2005/03/09
携帯電話のカメラ機能が充実してきましたね。 メガピクセルは当たり前。 中には、200万画素モデルも登場しているようです。 けれども、画質が悪かったり、写真の中に白い帯状の部分が表示されたりすることが多く、まだまだデジタルカメラの代わりにはできない、といった声をよく聞きます。
携帯電話のカメラ機能は、基本的にはデジカメと同じしくみなのに、なぜこのような違いが出るのでしょうか。
まず、画質が悪いのは、CCDのサイズが小さいことが原因。CCDが小さいと光を受ける量が小さくなってしまいます。光の照射量が小さいと画質が悪くなるのは、「第3回 : 画素数と画質の関係」で解説しましたね。また、撮影した写真によく白い帯状の部分が出てしまうことがありますが、これは携帯電話のカメラでは、スミアが発生してしまいやすいからなのです。
スミアは、CCDの原理と深い関係があります。そこで、まずはCCDの原理について解説していきましょう。
CCDは、「Charge Coupled Devices」の略称で、「電荷結合素子」と日本語では訳されます。CCDは、光を電気信号に変えていきますが、いっぺんに、えいやっ、っと変換できるわけではありません。 まず、第一段階は、光電効果を利用して、光を電荷という状態に変換します。光電効果とは、特定の物体に光が照射されたときに、電子が活発に動き出す現象をいいます。CCDでは、フォトダイオードというパーツを使って、光電効果を利用して電荷を取り出しています。ちなみに、CCD1つに対してフォトダイオードは1つではありません。CCDの画素数分だけ用意されています。つまり、100万画素のCCDならフォトダイオードが100万個、400万画素のCCDなら400万個のフォトダイオードが必要なわけです。光電効果は、フォトダイオードに照射された光の強さによって発生する電荷の量が異なってきます。つまり、強い光を受けると電荷は多く、弱い光だと電荷の発生は少なくなります。しかも、この電荷は取り出すまで溜めておくことが可能です。この性質を利用すれば、100万や400万に区切ったそれぞれの画素どうしの間で、明暗が区別できるようになるといった具合です。
フォトダイオードによって発生した電荷は信号として取り出さなければいけないのですが、1つの画素のフォトダイオードから得られる電荷ではエネルギーとしては微弱すぎます。そこで、アンプ(増幅装置)によって大きなエネルギーに変換し、画像処理の部分が認識できる大きさの電気信号にしなければいけません。このとき、すべてのフォトダイオードからアンプまで直接取り出せれば良いのですが、1つ1つがあまりにも小さく、そして数が多いため、すべてのフォトダイオードに配線を繋げるような回路やしくみをCCDの中に埋め込むことは困難なのです。そこで、CCDの特性を活かして、電荷をアンプまで転送していきます。この電荷の転送は、CCDの最大の特徴とも云えます。 電荷の転送は、「土手」と「溝」、そして溝に溜まった「水」のように移動していきます。ここでは、土手の高さを「電位」に、水を「電荷」に見立てて説明していきましょう。ちなみに、溝は、一部だけ「電位を低くした場所」になります。
まず、CCDのフォトダイオード部の電荷を低くしておきます。そして、シャッターを開けた状態にして、CCDに光を照射します。すると電荷が発生し、溜まっていきます。この状態を図にすると、下のように水(発生した電荷)は、溝(電位の低い場所)に溜まります。このとき、光の強さによって電荷の発生量は異なりますので、水位もまちまちになります。
シャッターが閉じると光の照射が終わり、電荷の発生も終わります。そうしたら、CCDは一部の電位だけを変化させることができますから、電荷が溜まっている場所に隣接する処の電荷を低くします。すると、溝が大きくなったことになり、水位は下がります。
そして、最初に溝になっていた部分の電荷だけ引き上げます。すると、水は、最初の位置から隣接した場所へと移動したことになります。これを繰り返していけばCCDは、電荷を移動していけるようになるのです。よく「CCDはバケツリレーのように電荷を順次転送していく」というような記述をみることがあると思いますが、それはこのようなしくみになっているからなのです。
このようにして電荷をアンプ部に移動させます。アンプ部は、電荷の量に応じて電圧を変化させることができるようなしくみになっています。つまり、電気信号として扱えるデータになるのです。
CCDでは、バケツリレーのように順次電荷をアンプ部に転送していくと解説しました。でも、これだけだとまだスミアの発生と結びつきませんね。スミアの発生には、この電荷の転送順序が関係してくるのです。では、この電荷転送の順序の解説もしていきましょう。
CCDは、電荷を発生する場所が格子状に綺麗に並んでいると考えることができます。例えば、48万画素のCCDなら、横方向に800個、縦方向に600個並んでいる等です。電荷の転送はバケツリレーですから、順序よく何回も転送を繰り返さなければいけません。CCDは、まず電荷を垂直方向に転送します。この領域のことは垂直転送用CCDと呼びます。垂直方向に電荷を移動させると、一番下の電荷は追い出されてしまいますね。そこで、受け皿を作っておきます。そして、この受け皿に入った電荷は、水平方向に移動させてアンプ部に転送します。そこでこの受け皿の部分を水平転送用CCDと呼びます。水平転送用CCDに入った電荷は、空になるまで水平方向の移動を繰り返します。水平転送用CCDが空になったら、また垂直方向に1段転送して、水平転送用CCDが空になるまで水平方向の転送をして・・・、というのを繰り返していくのです。この動作は、画素の縦方向分繰り返します。先ほどの48万画素CCDなら800回の繰り返しですね。 ちょっと冗長的な説明になってしまいましたので、分かりにくい場合は、下の図を見て整理してくださいまし。
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