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コ・ボーグ36ED活用のススメ
第1回:コ・ボーグ36ED望遠レンズセットの実力

Posted On 24 12月 2014
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TOPIX

トミーテックの「コ・ボーグ36ED」は、一眼レフカメラ用の望遠レンズとしても、望遠鏡としても利用できる交換レンズです。その特徴は、さまざまなカメラに対応できる柔軟性だけでなく、同社が「望遠鏡クオリティー」として胸を張る優れた描画性があります。そこで、今回からフォトグラファーの大浦タケシ氏が「コ・ボーグ36ED」を使って、さまざまな撮影シーンで同製品の実力を探っていく連載をスタートします。その第1回目の今回は、コ・ボーグ36EDの基本構成となる「コ・ボーグ36ED望遠レンズセット」とその実力を見ていくことにしましょう。(編集部)

■はじめに

交換レンズが自由にカスタマイズできるなら……。たとえば、マウントが交換できればメーカーの異なるカメラで共有できるし、被写体などに応じてレンズのスタイルを変化させることもできるようになる。実は、そのような交換レンズがすでに存在する。それがトミーテックのBORGシリーズだ。

BORGシリーズは、鏡筒のサイズ(口径)の小さい順番から「ペンシルボーグ」、「コ・ボーグ」、「ミニボーグ」、「BORG」というラインナップ構成になっている。本連載でピックアップする「コ・ボーグ36ED」は口径36mmと、同社の製品では小さい方から2番目で、軽量コンパクトながら比較的明るいのが特徴である。

36ED対物レンズ。対物レンズは2群2枚で、後玉はEDレンズを採用する。フードは36ED対物レンズと一体で販売される。

36ED対物レンズ。対物レンズは2群2枚で、後玉はEDレンズを採用する。フードは36ED対物レンズと一体で販売される。

 

■コ・ボーグ36ED望遠レンズセット

コ・ボーグ36EDは、口径36mmの2群2枚のレンズ構成の対物レンズのことを指す。後玉はEDレンズを使用。カメラ用レンズとして用いる場合は、基本的に光学レンズはこの2群2枚のみとなる。しかし、コ・ボーグ36ED対物レンズだけではカメラ用レンズとして機能しないため、二重構造のチューブで構成され、押し引きでピントを合わせるものであるドロチューブや、鏡筒、ヘリコイド、絞り、延長筒、台座などのオプションパーツを用意。これらを組み合わせていくが、はじめてのBORGシリーズを利用しようというユーザーが、イチから構成を考えるのは難しい。 そこで、トミーテックでは、

36ED対物レンズ+M42ドロチューブ+M42回転台座+M42延長筒M

から構成される「コ・ボーグ36ED望遠レンズセット」を用意しており、あとは自分の使用するカメラにあったアダプタや、フランジバックを調整し、その長さによってミラーレスや一眼レフへの装着を可能とする延長筒などを揃えることで、200mm f5.6の望遠レンズとして利用できるようにしている。

M42ドローチューブ。前後にアウターチューブを動かすことでピントを合わせる。精密なピント合わせは苦手とする。

M42ドロチューブ。前後にアウターチューブを動かしてピントを合わせる。精密なピント合わせは苦手。

M42台座。いわゆる三脚座である。銀色のネジを緩めれば、回転するので、縦位置撮影で重宝する。

M42回転台座。いわゆる三脚座である。銀色のネジを緩めれば回転するので、縦位置撮影で重宝する。

M42延長筒L。フランジバックを調整する。写真のLサイズのほかMサイズとSサイズがある。

M42延長筒M。フランジバックを調整する。写真のMサイズのほかLサイズとSサイズがある。

カメラマウント。写真はマイクロフォーサーズ用。一眼レフおよびミラーレス用の各社マウントを用意。

カメラマウント。写真はマイクロフォーサーズ用。一眼レフおよびミラーレス用の各社マウントを用意。

カメラの機種ごとのシステム構成などについては、コ・ボーグ36ED望遠レンズセットのWebサイト(http://www.tomytec.co.jp/borg/products/detail/ summary/574/7)に詳しく説明が載っているので、興味がある方は参考にするとよいだろう。

