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ボクがフルサイズ一眼レフをあまり使わなくなった理由とは? |
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35mmフィルムと同じ画角、同じボケ表現ができるのが、フルサイズセンサー搭載のデジタル一眼レフの強みだ。また、APS-Cサイズのデジタル一眼レフよりも撮像素子が大きいので、画素数を増やしても画素の大きさにゆとりがあり、(同じ世代の撮像素子で比較すれば)高感度やダイナミックレンジなどの特性に優れている。
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トキナーの広角ズームレンズ「トキナー AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX」の外観写真。 |
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フォーカスリングを前後にスライドするだけで、ワンタッチでAFとMFを切り換えられる。AF時にフォーカスリングが回転しないのも快適。超音波モーター駆動ではないが、DCモーターと減速ギアを一体化し密封構造にしたSD-M(Silent Drive-Module)により、AF動作音もさほど耳障りではない。 |
ボクが使っているのは、宮本製作所製のマウントアダプターに絞り可変機構と電子接点を追加した海外製のマウントアダプター。近代インターナショナルが販売している製品の旧バージョンに相当する。ただ、近代インターナショナルが輸入しているのは電子接点なしのバージョンのみ。電子接点付きが欲しい場合はここから個人輸入するしかない。 |
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しかし、ボク自身は、フルサイズ機よりもAPS-Cサイズ機のほうが好きだ。その最大の理由は“周辺画質”だ。確かに、フルサイズ機のほうが、画素ピッチが広く、レンズに求められる解像力もそれほど高くはないのだが、撮像素子が大きい分、イメージサークルが広く、周辺部の画質低下が気になるレンズが多いのだ。
特に、超広角から標準域にかけて周辺まで安定した描写が得られるレンズはごく限られていて、絞り開放はおろか、2〜3段絞っても周辺で像が流れたり、倍率色収差で色ズレが目立ってしまう。
おまけに、フルサイズのデジタル一眼レフは、カメラ本体だけでなくレンズも大きく重い。それだけの労力をかけて撮影するからには、APS-Cサイズ機よりも明らかに優れた描写を期待したいところだが、望遠/超望遠の撮影ではAPS-Cサイズ機のほうが有利だし、撮影画面に対するAFエリアのカバー率もAPS-Cサイズ機のほうが上。超広角から広角にかけても、デジタル専用レンズが充実していて、しかも、フルサイズ用レンズよりもコンパクトで価格も手頃だ。唯一、フルサイズ機が明らかに優位なのが、大口径レンズを使ったボケ描写。特に、24mm F1.4や35mm F1.4、50mm F1.4、85mm F1.4、135mm F2など、広角〜中望遠の大口径レンズを絞り開放で撮影したときのフワッととろけるような大きなボケ描写は、フルサイズならではの持ち味だ。
そんなわけで、ポートレート撮影などで、ボケ量を期待した撮影以外ではAPS-Cサイズのデジタル一眼を使う比率が個人的には高くなっていて、せっかく買ったフルサイズ機が宝の持ち腐れになっている。ニコンD700は風景撮影にはいささか画素数が物足りなくなってきているし、キヤノンEOS5D MarkIIは、周辺まで画質が安定した超広角ズームがないのがネックだ。ニコンD3X + AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDというのがおそらくベストな組み合わせなのだろうが、悲しいかな、ニコンD3Xを買う財力と体力のどちらも持ち合わせてはいない。ニコンユーザーにとっての不幸は、キヤノンEOS5D MarkIIのような普及価格帯のフルサイズ高画素モデルが存在しないこと。
一方、キヤノンユーザーにとっての不幸は、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDのような、周辺までずば抜けた画質を誇る超広角ズームが存在しないことだ。
ちなみに、力業ではあるが、Gレンズの絞りを動かせるマウントアダプターを使って、キヤノンEOS5D MarkIIにAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを装着することもできる。ただ、当然のことながら、ピント合わせはマニュアルフォーカスとなるし、自動絞りも連動しないので、手動で絞りを絞った状態で撮影することになるので、正直、手間がかかることは確かだ。
それに、防塵防滴用ゴムパッキングが付いていると、マウントアダプターの絞りレバーがほとんど動かせなくなってしまうので、パッキングのゴムを取り外す必要があるなど制約も多い。とりあえず、マウントアダプターは購入してみたものの、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDの購入には踏み切れないでいた。 |