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デジカメの「しくみ」
第12回 : 液晶モニタ研究 その1.
      〜液晶のしくみと液晶モニタの種類〜
 
夏場のまぶしい日差しの中だと液晶が見えない
スミア対策に力を注いだFIT-CCD
液晶の種類 TN、STN、TFT、DTFD
撮影するシチュエーションと予算のバランスを考慮しよう
2005/08/24
スタジオグラフィックス公認 デジタルカメラの教科書
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携帯電話は進化が早く、同じカラーの液晶モニタでもまったく見え方が違います。この原因の多くは、搭載している液晶モニタの種類が異なるためです。では、液晶モニタにはどのような種類があるのでしょう。また、どうして良く見える液晶モニタ以外の種類も採用されることがあるのでしょう。
 
■夏場のまぶしい日差しの中だと液晶が見えない
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●うがー、液晶パネルが見えん!
 

夏ですねー。

 ことしは晴天な日が多いので、暑さもひとしおなのではないでしょうか。デジタルカメラ片手に撮影に望む身としては、晴天で光の具合が良好なのはありがたいのですが、液晶が見にくいことがあって閉口してしまうこともあります。まぁ、ファインダをのぞいてアングルを確認すればいいのでしょうが、そうもいかないことがあります。最近のコンパクトタイプのデジタルカメラは、ファインダが装備されていなくて、液晶モニタでのみ撮影アングルを確認することも多くなっていますからね。それに、ファインダでのアングル確認は、パララックスが発生してしまうこともあるので、あまり好きではないのですよ。バッテリのもちが許すのであれば、液晶モニタを使ってアングルを確認しているきょうこのごろなのです。しかし、そうすると、デジタルカメラによってずいぶん見やすさが異なって、ヒドイものは見えないやん、ということになってしまうのですよねぇ。夏のまぶしい日ざしは、コンパクトタイプのデジタルカメラや携帯電話のカメラ機能にとっては天敵ですわ、ホント。

 さて、なぜデジタルカメラによって見やすさが異なって、ハッキリ確認できるものと、液晶モニタを手で覆ってもあまり良く見えるようにはならないものとがあるのでしょうか。それは、採用している液晶の種類が違っているからです。特に携帯電話の液晶などは、ドンドン性能の向上が進んでいますから、採用している液晶のタイプがまったく違うことも多くあります。そうすると、見やすさもまったく違ってしまうというわけです。
 では、今回は液晶モニタのしくみと、液晶モニタの種類について紹介していくことにしましょう。

   
■液晶パネルの基本的なしくみ
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●液晶ってナニ?
   まずは、液晶とは何かを確認していきましょう。
 物質の状態には、理科の授業で習ったように「固体」「液体」「気体」の3つがあります。液体は、この固体と液体の中間の状態を指す単語なのです。固体のように、ある程度分子の並び方に規則性があるにもかかわらず、液体のようにある程度の流動性がある状態を指します。つまり、液晶とは「液体」と「結晶」の合成語なのです。



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【液晶は「液体」と「固体(結晶)」の中間】
液晶は、液体の持つ流動性と、固体の結晶が持つ規則性の両方の性質を兼ね備えた分子の状態です。
(『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
 

 天然にあるものの中で液晶の性質を持ったものは、イカやタコの墨が有名です。デジタルカメラやパソコンで使用する液晶パネルは真っ黒なこともあって、イカ墨などが使われているのでは、という疑問がわきますが…。この疑問に、まじめに答えているのが日本アイ・ビー・エム。同社によると、同じ液晶でも若干性質が違うので、使ってはいないそうです。

参考:ThinkPadの液晶に食べ物の 'イカ' を使用しているか

   
●液晶の分子は電圧を加えると並び方が変わる
 

 では、この液晶を使った液晶モニタのしくみをみていくことにしましょう。

 液晶モニタは、うしろから光を照射して、これを透過させたり、あるいは遮断したりして、画像を作り出していきます。つまり、カメラのシャッターのようにレスポンスよく、小さな範囲で光を遮断したり透過したりすればいいということになります。液晶モニタでは、液晶の分子が持っている特性を使ってこれを実現しています。液晶の分子は、流動性がありますから、並び方を変更させるのはさほど難しくはありません。少しの電圧を加えてあげると、その電界にしたがって分子の並び方が変わるのです。ですから、もっとも原始的な液晶パネルの構造は、2枚の電極に液晶を挟み込んで、電極に電圧をかけると電界の方向を変えられるようなものになっています。


