萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第7回
SAMYANG 100mm F2.8 ED UMC MACRO
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのはフルサイズ対応 100mm 単焦点マクロレンズ「 SAMYANG 100mm F2.8 ED UMC MACRO 」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ レンズ構成 12 群 15 枚の贅沢マクロ
「 SAMYANG 100mm F2.8 ED UMC MACRO 」は、35mm フルサイズフォーマット用としてデザインされたマニュアルレンズ。100mm 近辺のマクロレンズは、それこそ本当に多くのメーカーが販売している、単焦点レンズの「 激選区 」。需要があるといえばそれまでだが、ユーザーがそれだけ使い勝手が良く、かつ魅力に感じている焦点距離のマクロレンズであるということだ。開放値は F2.8 、100mm マクロとしては一番多い開放値だ。これだけフラットな条件となると、マニュアルフォーカス( MF )であることを勘案しても、描写に自信があることがうかがえる。
このレンズのレンズ構成は 12 群 15 枚。ものすごい贅沢ぶりで、さらに高屈折レンズ( HR )1枚と低分散レンズ( ED )1枚を採用。フレアとゴーストを最大限に抑えるウルトラコーティング仕上げも施していて、描写への追求が本気でなされていることがよく分かる。造りも高硬度アルミ合金の鏡筒で、梨地仕上げの高級感が漂う、とても上品な仕上がり。そのためか、MF で手ぶれ補正機構も持たないのに 720g( キヤノン EF マウント )とやや重めに感じるが、カメラに装着したバランスはとても良い。絞り羽根は9枚。フィルター径は 67mm だ。
マウントは、ニコンF、キヤノン EF、ペンタックスK、ソニー A/E、キヤノンM、富士フイルムX、マイクロフォーサーズ、とほとんどのマウントがラインナップ。本記事での撮影はキヤノン EF マウントで、カメラは Canon EOS 5D MarkIII を使った。
先に述べたが、カメラに装着したレンズとのバランスは良好。私は EOS 5D MarkIII に縦位置フォルダーを付けずに撮影したが、持ちやすかった。フォーカスリングのトルク感はマクロレンズらしくピントリングはやや重めだが大柄で、とても軽快に扱える。絞りは 1/2 段クリック。最大絞りは f32。
マクロレンズといえば、花や昆虫などが定番の被写体だ。しかし一方で、100mm という中望遠レンズでもある。せっかく私がレビューしているのだから、被写体はポートレートにしてみることにした。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 100mm F2.8 ED UMC MACRO |
■ ポートレートで試してみた
結論から書くと、ポートレートでのキレやボケ味は十分にうかがえた。基本、絞りは開放で撮影してみた。ぜひ作例写真の「 実画像 」をクリックして、拡大してピント面をご覧いただきたい。ギスギスした感じはなく、すっきりとしたピント面でとてもクリアな印象。カリカリ感はポートレートでは避けたいところだが、そのような感じは一切見られない、素晴らしい描写だ。
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。
■ 総評
ポートレートでは中望遠といえば 85mm が定番。しかし最短撮影距離が 0.8m 程度と、「 最短撮影距離の壁 」が立ちはだかる。それはそれでポートレートでモデルとの距離をキープする指標になってはいるのだが、一方で、もう少し近づきたいというジレンマを感じることも確かだ。そこで、近距離での描写は特にキレが良く、かつ「 最短撮影距離の壁 」に邪魔にされることなく接近戦に対応できる 100mm マクロは、ポートレートにうってつけのレンズだ。
この SAMYANG 100mm F2.8 ED UMC MACRO はマニュアルフォーカスで手振れ補正も持たないことから、コストパフォーマンスのイメージが強いサムヤンレンズからすれば、少々割高な感じがしないでもない。しかし、上品でキレのある描写と、滑らかに溶けてゆく奥行きのあるボケを見れば、納得がいく。花などの植物を狙うのなら、MF でも十分対応できるし、スナップならなおさら。ポートレートでは絞りをかけての撮影場面が多いだけに、ピント合わせには慎重さが求められるが、それならマニュアルフォーカスでも同じ。逆にフレーミングとともにじっくり慌てず構えれば良い。本気度マックスの描写性能を一度味わってほしい。マクロレンズお探しの人は、ぜひお試しいただきたいレンズだ。
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