夜景写真家・岩崎拓哉の三脚レビュー
ベルボン・カーボン三脚 UTC-63
超小型三脚で夜景を撮る<後編・撮影風景/作例>
Photo & Text:岩崎拓哉
TOPIX
革新的で使いやすい三脚関連製品を提供するベルボン社から、剛性・軽量性・収納性の三拍子そろったコンパクトカーボン三脚、ウルトレックシリーズ「 UTC-63 」が登場。カメラを微動だにさせない撮影が必須の夜景写真において、UTC-63 の持つ性能がどう役立つのか、本誌で夜景撮影講座を連載する夜景写真家・岩崎拓哉の三脚使用レポート後編をお届けします。 by 編集部 |
Index
「前編」でUTC-63の機能面や使い勝手について詳しく解説しましたが、後編ではセッティング風景と実際の作例を紹介したいと思います。カメラは「CANON EOS M3」で軽量小型のEF-Mマウントのレンズから、重量のあるEFマウント(フルサイズ向け)の望遠ズームレンズまで様々なレンズを使い、強風時の悪条件下も含め、どれほどの安定性を発揮するかじっくり検証しました。
写真1 UTC-63のエレベータを上げて撮影
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■ UTC-63 のセッティング
さっそく、「UTC-63」のセッティングに入りましょう。一般的な三脚とセッティング方法はさほど変わりませんが、脚を反転収納しているので先に戻すところがポイントでしょうか。脚は5段になっていますが、ウルトラロックのおかげで、脚先端をひねるだけで一気に固定・解除ができるため、コンパクトでありながら、セッティングがとてもスムーズ。
写真2 (1)三脚を取り出す
写真3 (2)反転収納している脚を戻す
写真4 (3)脚を伸ばしやすいように均一に広げる
写真5 (4)脚を全て延ばす
写真6 (5)残りの脚も全て伸ばす
写真7 (6)水準器を見ながら雲台の水平を合わせる
写真8 (7)シュープレートをカメラに取付け、雲台にカメラを設置
写真9 (8)セッティング完了
■ 作例紹介(1)
それでは「UTC-63」を使って撮影した作例を撮影現場の様子と合わせて紹介します。主に5月から6月にかけて関東近郊の撮影スポットを巡りましたが、強風でカメラのストラップが舞い上がってしまうほどの過酷な条件下、大口径の望遠ズームレンズを使った撮影でもブレが起こらず、UTC-63の安定性や使い勝手の良さを改めて感じます。
写真10 横浜・清水ヶ丘公園(光量が少ない住宅地の夜景)
写真11 ゆずの木と住宅街の明かり
写真12 望遠寄りの画角で住宅街の明かりを撮影
■ 作例紹介(2)
写真13 千葉・明治記念展望塔(暴風に近い悪条件下での撮影)
写真14 夕日を写す
写真15 街明かりが浮かび上がるトワイライトタイム
■ 作例紹介(3)
写真16 東京・多摩丘陵パノラマの丘(大口径の望遠ズームレンズで撮影)
写真17 望遠側(200mm)で夕日を撮影
写真18 トワイライトタイムの住宅街
■ 作例紹介(4)
写真19 東京・台場公園(長時間露光で光跡や水面への光の反射を撮影)
写真20 多重露光+長時間露光で屋形船の光跡を写す(6枚重ね)
写真21 水面に反射した光を長時間露光で美しく
■ UTC-63の総評
「UTC-63」を撮影現場に持ち歩いて感じたことはコンパクトで軽量かつ、安定感があり、これまでに類を見ないほどの高い完成度の三脚だと自信を持って言える。公共交通機関での移動が劇的に楽になり、今まで三脚の重さや持ち歩く面倒さを理由に夜景撮影を敬遠していた人が、夜景撮影の魅力に新たに気付くきっかけにもなりそうだ。フルサイズの一眼レフからミラーレス一眼まで幅広いカメラに対応しているのが心強いが、今後は「UT-53」や「UT-43」のカーボンタイプが発表されることを期待したい。特にマイクロフォーサーズやAPS-Cのミラーレス一眼カメラには、「UTC-63」は良い意味でオーバースペックになるシーンも考えられるため、より軽量で小型のカーボン三脚も十分にニーズがあるだろう。「夜景撮影を楽しみたいけど、三脚は持ち歩きたくない」と思う人こそ、ぜひカメラ店などで「UTC-63」を手に取って確かめてみて欲しい。
写真22 UTC-63を持って撮影
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■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
岩崎拓哉