今回、筆者は「コ・ボーグ36ED望遠レンズセット」を、ミラーレス一眼レフカメラのオリンパス OM-D E-M5と組み合わせることにした。

36ED対物レンズ+M42ドローチューブ+M42回転台座+M42延長筒M+マイクロフォーサーズ用カメラマウント

36ED対物レンズ+M42ドローチューブ+M42回転台座+M42延長筒M+マイクロフォーサーズ用カメラマウント

筆者の場合、今回使用したコ・ボーグ36ED望遠レンズセットでは、いくつかのオプションパーツによってカスタマイズを施している。具体的には、M42ヘリコイドを追加するなど、下記のような構成をとった。

36ED対物レンズ+M42ヘリコイド+M42ドローチューブ+M42回転台座+M42延長筒M+スリムフラットナー1.1×DG

36ED対物レンズ+M42ヘリコイド+M42ドローチューブ+M42回転台座+M42延長筒M+スリムフラットナー1.1×DG

今回、作例撮影で使用したコ・ボーグ36ED望遠。「コ・ボーグ36ED望遠レンズセット」をベースにM42ヘリコイドT、スリムフラットナー1.1×DGなどを装着している。

今回、作例撮影で使用したコ・ボーグ36ED望遠。「コ・ボーグ36ED望遠レンズセット」をベースにM42ヘリコイド、スリムフラットナー1.1×DGなどを装着している。

今回、使用したコ・ボーグ36ED望遠レンズセットを分解してみたところ。左よりフード+36ED対物レンズ+M42ヘリコイドT+M42ドローチューブ+M42台座+M42延長筒L+スリムフラットナー1.1×DG+カメラマウント(マイクロフォーサーズ用)とする。

今回、使用したコ・ボーグ36ED望遠レンズセットを分解してみたところ。左よりフード+36ED対物レンズ+M42ヘリコイド+M42ドロチューブ+M42回転台座+M42延長筒M+スリムフラットナー1.1×DG+カメラマウント(マイクロフォーサーズ用)とする。

ヘリコイドは回転操作によりピントを合わせるものだが、緻密な操作が可能。先に紹介したドロチューブでは大まかにピントを合わせ、このヘリコイドで微調整を行なうというような使い方をする。また、本レンズにはスリムフラットナー1.1×DGという補正レンズも鏡筒後端に装着している。これは周辺像がコマ収差などで乱れることを抑えるもので、このレンズを装着すると焦点距離は200mmから220mmに、開放値もf5.6からf6.1となる。マウントアダプターはマイクロフォーサーズ用を装着している。

M42ヘリコイドT。いわゆるフォーカスリングで、ピントの微調整が可能だ。なお、コ・ボーグ36ED望遠レンズセットには本来含まれない。

M42ヘリコイド。いわゆるフォーカスリングで、ピントの微調整が可能だ。なお、コ・ボーグ36ED望遠レンズセットには本来含まれない。

スリムフラットナー1.1×DG。1群2枚のレンズ構成で、周辺像の描写を改善する。その効果のほどは作例を見て欲しい。

スリムフラットナー1.1×DG。1群2枚のレンズ構成で、周辺像の描写を改善する。その効果のほどは作例を見て欲しい。

 

■コ・ボーグ36ED望遠レンズセットの描写力

ここからは、コ・ボーグ36EDの操作性や描写をみていくことにしよう。鏡筒自体は細く、一般的な望遠レンズの概念を覆すものだ。全長は実測値で23.4cm(レンズ先端からマウント面まで)、質量も368gと軽量だ。見慣れた交換レンズと比べると、鏡筒はぐっとスレンダーに仕上がる。このレンズのスゴさを知らないと、心細く感じられるほどだ。さらに鏡筒は分解しても持ち運べるので、カメラバッグの収納にもさほど難儀することはないだろう。