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【電界によって分子の規則性を変化させる】
液晶を挟み込んだ両端の電極間に電圧をかけて電界の方向を変えることによって、分子の並び方を変えることができます。
(『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
   
●光を遮断させたり透過させたりするしくみ
   液晶の分子を規則性を持って並び方を変えたところで、うしろから照射した光を遮断することは難しいのが現状です。そこで、液晶モニタでは、さらに偏光板というものを用います。光は波動的なものであると考えられる特徴があるのですが、偏光板とはこの波動的な特徴を一定方向だけ通過させるというものです。つまり、あらゆる方向に波動的な特徴があった光が、偏光板を通過することによって、特定方向にしか波動的な特徴が発生しないという特性に変わるのです。


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【偏光板は光の振動方向を一定なものにする】
光が偏光板を通過すると、偏光板の方向と一致した振動方向の光だけになります。 (『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
 

 この偏光板を、先ほどのもっとも原始的な液晶パネルの両端に設置します。つまり、2枚の偏光板でさらにサンドイッチするわけです。このとき、2枚の偏光板は、光を通す方向を互いに90度ズラして設置します。こうすると、液晶パネルに光を照射しても光が通過することはありません。
 ここで、パネルの中に液晶を注入します。このとき、一方の偏光板から逆の偏光板に到達するまで徐々に90度ズラすような結晶方向で配置します。わかりやすく、液晶が5層になっていると考えてみましょう。1層目は0度の方向に結晶方向を定めます。同じように2層目の結晶方向を22.5度、3層目を45度、4層目を67.5度、とし、5層目を90度とするわけです。このようにしておくと、光が液晶の結晶方向によって波動の方向が徐々に変わっていくのです。つまり、入射するときは0度の方向に振動していた光が、パネルの終端にきたときには90度の方向に振動しているのです。この結果、90度ズラした偏光板を2枚装備した液晶パネルにもかかわらず、光を照射するとちゃんと透過するような液晶パネルができあがるわけです。

 このパネルに電圧をかけて電界を変化させてみましょう。中の液晶は一斉に分子の並び方を変えて、一定の方向を向くようになります。この結果、照射した光は波動の方向を変更させることなくパネルの終端まで進んでしまいます。ここには、偏光板があり、進んできた振動方向の光は遮断してしまいます。つまり、電圧をかけて電界を変化させるだけで、光が透過しなくなってしまうのです。電圧をかけるかかけないかによって、レスポンスよく、小さな範囲で光を遮断したり透過できたりすることができるようになるというわけです。

 液晶モニタは、このようにして光を通過させたり遮断させたりします。これを解像度の数だけ用意し、各ドットで光の透過を調整しているのです。


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【液晶パネルが光を遮断したり透過したりするしくみ】
電圧を加えていない状態では光を透過しますが、電圧を加えると分子が規則性を持って並ぶため、光は遮断されてしまいます。 (『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より)
   
■液晶の種類 TN、STN、TFT、DTFD
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●液晶にはさまざまな種類がある
   いままでの解説が液晶モニタの基本的な構造ですが、実際の液晶モニタはパネルの中を透過する光のねじれが90度ではなく、もっとねじれさせるものもあります。このように、液晶モニタにはさまざまな種類があるのが実情です。種類によっては、冒頭のように「晴天の表示は苦手」というようなものもありますので、代表的な種類とその特徴を紹介していきましょう。
   
●TN型(ツイストネマティック)
   もっとも構造が簡単なものは、TN型(Twisted Nematic)と呼ばれます。2枚の電極間での液晶分子は90度ねじれるように配置されています。表示性能は高くなく、単純な表示のモノクロの液晶モニタに用いられる程度で、デジタルカメラではほとんど用いられていません。
   
