萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第12回
SAMYANG 8mm F2.8 UMC FISH-EYE II
写真と文:萩原 和幸
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのは開放絞り F2.8 の APS-C 対応 8mm 単焦点マニュアルフィッシュアイレンズ「 SAMYANG 8mm F2.8 UMC FISH-EYE II 」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ 数少ない APS-C 対応フィッシュアイ
今回ご紹介する SAMYANG 8mm F2.8 UMC FISH-EYE II は、APS-C サイズフォーマット用としてデザインされた焦点距離 8mm の単焦点マニュアルフィッシュアイレンズ、つまり魚眼レンズだ。フィッシュアイレンズの選択肢はそう多くはない。フルサイズならズームレンズや、コンバーターを介しての魚眼テイストを作り出すものは存在するが、単焦点で APS-C サイズの本物の魚眼レンズとなると貴重な存在で、価格的にもお高いのが普通。しかしそこはサムヤン、懐に優しい魚眼レンズを出してくれている。
SAMYANG 8mm F2.8 UMC FISH-EYE II は、従来型の光学設計を見直し、改めて登場した二代目となる。Glass 非球面レンズ( AS )に加え3枚の低分散レンズ( ED レンズ )を採用し、絞り開放時の収差を補正している。画角は対角線画角約 180°( キヤノンMマウントのみ 167° )だ。レンズ構成は8群 11 枚。SAMYANG 8mm F2.8 UMC FISH-EYE II のマウントは、キヤノンM、ソニーEマウント、富士フイルムXがラインナップされている。今回はソニーEマウントで、カメラは α7R III にてクロップ撮影した。
SAMYANG 8mm F2.8 UMC FISH-EYE II 自体はとてもコンパクト。重量は 260g。α7R III 自体が小さなカメラだが、それにしてもコンパクトにまとまり、撮影に出かけることがライトでいい感じだ。鏡胴はとってもしっかりとした造りを感じさせる。
フォーカスリングのトルク感は重めだが滑らか。被写界深度が深いのが普通のフィッシュアイレンズなのだから、もう少しピントリングは軽くてもいいのでは? と思っていたのだが、F2.8 という開放値でもあるし、撮影しているうちに重めのトルク感に納得していくことになる。絞りは 1/2 段クリック。最大絞りは f22。ちょっと気になった点が一つ。被写界深度の指標がないのが残念。パンフォーカスで撮影すればいいじゃん! って、確かにそうなんだけど、やっぱりあると便利。これも後々そう思うことになった。
ちなみにキャップはロック機構付き。こういう細かな配慮は嬉しいものだ。
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■ スナップで試してみた
さて、早速撮影に出かける。フィッシュアイレンズというものの写りの特性を考えると、1枚の画として訴える他に、複数枚の画の中にスパイス的にというか、変化をつけるために使うような特殊な画角だ。それを何枚も、しかもこのレンズで撮影した画だけをお見せするのはなかなかの苦労がある(笑)。
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■ 総評
フィッシュアイといえども、開放 F2.8 は背景をボカしてくれて、フィッシュアイ独特の写りの中、主たる被写体を浮かび上がらせてくれる、面白い写真が楽しめる。フィッシュアイレンズ一本でスナップ撮影はなかなかの覚悟が必要だが、新鮮であることも確か。むしろ標準レンズをアクセントに、撮影を構成してみてもいいのでは? と感じたほどだ。MF そのものには全く苦にならず、むしろ楽しさを感じさせてくれた。この画角でサムヤンというと天体系を思い浮かべる方々も多いだろうが、こうした日常スナップにも持ち出していただきたいと思った。 とても手を出しやすい価格設定なので、フィッシュアイレンズをお持ちでない方には、自信を持ってお勧めできる一本だ。
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