ここまで解説すればミラーレス一眼の「ミラー」が「反射ミラー」をさしていて、ミラーレス一眼とはすなわち、反射ミラーやミラーボックスを持たない一眼カメラであることは容易に想像がつくと思います。その通りです。
イラストでいうと図Bのような光の経路をした構造のカメラということですね。
少しミラーレス一眼っぽいボディの感じ(ていうか、NEXっぽい感じ)のイラストにしてみました(図G)。レンズを通った光はそのまま撮像素子に当たり、撮像素子が受光した光を画像や映像に変換してカメラ本体の液晶モニターに表示するしくみです。
【図G ミラーレス一眼には反射ミラーがない】
反射ミラーがないミラーレス一眼は、レンズを通った光を撮像素子で受光し、その像をカメラ背面のモニター等に表示することによって「一眼」を実現しています。でも、この図の光の経路ってコンパクトデジカメも同じしくみなんです・・よね。 |
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ミラーレスが登場したとき、反射ミラーを持たないミラーレスはデジタル一眼「レフ」とは呼べないので、「デジタル一眼」と呼んだり、「ミラーレス一眼」と報道が呼んでこの分野が定着してきました。反射ミラーのありなしについても重要ですが、反射ミラーがないのは一眼レフは「光学ファインダー」を持ち、ミラーレス一眼は持っていない、という大きな構造上の違いによるものです。光学ファインダーがなくとも一眼と呼ぶべきなんでしょうか。
ところで、NEX-7 は有機ELのビューファインダーが本体の上の方に組み込まれています。つまり小さなモニターが本体内に組み込まれていて、撮像素子の受光した像を背面の液晶モニターと同様にビューファインダーに写して、あたかも一眼レフの光学ファインダーを見るかのように覗いて見ることができるわけです。凄いですね。(「Nikon 1 V1」もTFT液晶の電子ビューファインダーを内蔵しています)
ところで、ややこしくなるのをあえて話しますと、コンパクトデジタルカメラのほとんどの機種が背面の液晶モニターで見る、このミラーレス一眼と基本的には同じ光の経路をした構造です。つまり、ミラーレス一眼を「一眼」と呼ぶなら、コンパクトデジカメだって、モニターで見る像と写真に写る像は同じなのです。タイムラグはありますけれどね。超小型化、薄型化のために構造や光の経路はコンパクトデジタルカメラの方がむしろ複雑になっているくらいです。
つまり、混乱を恐れずにあえて言えば、コンパクトデジカメだって、ミラーレス一眼なんだと言い張れば、言葉の意味としては間違っていないのです(ややこしいですね)。
更につまり、そもそもデジタルカメラでは、一部の特殊なトイカメラなどを除いて、たいていは「一眼」なのです。言い換えれば、一眼という言葉が光学ファインダーに限らず、液晶モニターであってもレンズを通した像が見えれば一眼であるとするならば、デジタルカメラ時代の今では、たいていの機種がそうなので一眼という言葉はあまり意味をもたないと言えるのではないでしょうか。
撮影する画像をファインダーとして液晶モニターに写して確認できる、という機能はコンパクトデジカメや携帯電話カメラ、スマートフォンのカメラ機能などの十八番であって、ミラーレス一眼ももちろん得意です。一眼レフは構造上、むしろ苦手なのです。最新の機種であれば一眼レフもできるようになりまして「ライブビュー」と呼ばれたりしていますが、使用にはいろいろと制限があったりします。一眼レフの強みはやはり一眼の"光学"ファインダーで撮影する像が確認できる、という点です。いや、だったら光学ファインダーでの一眼を「一眼」と呼ぶと定義したらどうか、と思いますが、そうするとミラーレス一眼は一眼とは呼べなくなります。
回りくどい説明だったかもしれませんが、一眼レフとミラーレス一眼の違いは、一眼レフはレフレックスミラーと一眼の光学ファインダーを持っていることです。そして、ミラーレス一眼とコンパクトデジカメの違いとは、ミラーレス一眼はレンズが交換できる、ということです。
レンズ交換式なのは一眼レフとミラーレス一眼です。
話がそれたかもしれませんが、ミラーレス一眼とは「レンズ交換式ミラーレス」カメラなのです。ミラーレスのおかげで小型軽量化が可能です。そしてデジタル一眼レフとは「レンズ交換式レフミラー搭載」カメラです。
やはり、ミラーレス一眼の大きな特徴は「レンズ交換ができる」ということなのです。
そして話を先に進めると、もうひとつ、ミラーレス一眼は「撮像素子のサイズが大きいので画実が良い」という特徴もあったはずなんです、以前は・・。
ミラーレス一眼が一眼(高画質カメラの代名詞?)であるとする理由は撮像素子が一眼レフに負けず劣らず大きい、ということであったはずです。しかし、今やそれも崩れ去り、小さい撮像素子のレンズ交換式カメラをもまた、なし崩し的に「デジタル一眼」と報道や雑誌では呼ぶようになりつつあります。
それは、ミラーレス一眼と分類されていても、一眼レフ品質を小型に凝縮したカメラかどうか、ユーザ自身が判断しなければならない時代になるかもしれない、ユーザー自身が「しくみ」に詳しくなって仕様を読み解かねばならない、ということなのかもしれません。
ミラーレスが、一眼レフやコンパクトデジカメとは違う点、機種選びで注意したい点、レンズ交換やフランジバックなど、この続きはまた次回に。
> 第22回 ミラーレス一眼とそのしくみ(2) 位相差AFとコントラストAFの違い、フランジバック、EVF
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