●STN型(スーパーツイストネマティック)
 

 STN型(Super Twisted Nematic)は、2枚の電極間での液晶分子が180〜2700度も、ねじれるように配置されているタイプのものです。光の透過率が急激に変わるので、コントラストが高くなると同時に、電極スイッチのオン・オフ応答性が高速になるというメリットがある方式です。

 DSTN型の応答性が高速になったというのは、TN型と比較してのことで、デジタルカメラなどで要求される高い性能にはもの足りない程度の高速性です。そこで、表示部を2分割して同時スキャンし、応答性をさらに高めたものも登場しています。この方式は、DSTN型(Dual-scan STN)と呼ばれています。

 高速性は改善したDSTN型ですが、色に難点を抱えていました。というのも、光の波長による偏向状態というのがズレてしまうので、純粋な白、あるいは黒を表示することができず、白が淡いグレーに、そして黒が濃いグレーで表示されてしまうことが多いのです。これをカラー化しても、白黒と同じように青や緑がそれぞれを混たような色になってしまい、きれいなカラーは表示されません。
 そこで、この偏向を改善するフィルムを配置して、このデメリットを解決する方式が開発されました。これをFSTN型(Film STN)といいます。また、さらに偏向の改善を向上させるためにフィルムを2枚用いたTSTN型(Triple STN)も登場しています。

   
●TFT型(薄膜トランジスタ)
   電極にたいへん薄いトランジスタを用いているタイプでTFT型(Thin Film Transistor)といいます。トランジスタを使うため、STN型の仲間に比べて高速に電極スイッチのオン・オフが可能で、動きの速い映像を映すときにも画面がぶれるように見えることが少なくなっています。また、薄膜トランジスタは、液晶モニタのガラス基盤上に作ることができるため、STN型に比べてコントラストをとても高くすることができます。
   
●DTFD型(薄膜ダイオード)
   TFT型の薄膜トランジスタの代わりに、薄膜ダイオードを用いて製造コストを安くした液晶モニタも登場しています。これは、TFD型(薄膜ダイオード)といいますが、実際の液晶モニタは金属と絶縁層を組み合わせてダイオードが作られることが多いので、一般的にはDTFD型(Digital TFD)と呼ばれることが多いようです。
   
■撮影するシチュエーションと予算のバランスを考慮しよう
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●種類によって製造コストは大きく異なる
 

 STN型は、比較的安価なコストで製造できるため、コストパフォーマンスが高く、廉価タイプのデジタルカメラや携帯電話の液晶モニタとして採用されています。
 しかし、デジタルカメラを選ぶときには、動画にも対応しコントラストが高く屋外でも視認性の高い、TFT型の液晶モニタを選択するといいでしょう。ただ、優れた表示能力のTFT型ですが、製造コストが高いという欠点があります。そのため、デジタルカメラによってはトップモデルしか採用されていなかったり、液晶モニタのサイズが小さくなってしまっていることもあります。STN型もTSTN型のように性能が向上しているものもありますから、なるべく大きな液晶で見たいが、室内で撮影することが多い、という希望がある場合は、STN型でも充分かもしれません。
 DFTD型は、性能もコストも、ちょうどSTN型とTFT型の中間だと思えば良いでしょう。いつもは室内の撮影だけれど、ごくごくたまには直射日光下の屋外で撮影したい、けれどなるべく安いデジタルカメラが欲しい、そのときにSTN型のクオリティではチョットもの足りない、という場合には、DTFD型の液晶を搭載した廉価版のモデルを探すと良いでしょう。

 しかし、大切なのは実機をみて比較することです。同じSTN型でも、メーカによってずいぶんと見やすさが違っているのが実情です。カタログのスペックでチョイスすることも重要な要素ではありますが、なにがなんでもTFT型、ではなく、自分の撮影するシチュエーションと予算のバランスをよく考えて購入する製品をチョイスするようにしましょう。

Text by 西井美鷹(デジカメWEB)

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