望遠ズームとの比較。コ・ボーグ36ED望遠の焦点距離は220mmなので、望遠ズームもそれに合わせた長さとしている。コ・ボーグ36ED望遠はフードも装着されているが、鏡筒の細さが際立つ。

望遠ズームとの比較。コ・ボーグ36ED望遠の焦点距離は220mmなので、望遠ズームもそれに合わせた長さとしている。コ・ボーグ36ED望遠はフードも装着されているが、鏡筒の細さが際立つ。

M42ヘリコイドの操作感は想像以上に滑らかでスムーズ。思ったところにピタリと止まる。ピントあわせばマニュアルフォーカスのみとなることに不満を持つ人もいるかとは思うが、カメラのライブビュー拡大機能を使ってピントを合わせれば、オートフォーカスよりも正確に合わせられるので心配は不要だ。なお、ドロチューブに関してはあくまでもおおまかにピントを合わせることが役割であるため、操作感ついては言及しなくてよいだろう。

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コ・ボーグ36ED
望遠レンズセット(BK)

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気になる描写に関しては、いい意味で裏切られた。スリムフラットナーも含めシンプルなレンズ構成ながら、優れた描写特性を持つからだ。なかでもキレのよさ、コントラストの高さは圧倒的。今回はオプションの「絞り」を持たない構成をとったため、開放値での撮影としているが、ピントの甘さ解像感のユルさのようなものは微塵も感じさせない。画面周辺部の描写にしても、スリムフラットナーのおかげとフォーマットサイズの小さいマイクロフォーサーズ機で撮影していることもあるものの、像の流れはなく、周辺減光もわずか。カメラメーカーの純正望遠ズームとの比較では、コ・ボーグ36ED望遠のほうが総合的にわずかに秀でているように思える。オプションの「絞り」を追加して絞り込むことができたなら、描写の品質もあがりそうだ。

作例1 コ・ボーグED36

作例1 コ・ボーグ36ED (実画像)

作例1 オリンパス純正レンズ

作例1オリンパス純正レンズ (実画像)

作例2 コ・ボーグED36

作例2 コ・ボーグ36ED (実画像)

作例2 オリンパス純正レンズ

作例2 オリンパス純正レンズ (実画像)

作例3 コ・ボーグED36

作例3 コ・ボーグ36ED (実画像)

作例3 オリンパス純正レンズ

作例3 オリンパス純正レンズ (実画像)

作例4 コ・ボーグED36

作例4 コ・ボーグ36ED (実画像)

作例4 オリンパス純正レンズ

作例4 オリンパス純正レンズ (実画像)

上の作例を見ても分かるとおり、純正レンズ(M.ZUIKO DIGITAL ED75-300mmF4.8-6.7 II)と描写の比較を行ってみると、その描写特性は伯仲しているが、コ・ボーグ36ED望遠のほうが単焦点レンズらしくわずかにコントラストは高く、ヌケがよいように思える。逆光での描写特性については、両者変わることがない。ディストーションに関しては、コ・ボーグ36ED望遠がわずかに糸巻き状の収差が発生していることが、作例4から見て取れる。

コ・ボーグ36ED望遠レンズは、アタッチメントの変更でフィールドスコープとしても、天体望遠鏡としても楽しめる(むしろ、こちらのほうが専門といえる)。また、アタッチメントの組み合わせは複雑だが、拡張性があり比較的リーズナブルなので、自分だけのコ・ボーグ36ED望遠レンズに仕立て上げることも容易だ。交換レンズの性能を追い求めると、どうしても高価なレンズに目が移りがちだ。しかし、本レンズはそのような概念を大きく覆すものといえる。

(Photo & text by 大浦タケシ)

大浦 タケシ
著者について
■大浦タケシ(おおうらたけし)■宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマン、デザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般誌、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。写真展としては、「盆地〜もうひとつの記憶」(2006年3月コニカミノルタプラザ)、「Expression 〜生き物たちの肖像〜」(2013年4月エプサイト)などがある。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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