夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第55回 千葉・木更津夜景の撮り方
Photo : Takuya Iwasaki
TOPIX
東京・横浜は著名な夜景スポットとしてメディアに取り上げられています。今回の 夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座 は比較的夜景スポットしては取り上げられない、千葉の夜景スポットを解説いたしました。千葉・木更津夜景の撮り方です。どうぞお楽しみください。 by 編集部 |
これまでの記事で東京や川崎の夜景撮影スポットは取り上げてきましたが、今回は初めて千葉に特化した夜景撮影スポットを紹介します。千葉県は関東1都3県の中で最も面積が広く、1つの記事では全エリアを網羅できないため、今回は木更津・袖ヶ浦エリアを中心に解説します。写真愛好家にも有名な江川海岸なども紹介します。
写真1 人見神社からの夜景
■千葉・木更津エリアの特徴
1997年にアクアラインが開通してから木更津エリアを訪問する観光客が増え、都心へ通勤する移住者も年々増えている。木更津市周辺には夜景スポットがいくつかあるが、最近は製鉄所が見渡せる江川海岸が最も人気があり、写真愛好家の姿を見かける機会も増えている。木更津市と隣接する市原市は「全国11大工場夜景都市」にも選定されており、今後は工場夜景で盛り上がっていくことが予想される。
写真2 木更津市を中心とした地図
■千葉・木更津の夜景撮影のポイント
木更津エリアの夜景撮影にあたり、特段難しいテクニックなどは無いが、気象条件をしっかり見極めて、標準レンズや望遠レンズなど必要最低限の機材を持って行けば、撮影はさほど難しくないだろう。なお、東京都心と違ってオフィスビルは少ないので、平日・休日による光量差はさほど気にしなくて良い。
写真3 金田海岸付近からアクアラインを写す
(1)都心からの訪問はアクアラインの渋滞に気をつける
アクアラインは平日は渋滞が少ないが、週末や連休は特に渋滞する。連休であれば初日の午前中の木更津方面、最終日は夕方~夜間の東京方面が特に渋滞する印象がある。
(2)空気が澄んでいる秋~冬がおすすめ
木更津エリアの夜景は街明かりを見渡すパノラマと、遠くに見える工場がメインの被写体となるため、なるべく空気が澄んでいる時期に訪問したい。
(3)撮影機材は標準レンズと望遠レンズを持参したい
きみさらづタワーを除いて、ほとんどの撮影スポットで望遠レンズを使う機会が多くなる。沿岸部からの撮影となるので、なるべく丈夫で安定感のある三脚を持参しよう。
(4)車移動が基本
きみさらずタワー以外は最寄り駅から離れた場所にあり、効率良く夜景スポットを巡るなら車移動が基本。
■撮影スポット(1):江川海岸
SNS映えスポットとして絶大な人気があり、週末には多くの若者が訪れる。平日は訪問者が少ないためか、夕暮れ前に訪れてもベストポジションを確保できる可能性が高い。広角レンズでも望遠レンズでも絵になる写真が撮れるが、工場とは距離があるので、望遠レンズの方が夜景撮影には向いている印象がある。なお、夕日と工場をからめて写すなら、夕日が南西寄りに沈む冬の時期がおすすめ。また、潮の満ち引きによっても見え方が変わってくるので、何度か訪れて景観の違いを楽しむのも良いだろう。手前に駐車場はあるが、途中にあるトイレは閉鎖されている可能性が高いので、飲み物などの購入も含め、予めコンビニに立ち寄っておくと良いだろう。(地図)
写真4 トワイライトタイムに海中電柱と製鉄所を写す
写真5 新日鉄住金の工場夜景を写す
■撮影スポット(2):太田山公園(きみさらずタワー)
木更津を代表する夜景スポットで、夜景観賞を楽しむカップルの姿も多い。市街地との距離が近いことから、街明かりも十分にあり、見応えのある夜景が楽しめる。西向きに視界が広がるため、トワイライトタイムからの撮影を始めるのも良いし、暗くなってから標準レンズや望遠レンズで街明かりを大きく写すのも良いだろう。(地図)
写真6 木更津市街地を写す
写真7 きみさらずタワーの外観
■撮影スポット(3):中の島大橋
「恋人の聖地」で知られる人気夜景スポット。日本一の高さ(27m)と言われる歩道橋からは、新日鉄住金の工場を中心に木更津市街地まで広範囲に見渡せる。江川海岸よりも工場との距離が近いため、強風対策さえしっかり行えば、望遠レンズで製鉄所の工場夜景が撮れる。(地図)
写真8 新日鉄住金を望遠レンズで写す
写真9 駐車場と中の島大橋
■撮影スポット(4)海ほたるPA
東京湾に浮かぶパーキングエリアで、レストランやお土産ショップなども充実していて、旅途中の休憩にも立ち寄りたい。見晴らしも良く、特に木更津側はアクアラインを走る車の光跡が撮影できる。広角レンズや標準レンズでも撮影できるが、道路だけを写すなら望遠レンズの方が撮影に適している。光跡を綺麗に入れるなら、ISO感度は100程度まで下げて、なるべく30秒前後シャッターを開けると良いだろう。(地図)
写真10 長時間露光でアクアラインと光跡を写す
写真11 東京・横浜方面の夜景
■撮影スポット(5):袖ヶ浦海浜公園
全8ヘクタールにも及ぶ広大な公園で、日中は家族連れで賑わいそうな公園。園内には展望台があり、東京湾を中心とした夜景と工業地帯の夜景が見渡せる。街や工場とは距離があるため、風の弱い日であれば望遠レンズでの撮影が望ましい。なお、まれに氣志團などのライブイベントで公園内への入場が制限されることもあるので、予めイベント情報などを確認しておくと安心。(地図)
写真12 東京ガス(株)袖ヶ浦LNG基地方面を写す
写真13 展望台の外観
■今月のお勧め夜景スポット「養老川臨海公園」
市原市を代表する工場夜景スポット。公園からは対岸にコスモ石油が見渡せるが、視界はさほど広くないため、公園の反対側にある丸善石油化学方面の方が被写体としてはおすすめ。(地図)
養老川臨海公園
営業時間:終日開放
所在地:千葉県市原市五井南海岸1−12
アクセス:JR「五井駅」西口よりタクシーで約10分(駐車場あり)
料金:無料
URL:https://www.nightview.info/yakei/detail/chiba_yourou/
写真14 丸善石油化学(株)方面を写す(RAW現像済)