優先オート F2.8 1/1000秒
-0.3EV ISO200 WB:オート
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作例09

倍率色収差が大きいと、画面周辺の木の枝の輪郭に緑やマゼンタの色ズレが出てしまうが、このレンズは倍率色収差はごくわずか。倍率色収差は絞っても解消しない収差なので、レンズ側でしっかり補正してあると、それだけ周辺画質もすっきりとする。
少し周辺部の描写が乱れているので、被写界深度を少しでも稼ぐため、F8まで絞ったほうがよかったようだ。パンフォーカス的に写すのか、ぼかして立体感を出すのか、絞りのコントロールが大切だ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm マニュアル露出 F5.6 1/400秒
ISO100 WB:オート
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作例10

横浜市開港記念会館の特別室。この開港記念会館で撮影しているときに東日本大震災に遭遇。最初の揺れが収まった後に撮影したカットで、ワンセグで地震の情報を収集しながらの落ち着かない撮影だったことを覚えている。歪曲収差が少ないので、窓枠がほぼ真っ直ぐに写っていて気持ちがいい。明るい輪郭部分に出やすいパープルフリンジも少なめだ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm マニュアル露出 F3.5 1/50秒
ISO200 WB:オート
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作例11

調布の布多天神社から深大寺に行く途中にある、通称「ハリウッドの大寒桜」。ハリウッド化粧品の敷地内に植えられていた寒桜で、工場が移転してマンションが建設される際、市民からの強い要望で伐採されず、市の保存樹として残されている。できるだけ電線が目立たないよう見上げる構図で撮影してみたが、よく見ると画面の上部に緑色の小さなゴーストが入っていた。う〜ん、撮影中はまったく気づかなかった!
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F8 1/500秒
ISO200 WB:太陽光
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作例12

周囲の状況もわかるように少し説明的に、ハリウッドの大寒桜を撮影。これくらい離れて撮影すれば、桜の木の大部分は被写界深度内に収まるので、前のカットの同じF8で撮影していても、周辺までビシッと乱れなく写る。広角レンズで周辺が流れたように写るのは、周辺の被写体にピントがちゃんと合っていないのが原因ということも多い。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F8 1/500秒 +0.
3EV ISO200 WB:太陽光
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作例13

自宅のすぐ近くの早咲きの桜。ワイド端の16mmではどうやってもゴーストが避けられなかったので、少しだけテレ側にズームして、うまく木の枝で太陽の直射を避けて撮影。半逆光という厳しい条件でも、工夫次第でゴーストは回避できる。桜の木全体にピントを合わせたかったので、思い切ってF10まで絞って撮影してみた。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:18mm 絞り優先オート F10 1/200秒
+0.3EV ISO200 WB:太陽光
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作例14

浜離宮恩賜庭園の菜の花。菜の花畑一面をくっきり写したかったので、やや手前の菜の花にピントを合わせている。後ろの高層ビル群は被写界深度からちょっと外れているので、ビルの描写が甘くなっているが、完全にパンフォーカスにしてしまうと写真が平面的というか、コンパクトデジカメライクになる恐れもある。それに、これくらいの甘さはプリントしてしまえば、ほとんど気にならないはずだ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F8 1/800秒 +0.
3EV ISO200 WB:太陽光
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作例15

前ボケ、後ボケをチェックするために撮影してみたカット。二線ボケになりやすいシーンだが、超広角ズームにもかかわらず、柔らかく素直なボケだと思う。開放F値もF2.8と明るいので、広角で背景をぼかした撮影も楽しめる。菜の花の白飛びを避けるため、高輝度側・階調優先を[する]に設定しているので、最低感度がISO200となり、F2.8開放だとシャッタースピードの最高速1/8000秒での撮影になってしまった。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:19mm 絞り優先オート F2.8 1/8000秒
-0.3EV ISO200 WB:太陽光
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作例16

ボケ味が素直とはいえ、ワイド端の16mmでは周辺部が流れたように写るので、ワイド端で絞りを開けて背景をぼかすときには、背景はできるだけ単純な絵柄のほうが無難だ。もしくは、主要被写体と背景の距離が大きく離れているようなシーンを選ぼう。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F5.0 1/2000秒
ISO200 WB:太陽光
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作例17

汐留イタリア街にて。カメラやレンズの細部描写力をチェックしたいときによく訪れる場所だが、ズームワイド端の画面中央の解像力の高さは特筆モノ。F8まで絞っているので、周辺部も安定した描写だ。ちょうど旅客機が上空を通過したので、たなびいている飛行機雲をアクセントにパチリ。16mmの超広角で撮影しているのに飛行機の形がしっかりわかるのには驚きだ。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:16mm 絞り優先オート F8 1/400秒 -0.
3EV ISO100 WB:太陽光
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作例18

みなとみらいにある「ハードロックカフェ横浜」の看板。ギターのオブジェに光が反射している部分や、背景の高層ビルの輪郭にも、色づきや色ズレがなく、軸上色収差も倍率色収差もよく抑えられていることが感じられる。F9.0で撮影しているが、ギターの上のほうは、ピクセル等倍ではすでにピントが甘く見える。超広角といえどもピント合わせは慎重に。
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撮影データ/キヤノンEOS5D MarkII
焦点距離:18mm 絞り優先オート F9.0 1/200秒
+0.3EV ISO100 WB:太陽光

次回予告
次回は広角ズームレンズ対決
トキナー「AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」と、
ニコン「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」、
キヤノン「EF16-35mm F2.8L II USM」、
で撮影比較。ニコンユーザーもキヤノンユーザーも、すべてのデジタル一眼ユーザーの皆さん、お見逃しなく!! ( 公開中 )
広角ズーム対決のイメージ写真 (左からキヤノン「EF16-35mm F2.8L II USM」、トキナー「AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」、ニコン「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」)

> 第二回 広角ズームレンズ対決 Tokina vs Nikon vs Canon


伊達淳一:photo 伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。

・製品の仕様は変更になる場合があります。
・記事の内容は予告なく変更される場合があります。内容についての保証は致しかねます。
・記事の内容について個別のご回答は致しません。
・写真や本文の転用・転載はかたくお断り致します。

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初出:2011/04/13
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