■ 3D写真の撮影&液晶表示に対応したスマートフォンが登場
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Androidスマートフォン
NTTドコモの「LYNX 3D SH-03C」は
3D液晶搭載 |
3D液晶を搭載したAndroidスマートフォン、NTTドコモの「LYNX 3D SH-03C」が遂に発売になりました。
OSはAndroid 2.1なので最新とはいきませんが、携帯電話愛用派の方々にとって待望のおサイフケータイ機能とワンセグがバッチリ搭載されています(最新OSの2.2には後日アップデートされるようです)。
いやいや、LYNX 3D SH-03Cがどんなスマートフォンなのかということは他のサイトで情報収集して頂くとして、スタジオグラフィックス読者が気になるのはなんといっても3D撮影機能ですよね。
LYNX 3D SH-03Cには3D撮影機能が装備されていて、更に裸眼で飛び出す3D液晶なので、「撮って、飛び出す」が、すぐにできちゃうスマートフォンなのです。
液晶技術で定評のあるシャーブが開発したスマートフォン「LYNX 3D SH-03C」は、約3.8インチワイドVGAサイズです。iPhoneが3.5インチなのでほぼ同じサイズで、解像度はiPhone 4には及ばず 480×800ピクセルとなっています。シャープではNewモバイルASV液晶と呼んでいる種類のタイプで、ASVはAdvanced Super Viewの略称で、シャープの薄型テレビ『AQUOS』などで使われている技術。上下左右160度という広い視野角を実現し、見る角度によって起こる色や明るさの変化も少ないことが特長です。また反応が良く高速表示が可能なため、動画再生時の残像が比較的少ないことでも知られています。モバイルASV液晶はこのASV技術に半透過型の「アドバンストTFT液晶」を組み合わせた技術で…半透過型のしくみについてはまたの機会に解説します。
■ 視野バリア技術を使った裸眼でみられる3D液晶
さて、シャープは覗き見を防止する「ベイルビュー」という技術を持っています。液晶自体は広い視野角があるものの、ユーザーが見る画面は極端に視野角を狭く表示し、周囲左右から覗き見ると覗き見防止用の意味のない模様が見えたりして、操作画面は見せない、という技術です。このような方式を「視野バリア」と言うんですが、何が言いたいかというと、シャープは見る方向によって別の画像や映像を見せる視野バリア技術を以前から開発していて、すでにベイルビュー携帯電話などで実用化しているほか、デュアルビュー(下)やトリプルビュー技術を開発しています。
そこでこの3D液晶技術。
3Dが飛び出して見えるのはどういうしくみか? の詳細はデジタルカメラのしくみのコーナーも読んで頂くとして、要するに右眼用の画像と左眼用の画像をユーザーのそれぞれの目に見せることによって、飛び出しを錯覚させている、両眼視差を利用したしくみなのです。で、シャープはスマートフォンでもこの3Dのしくみをいち早く取り入れたというわけです。
そういうしくみなわけで、残念ながらどう頑張っても、平べったい平面画面を1枚表示するしか能がないスタジオグラフィックスのホームページではその飛び出し具合を読者の皆さんに実感して頂くことはできないのですが、LYNX 3D SH-03Cの3D画面をみた私個人の感想としては飛び出し表示の印象はまさに「レンチキュラー」シール。レンチキュラーシールとは、昔、お菓子などのオマケによく付いていた右から見ると飛行機なのに、左から見ると船の絵が見える…みたいなプラスチック風のシールです。あれを正面から見ている感じです。飛行機と船を絵を正面から見たら気持ちが悪いだけですが、違う角度ではあるけれど同じ被写体の2つの画像を正面から両眼で見ると飛び出して感じます。多少、ユーザー自身が「飛び出てるんだ」と思い込む優しい歩み寄りは必要ですが、たしかに3Dに感じます。
ただ、これを「すごい」「楽しい」と感じるか、「キモい」と感じるかは個人の趣向によるところですね。
■ LYNX 3D SH-03Cで試し撮りレビュー
では早速、LYNX 3D SH-03Cで試写を開始。
被写体はシーサーとお花に登場して頂きました。通常の一眼レフでしたら立体感は下記の写真のように演出しますね。手前のシーサーにピントを合わせて後ろのお花を飛ばしたり、
逆に後ろのお花にピントを合わせて手前のシーサーを飛ばしたり。
さて、3D写真では通常、右眼用と左眼用のレンズで撮影しますが、レンズがひとつのLYNX 3D SH-03Cでは、どのように立体写真を撮るのでしょうか?
LYNX 3D SH-03Cでは、3Dモードにしてまず一枚めの写真を撮ります。
一枚めの写真を撮ると▲マークが表示されて、撮影ボタンを押して本体を右にスライドさせるように指示が出ます。
撮影ボタンを押して本体を右に動かします。
自動的に2枚めの写真が撮影され、1枚目と2枚目の静止画から生成された3D画像ファイルがメモリカードに保存されます。
撮影された画像は1回目のシャッターを押したときの静止画と、右にスライドしたときに撮った画像とで生成された3D画像です。3Dモードで再生すると3D画像ファイルが表示されます。
カメラ本体の右から見た画面と、左から見た画面を下に紹介します。(露出がコケちゃっててごめんなさい!!)
■ 3D画像ファイルMPOを開く
ホームページではちっとも実感かわないですよね。ごめんなさい。
3D画像を正面から見ると、後ろのお花とドア、壁などが二重に見えていますが、これは手ぶれをしているのではなく、一眼で両眼用の画像を見た状態だからです(ややこしい表現ですね)。
さて、撮影した画像は2D用のJPEG画像と、3D用のMPOファイルの2つが記録されます。MPOファイルは富士フイルムやソニーなどでも使用している規格ですので、LYNX 3D SH-03C専用3D画像というわけではなく、互換性があります。
2D用のJPEG画像はコチラ(クリックすると実寸画像)↓
(画質はWVGA 800×480サイズまでなので、デジタルカメラほど良いわけではありません)
MPOファイルは「ステレオフォトメーカー」(フリーソフト)等のアプリケーションで開くことができます。
ただし、MPOファイルを開くと飛び出すわけでなく、右眼用と左眼用の2つの画像を確認することができます。
なお、ステレオフォトメーカーではいろいろな機能が実装されています。例えば、左右の画像をアニメーションにして表示すると次のようになります。一見同じ見える左右の画像、どの程度の違いがあるのかひと目でわかりますね。
↓クリックしてください。
また、シャープの3D対応液晶で表示している状態も再現できます。どうですか? パソコンで見てもなんとなく飛び出して見えますか?
↓クリックしてください。
余談ですが、アナグリフの作成もできちゃいます。すごいソフトですね。
さて、いかがでしたか?
3Dの世界を少しでも実感できましたでしょうか?
それともやはり、スマートフォンでの3D撮影と飛び出す感じを実体験的に感じて頂くレポートは、ちょっと無理がありましたか?
操作方法やしくみがまた少し理解するために、この記事がお役に立てたならうれしいです。
次回もお楽しみに。 |