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コ・ボーグ36ED活用のススメ
第3回:実践編 動物園

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アタッチメントの組み合わせでカスタマイズでき、さらにマウントを選ばない「コ・ボーグ36ED望遠レンズセット」。これまで2回に渡りその詳細を紹介してきたが、最終回となる今回は実践編として作例を中心にお届けする。

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コ・ボーグ36ED
望遠レンズセット(BK)

オアシス・ダイレクト(メーカー直販)

作例の撮影に向かったのは上野動物園。都心にあるためアクセスがよく、また貴重なパンダをはじめとする数多くの生き物が展示されており、子どもから大人まで幅広い人気を誇る動物園である。筆者はつね日頃、時間ができると動物園におもむき、動物の姿を写真に収めている。ちなみに2013年には、新宿エプサイトにて「Expression 〜生き物たちの肖像〜」と題し、動物園の動物たちを被写体とした写真展を行った。いつもはAF望遠ズームで撮影を行なっているが、果たして、MFでしかも単焦点レンズであるコ・ボーグ36ED望遠レンズでどこまで撮影が楽しめるか、また、改めてその描写がどのようなものであるか探ってみた。

用意したコ・ボーグ36ED望遠レンズは、第1回のときと同じシステムとしている。構成はレンズ先端側から、

36ED対物レンズ【2037】+M42ヘリコイド【7842】+M42ドロチューブ【4566】+M42回転台座【4520】+M42延長筒M【4551】+スリムフラットナー1.1×DG+カメラマウント(マイクロフォーサーズ)

とする。ヘリコイドはピント合わせの精度とスピードの向上のため、スリムフラットナーはより品質の高い描写を得るためにはマストアイテムと言えるだろう。

センサーシフト方式の手ブレ補正機構を搭載するカメラを使用するなら、同機能を積極的に活用したい。焦点距離220mmが選択できない場合は、それに最も近い焦点距離を選択するとよい。

センサーシフト方式の手ブレ補正機構を搭載するカメラを使用するなら、同機能を積極的に活用したい。焦点距離220mmが選択できない場合は、それに最も近い焦点距離を選択するとよい。

使用したカメラはオリンパスOM-D E-M5。このカメラを使用したときのコ・ボーグ36ED望遠レンズの画角は、35mmフルサイズ換算で440mm相当となる。超望遠レンズというわけだが、個人的にも動物園の動物を撮るにも十分過ぎる画角といってよい。なお、動物園での撮影の場合、ほかの観覧者がいることを考慮すると、カメラは手持ちか、せいぜい一脚を用いることになるだろう。そのような場合、手ブレを少しでも抑えるためにセンサーシフト方式の手ブレ補正機構を積極的に活用したい。ちなみに、今回の作例撮影では、すべて手持ちで撮影を行なっている。

M42ヘリコイド【7842】ならば、ピント合わせもスムース。適度なトルク感があり操作感は良好だ。コ・ボーグ36ED望遠レンズセットではオプション扱いとなるが、同レンズの導入を考えているユーザーなら、ぜひとも揃えることをオススメする。

M42ヘリコイド【7842】ならば、ピント合わせもスムース。適度なトルク感があり操作感は良好だ。コ・ボーグ36ED望遠レンズセットではオプション扱いとなるが、同レンズの導入を考えているユーザーなら、ぜひとも揃えることをオススメする。

撮影では、M42ヘリコイド【7842】の適度な重さのトルク感のおかげで、ピント合わせはスムース。AFレンズでも、AF合焦後MFでピントの微調整を行なうことがたびたびあるが、そのつもりだと思うと操作はさほどめんどうに感じない。撮影開始直後は、正確なピント合わせのために、ファインダー画面の拡大機能を使わなければならないかなと考えていたが、今回使用したオリンパスOM-D E-M5に限っていえば、通常画面でもピントの山は掴みやすく、そのためシャッターチャンスを見逃すようなことも少なかったように思える。さらに軽量であることもこのレンズの強み。カメラを被写体に向けたまま構え続けていてもさほど苦にならない。大口径のAF望遠レンズでは、こうはいかないだろう。

ピントは瞳に合わせているが、その周りの皮膚の質感がリアル。立体感も強く感じさせる。ピントの合った部分のシャープネスは高く、キレのある描写だ。

ピントは瞳に合わせているが、その周りの皮膚の質感がリアル。立体感も強く感じさせる。ピントの合った部分のシャープネスは高く、キレのある描写だ。

露出をギリギリまで切り詰め陰影を強調している。結果しわのひとつひとつをシャープに描き出している。こちらもリアル感ある描写だ。ガラス越しに撮影。

露出をギリギリまで切り詰め陰影を強調している。結果しわのひとつひとつをシャープに描き出している。こちらもリアル感ある描写だ。ガラス越しに撮影。

こちらもゴリラの肌の質感がよく再現され立体感のある描写である。背景のボケには非点収差がわずかだが現れているが、気にならないレベル。ガラス越しに撮影。

こちらもゴリラの肌の質感がよく再現され立体感のある描写である。背景のボケには非点収差がわずかだが現れているが、気にならないレベル。ガラス越しに撮影。

今回の撮影で筆者一番のお気に入りのカット。逆光で浮き立った冬毛をキレのよい描写で繊細に再現する。さらに太陽の光に照らされた瞳が印象的で、背景の玉ボケも美しい。

今回の撮影で筆者一番のお気に入りのカット。逆光で浮き立った冬毛をキレのよい描写で繊細に再現する。さらに太陽の光に照らされた瞳が印象的で、背景の玉ボケも美しい。

カメラ側の設定としては、まず絞り優先AEモードを選択。ISO感度は被写体の明るさに応じISO200とISO400を今回は使い分けている。WBはオート、記録フォーマットは撮影後の微調整を考えRAWとしている。手ブレ補正の焦点距離入力については、使用したカメラではコ・ボーグ36ED望遠レンズの220mmが選択できないため、もっとも近い210mmを選択している。もちろん、これでも十分効果はあるので、不安がる必要はない。

