夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第22回夜景写真のRAW現像・工場編 (2)
Photo : Takuya Iwasaki
TOPIX
夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座、工場夜景RAW現像講座の第3回目は、日本の原風景と工業地帯が融合する不思議な絶景スポット「 児島宇野津 」での写真を例にとり解説いたします。棚田風景とコンビナートの光を綺麗に見せるためのRAW現像テクニックを解説いたします。それではご覧ください。 by 編集部 |
9月に入って日中はまだまだ残暑が残りますが、夜はずいぶんと過ごしやすい気候になってきました。第2回も引き続き工場夜景のRAW現像を取り上げたいと思います。今回の作例は岡山県倉敷市で有名な「 児島宇野津 」という地名の絶景スポット。棚田とコンビナートの光を綺麗に見せるためにはRAW現像が欠かせません。今回の作例ではHDRとの比較も行いたいと思います。
■児島宇野津の夜景スポット情報(夜景INFO)
http://www.nightview.info/yakei/detail/kojimaunotsu/
写真1 棚田とコンビナート
■HDR合成やRAW現像が必要な理由
一般的な夜景撮影ではHDRは特殊な作品を撮る以外は使うことがほとんど無く、結論から言えばRAW現像をするかしないかも好みです。今回のような作例の場合、コンビナートと棚田では露出が全く異なり、棚田は夜になると完全に真っ暗となるため、1枚の写真で棚田とコンビナートを表現するのは極めて困難です。以下の2つの作例でコンビナートに露出を合わせた場合と棚田に露出を合わせた場合で比較してみました。2枚の写真は露出を比較すると約12倍の差があります。
写真2 コンビナートに露出を合わせる
写真3 棚田に露出を合わせる
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■HDR合成を試す
明暗差が激しい被写体を撮る時にHDR合成が役立つ。撮影時にカメラ側の設定でHDR合成をしても良いが、Photoshop(CCを例)のメニューから「ファイル」→「自動処理」→「HDR Proに統合」を選択し、2枚の画像を読み込んでOKボタンを押すだけで手軽に合成できる。合成後も風合いや明るさを調整できるが、今回は一切調整を行わずにそのままの状態で出力してみた。
写真4 HDR合成後の写真
■RAW現像で棚田を浮かび上がらせる
次にRAW現像にトライし、写真2の棚田が真っ暗になっている画像を使い、手前の棚田を浮かび上がらせてみた。
HDR合成の画像に比べて、水島コンビナートの明るさも自然で棚田にも立体感が感じられる。HDR合成の方は棚田に真っ黒の画像を合成して、中間色を採っているようなイメージだ。多少手間をかけてでも、RAW現像した方がより自然で美しい写真に仕上がることがわかる。
写真5 RAW現像後の画像
■RAW現像テクニック
それでは具体的なRAW現像テクニックに入っていきたい。Photoshop CCのCamera RAWを起動後、まずは段階フィルターで棚田を補正し、次に円形フィルターで森を補正し、最後に全体を補正した。設定したパラメータは各画面を参考にして欲しい。
写真6 段階フィルター(棚田)
写真7 円形フィルター(森)
写真8 全体の基本補正
写真9 全体のディテール
■今月のお勧め夜景スポット「鷲羽山スカイライン 水島展望台」
せっかくなので、作例に合わせて同じ倉敷の夜景を紹介したい。水島コンビナート全体を見渡せる鷲羽山スカイラインは写真愛好家からカップルまで幅広い人に親しまれている。展望台は特に週末は混雑することがあるので、ゆっくり撮影するなら平日の訪問が望ましい。
開放時間:終日
所在地:岡山県倉敷市呼松町
アクセス:瀬戸中央自動車道「水島IC」から車で約15分
料金:無料
写真10 トワイライトタイムに水島コンビナートを写す
本連載記事を執筆中の、岩崎拓哉さんの写真展が開催されています。
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会期:2016年9月26日(月)まで
会場:池袋コミュニティ・カレッジ
料金:無料
詳細は以下のリンクを参照ください。
http://capacamera.net/exhibition/pickup/160914_iwasaki.html
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