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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座 第82回 東京都内の工場夜景撮影スポットを解説

Photo : Takuya Iwasaki

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今月の「 岩崎拓哉の夜景撮影講座 」は「 東京都内の工場夜景撮影スポット 」をお届けします。都心から近い東京都内の工場夜景を撮影に行きませんか?
by 編集部
<本記事は 2024 年 3 月現在の情報です。訪問した時期により状況が記事内容と異なる場合がございます。>

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これまでに本連載記事にて、全国各地の工場夜景エリアを紹介してきましたが、今回はちょっと意外な”東京都”の工場夜景スポットと作例を紹介します。東京で工場夜景が見える場所と言えば、通なら、ギリギリ奥多摩のイメージが浮かぶぐらいですが、実は東京ベイエリアの意外な場所からも工場夜景が見えます。

写真1 太平洋セメント 東京サービスステーションを写す

[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:97mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1/20秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:6400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■東京都内の工場夜景撮影のポイント

首都圏の工場夜景エリアと言えば、川崎臨海部、横浜・磯子、千葉・市原などのイメージが強く、東京都内で工場夜景を撮れる場所は認知度が低く、数が限られているためか、希少性が高い。撮影技術に関して、他のエリアと同様に特段注意すべき点は無いが、工場と離れた場所からの撮影となるため、安定感ある三脚と望遠レンズの持参が望ましい。

写真2 カメラと三脚のセッティング風景

若洲海浜公園での三脚セッティング風景(標準寄りのレンズで東京ゲートブリッジを撮影中)。遠くには太平洋セメントの工場が見える。

(1)公共交通機関でもアクセスできる

東京都内の工場夜景スポットは、意外と交通アクセスが良く、自家用車が無くても、電車やバスを利用して訪問しやすい。ただし、奥多摩で工場夜景を撮る場合は、JR奥多摩駅の電車の本数が少ないため、時刻表を確認した上で訪問したい。

(2)300~400mm前後の望遠レンズを持参

氷川・奥多摩工業を除き、基本的に工場から離れた場所からの撮影となるため、望遠レンズを持参したい。なお、工場夜景撮影時は基本的に絞っての撮影となるため、F値が暗いコンパクトな望遠ズームレンズでも問題無い。

(3)安定感ある三脚を持参

氷川・奥多摩工業を除き、臨海部からの撮影となるため、風の影響を受けやすい。そのため、可能な限り安定感ある三脚を持参したい。

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■撮影スポット(1)氷川・奥多摩工業

東京多摩で唯一無二とも言える工場夜景スポット。工場では採掘された石炭石を元に生石灰を生産している。工場自体はJR奥多摩駅から徒歩圏にあるが、撮影ポイントまでは歩いて15分以上かかる。工場とは直線距離で250m前後しか離れていないため、標準ズームレンズでも迫力ある工場夜景が撮れる。化学工場などに比べて、光量が相当少ないため、できるだけ日没後のトワイライトタイムを狙って撮影したい。また、路上からの撮影となるため、車両には注意が必要で、撮影時には反射タスキなどを身に着けた方が安全。(地図

写真3 住宅と奥多摩工業を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:40mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:20秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:640 / WB:白色蛍光灯 ]

写真4 奥多摩工業の全景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:82mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:640 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(2)若洲海浜公園(東京ゲートブリッジ)

若洲海浜公園は東京ゲートブリッジが見渡せる夕景・夜景スポットとして人気がある一方で、工場夜景が見える場所としてはあまり認識されていない。東京ゲートブリッジよりも北側にある遊歩道からは、太平洋セメントの工場が見渡せる。工場とは距離があるため、望遠レンズが欠かせない。また、夏期の金・土曜日は午後8時まで歩道に入れるため、三脚が使えない点に注意が必要だが、高い位置から工場の全景を見渡せる。(地図

写真5 太平洋セメント 東京サービスステーションを写す


[ ボディ:CANON EOS M3 / レンズ: TAMRON SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD / 焦点距離:161mm(35mm換算:約257mm) / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:4秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:200 / WB:オート ]

写真6 東京ゲートブリッジの歩道から太平洋セメントを写す


[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ: CANON EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:50mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1/40秒 / 絞り数値:F4 / ISO感度:12800 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(3)多摩川スカイブリッジ

2022年3月に開通した新しい橋で、川崎臨海部と羽田空港エリアを結ぶ。橋には歩道があり、東京タワーや東京スカイツリーも見渡せる一方、川崎臨海部の工場も一部見渡せる。特に花王 川崎工場が見渡せる場所としては珍しく、望遠レンズでプラントの一部を写すのも面白い。ただ、大型車両の通行が多く、三脚を立てての長時間露光はシャッターを切るタイミングの見極めが厳しい。そのため、平日よりも交通量の少ない休日に訪問したい。(地図

写真7 花王 川崎工場とANAケータリングサービス方面を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:87mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:3.2秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:640 / WB:白色蛍光灯 ]

写真8 花王 川崎工場を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF100-400mm F5.6-8 IS USM / 焦点距離:400mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1.3秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:800 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(4)ソラムナード羽田緑地

2020年4月に全面開園した公園で、多摩川スカイブリッジに比べて高さは無いが、正面に花王 川崎工場が見渡せ、足場が安定しているため、三脚を立てて長時間露光で撮影しやすい。400mm以上の望遠レンズがあれば、画面全体に工場を写せるが、水面に反射した工場の明かりも美しいので、もう少し広角寄りで撮影する構図もおすすめ。(地図

写真9 花王 川崎工場を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF100-400mm F5.6-8 IS USM / 焦点距離:400mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

写真10 花王 川崎工場を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF100-400mm F5.6-8 IS USM / 焦点距離:156mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

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著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。