わずかにピントが甘くなってしまったものの、まあまあの解像感だ。フルサイズ判換算で440mm相当の画角となるため、ピントとブレには細心の注意が必要だ。

わずかにピントが甘くなってしまったものの、まあまあの解像感だ。フルサイズ判換算で440mm相当の画角となるため、ピントとブレには細心の注意が必要だ。

模様の面白さにレンズを向けてみた。合焦面の鋭いキレは文句のつけどこがない。さらに画像周辺部の色のにじみや解像感の低下なども皆無といえる。

模様の面白さにレンズを向けてみた。合焦面の鋭いキレは文句のつけどこがない。さらに画像周辺部の色のにじみや解像感の低下なども皆無といえる。

 

トラが一瞬立ち止まった瞬間をねらった。急いでピントを合わせたものだが、スムースに回転するヘリコイド機構のおかげで、上々の結果。ガラス越しに撮影。

トラが一瞬立ち止まった瞬間をねらった。急いでピントを合わせたものだが、スムースに回転するヘリコイド機構のおかげで、上々の結果。ガラス越しに撮影。

 

肝心の描写だが、その価格から考えると圧倒的と言えるものだ。ピントの合った部分のキレは鋭く、コントラスト(ヌケ)も上々。線の細い描写は立体感をよりいっそう際立たせる。フォーマットの小さいマイクロフォーサーズでの撮影ということもあるが、周辺減光や画面周辺部の結像のユルさといたものはほとんど感じられない。ほぼ真逆光となるとフレアが発生することがあるものの、それ以外なら満足できる描写だ。ボケ味もやや固めながらも作例を見るかぎり不自然な印象は皆無。開放絞りはF6.1と暗いレンズであることを除けば、コストパフォーマンスは驚くほど高い。

近距離からカメラを向けているため、シビアなピント合わせが必要となる条件だ。このようなシーンでは、慌てずにピントを合わせるようにしたい。

近距離からカメラを向けているため、シビアなピント合わせが必要となる条件だ。このようなシーンでは、慌てずにピントを合わせるようにしたい。

西陽を浴びてワオキツネザルの輪郭が浮かび上がる。軽量なので動物の動きに合わせて振り回すのも苦にならない。画面右下のフレアは、深いフードを用いれば解決するはずだ。

西陽を浴びてワオキツネザルの輪郭が浮かび上がる。軽量なので動物の動きに合わせて振り回すのも苦にならない。画面右下のフレアは、深いフードを用いれば解決するはずだ。

合焦面はエッジが立ち鋭いキレだ。コントラストも高く、大口径の高級望遠レンズに負けるとも劣らない描写が得られる。ボケ味もナチュラルな印象だ。

合焦面はエッジが立ち鋭いキレだ。コントラストも高く、大口径の高級望遠レンズに負けるとも劣らない描写が得られる。ボケ味もナチュラルな印象だ。

色乗りもよく描写に不足を感じさせないレンズである。画像を見るかぎり画面周辺部の像の乱れや減光などもまったく見受けられない。

色乗りもよく描写に不足を感じさせないレンズである。画像を見るかぎり画面周辺部の像の乱れや減光などもまったく見受けられない。

今回は、都合により3時間ほどしか動物園に滞在できなかったが、それでもいい結果が得られたと思う。時間があればもっと撮影したかったし、その高い描写ゆえ、ほかの被写体にも積極的に挑戦したいとさえ思わせてくれた。

近接撮影でもシャープネスの高さは変わらない。合焦面のディテール再現性は高く、パソコンの画面で拡大して見るのが楽しく思えるほどだ。

近接撮影でもシャープネスの高さは変わらない。合焦面のディテール再現性は高く、パソコンの画面で拡大して見るのが楽しく思えるほどだ。

 

今回でコ・ボーグ36ED望遠レンズのレビューは終了するが、このレンズで撮影したことは長く記憶に残ることだろう。スペックだけで見れば、AFは搭載されていないし、開放値だって決して明るくはない。しかし、被写体とじっくり対峙したい望遠撮影などでは、この上ないレンズとなること請け合いである。

 

■実画像ギャラリー

本記事の作例として紹介した写真の実画像をご覧になりたい方は、以下の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示には注意してください。

 

大浦 タケシ
著者について
■大浦タケシ(おおうらたけし)■宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマン、デザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般誌、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。写真展としては、「盆地〜もうひとつの記憶」(2006年3月コニカミノルタプラザ)、「Expression 〜生き物たちの肖像〜」(2013年4月エプサイト)などがある。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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