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星景写真家・北山輝泰の日本星空名所案内 第17回 関東編~01

Photo & Text:北山輝泰



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啓蟄を迎え、日差しにぬくもりを感じる季節になってまいりました。日本全国の星空名所をご紹介する本シリーズの第 17 回目は本シリーズ初の関東編を取り上げました。東京近郊にお住まいお方は比較的訪問しやすい場所ではないでしょうか。どうぞご覧ください。 by 編集部

<本記事は 2023 年 3 月現在の情報です。ご覧いただく時期により状況は記事内容と異なる場合がございます。>

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皆さん、こんにちは。星景写真家の北山です。2023年も早くも二カ月がたちました。今年の冬は厳しい寒波が日本列島を覆いました。特に大雪に見舞われている地域の方々は日々大変なご苦労をなさっていると思います。ここにきて雪解けを感じさせる陽気となってまいりました。さて、今年も星空名所案内をスタートしたいと思います。今回は初めての関東編で、神奈川県の撮影スポットをご紹介します。

Index

1.神奈川県の撮影スポット(1)

ご紹介をするのは、神奈川県秦野(はだの)市にある「 弘法山公園 」です。秦野市は神奈川県の中西部に位置し、市の半分が山林に囲まれた自然豊かな市です。人口は約 16 万人で、面積も神奈川県内にある 19 の市町の中でも5番目の広さを誇ります。そして、弘法山公園は秦野市の南東に位置しており、標高 235m の弘法山、標高 243m の権現山、標高 196m の浅間山を含む県立自然公園一帯のことを指します。四季折々の美しい花々や、数多くの野鳥を観察できることから、多くのハイカーに人気の公園です。
弘法山公園には展望台が併設されており、市内を見下ろすだけでなく、晴れていれば遠く富士山もしっかり見ることができます。実際に8月末にこの展望台周辺で撮影を行なってきましたので、その模様をご紹介したいと思います。

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2.弘法山公園の撮影ポイント(1)

広場の中心にあるとてもユニークな形をした建物が展望台です( 写真1)。

写真1

まるで東南アジアで目にしそうな形をしていますが、中には螺旋状の階段があり二階にあがることができます(写真2)。

写真2

階段を登りきると大人がすれ違える程度の幅で、360 度ぐるりと回ることができる展望スペースが現れます。眺望がいいのは北西から南の方角になり、必然的にこちらに三脚を構えることになりますが、かなり狭いスペースのため三脚を設置する際は周りの人への配慮を怠らないようにしましょう(写真3)。

写真3

展望台から南方向は比較的暗いため、タイミングが合えば南中する天の川もうっすら撮影することができます(写真4)。

写真4

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE 20mm F1.8 G
シャッター速度:2秒 ISO感度400 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

西の方角は秦野市街地方向になりますので、長時間シャッターを開けることは難しいですが、月や明るい星々が沈んでいく様子を撮影するのに良いでしょう。夜景撮影をする場合は、日没後の残照があるマジックアワーの時間帯に撮影すると、富士山も完全にシルエットにならず撮影することができます(写真5)。

写真5

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: TAMRON 50-400mm F4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXD (Model A067)
シャッター速度:1秒 ISO感度200 絞り:f4.5 ホワイトバランス:オート

また、小田急小田原線の秦野駅から渋沢駅間を走る電車も見ることができますので、薄暗くなってきたら電車の光跡を際立たせて撮影するのも良いでしょう(写真6)。

写真6

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: TAMRON 50-400mm F4.5-6.3 Di Ⅲ VC VXD (Model A067)
シャッター速度:8秒 ISO感度100 絞り:f16 ホワイトバランス:オート

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3.弘法山公園の撮影ポイント(2)

続いて展望台周辺の広場での撮影ポイントです。まずは特徴的な形の展望台と星空を撮影してみましょう。南西から西の方角の星と一緒に撮影することができますので、春夏であれば天の川が南中する様子と(写真7)、秋から冬であればオリオン座を中心とした冬の星座が南中する様子と撮影するのがおすすめです。

写真7

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE 20mm F1.8 G
シャッター速度:10秒 ISO感度400 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

また、広場周辺には桜の木が植わっているため、春の時期は桜と星空も撮影することができるでしょう。今回訪れたタイミングは時期がずれていましたが、北極星の日周運動と桜を撮るイメージで撮影を行いましたので、下に掲載いたします(写真8)。

写真8

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE 20mm F1.8 G
シャッター速度:10秒 ISO感度400 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

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4.弘法山公園へのアクセス

弘法山公園へは車での往訪がおすすめです。東京方面からアクセスする場合は、東名高速道路の秦野中井ICを出て71号線を北上し、秦野クリーンセンターと書かれた交差点を右折、そのまま山道を登っていくと浅間山駐車場に到着します(写真9)。

写真9

駐車場から1~2分ほど歩いたところに公衆トイレもありますので、ここで身支度をしてから展望台がある広場まで向かいましょう。展望台へは徒歩 10 分ほどで到着します。ハイキングコースを歩くことになりますので、しっかりとした服装と靴で向かうようにしましょう(写真10)。

写真 10

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5.神奈川県の撮影スポット<おまけ>

秦野市にある展望台でもう1ヶ所おすすめの場所がありますのでご紹介したいと思います。弘法山公園から北に 10km ほど車で走ったところにある「菜の花台」という場所には、六角形の形をした木造の展望台があります(写真11)。

写真 11

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE 20mm F1.8 G
シャッター速度:8秒 ISO感度1000 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

螺旋状の階段を登っていくと展望スペースがありますが、南方向の景観が素晴らしく星空と秦野市の夜景を見るのに最適です(写真12)。

写真 12

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE 20mm F1.8 G
シャッター速度:4秒 ISO感度400 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

こちらも広々とした展望スペースはないため、三脚を置いて撮影する場合は注意が必要です。また、展望台の屋根が低いため、超広角レンズ(14mm程度)で撮影すると、屋根が写り込んでしまう可能性があります。そのため、標準域をカバーできるズームレンズなどを持参するのがよいでしょう。
展望台のある駐車場へアクセスするためには秦野市街よりヤビツ峠という峠道を登っていく必要があります。急カーブが続く山道になりますので、運転される際はくれぐれも注意するようにしましょう。

6.まとめ

関東編vol.1、いかがでしたでしょうか?今回は、神奈川県秦野市にある展望台を2ヶ所ご紹介しました。神奈川県で天の川が撮れると驚かれた方がいるかもしれませんが、少し街から離れるだけでも綺麗な星空が見られる場所はたくさんあります。ぜひ皆様も身近な場所で探してみてくださいね。それでは次回の更新もお楽しみに!星景写真家の北山輝泰でした。

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