大浦タケシのアクセサリレビュー
ハクバ SAFETECH ドライクーリエ
Photo & Text :大浦 タケシ モデル:池田 静香
TOPIX
2015 年 10 月末に、ハクバ写真産業株式会社から発売された防水性・耐衝撃性・防犯性を追求した全天候型高性能カメラバッグ、「 セーフテック ドライクーリエ 」。一般的な防水バッグのような硬さや光沢感がない、自然な風合いの素材を使ったカメラバッグを、写真家・大浦タケシがレポートします。 by 編集部 |
■ 素材と製法にこだわった全天候型カメラバッグ
防塵・防滴性能を謳うデジタル一眼レフ/ミラーレス、交換レンズが増えてきている。特に防滴性( 防水性 )に関しては、気象条件に関わらず外で使うことの多いカメラ本体やレンズであるだけに当然といえば当然で、むしろこれまで少なかったことが不思議に思えるほどだ。一方、そうした機材を収納するカメラバッグについてはどうか。一部特殊な用途のものを除き防滴・防水が完全なカメラバッグはこれまでほとんどなかったと言わざるを得ない。自分の使っているカメラバッグは雨の中で平気だった、と言う読者もいるだろうが、それは雨に晒されたのが極短い時間だったり、バッグに当たる水の圧力もさほどではなかったからに他ならなない。また、カメラバッグのなかにはレインカバーが付属するものもあるが、使用中は機材とのアクセスが面倒なことも多く、さらに濡れたレインカバーの収納場所に困ることも少なくない。今回ご紹介するハクバ製の「 SAFETECH ドライクーリエ 」は高い防水性を持つ全天候型のカメラバッグだ。素材のマテリアルや製法などこだわり、従来のカメラバッグとは一線を画す製品だ。早速その詳細を紹介していきたい。
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■ 完全防水の秘密
SAFETECH ドライクーリエは防水・防滴が売りのカメラバッグだ。だが、使われている素材は通常の防水バッグのように表面にビニールコーティングが施されているわけではないので、ビニールの光沢感のない落ち着いた印象を感じさせるバッグだ。こうした風貌から、一見すると防水・防滴に対して心細く感じなくもない。ところが SAFETECH ドライクーリエに使われている生地は、織目の細かい「 600D TPU ラミネートポリエステル 」という浸透性のまったくないマテリアルなのだ。いわゆる完全防水タイプ。バッグ内部に水を浸み込ますようなことが一切ない。
実際、 SAFETECH ドライクーリエを幾度か雨のなかで使ってみたが、水が生地に浸透しないばかりか、撥水効果もあって、手ぬぐいなどで軽く拭くだけでバッグに付いた水気を完全に取り去ることができた。
SAFETECH ドライクーリエの防水・防滴性に一役買っているのが、一般的なカメラバッグにあるような縫製部分が無いことだ。バッグの底部など生地と生地の境目は、溶着製法と呼ばれる生地どうしを熱で溶かす方法で組み立てられている。溶着製法は、糸で縫い合わせた場合にくらべて極めて高い防水性能がある。例えば露で濡れた地面に SAFETECH ドライクーリエを置いても、気室自体にも湿気が入り込むようなことなどなく、中の機材をしっかりと守るのだ。溶着の強度自体も十二分なもので、とても信頼できるものだ。
■ 機材へのアクセスと収納性
バッグの中に入れた機材とアクセスする開口部は、その形状がとても特徴的だ。開口部には折り込み式の深いフラップがあり、このフラップが水のみならず細かなホコリもシャットアウトする。雨天のときなど傘をさしていてもバッグが濡れてしまうことがよくあるが、そんなときも安心だ。強烈な水圧で水をバッグに吹き付けないかぎり、水が浸入することはないだろう。それでいて開口間口は大きく、収納した機材へのアクセスも不便を感じることはない。フラップを閉じた際のロックには、DURAFLEX 社製のアルミバックルを採用。バックルの接触による機材の傷つきを防ぐスクラッチガードを備えているのは感心させられる部分だ。
バッグの両側面にはスマートフォンなどが入る大きさのポケットが備えられている。ジッパーには信頼性の高い YKK 製アクアガードファスナーを採用している。こちらもきっちりと閉じていれば内部に水やホコリが浸入することがない。なお、このポケット以外にバッグの外からアクセスできる収納部分はない。そのような部分を最小限に抑えることで水やホコリの浸入によるリスクを抑えているといえる。ちなみに SAFETECH ドライクーリエのカラーはブラックのみだ。シンプルなつくりで飾らないスタイルは、上質な大人のバッグのように思える。
SAFETECH ドライクーリエのカメラバッグとしての使い勝手をみてみよう。内装はクッション材も十分。機材を安心して収納できる。さらにオレンジ色の生地が使われていおり、黒っぽいものの多い機材やアクセサリーなどとの見切りは極めてよい。しかもバック外観は全て黒色のため、フラップを開いたとき差し色のような効果がありオシャレに思える。気になるのが収納力だろう。SAFETECH ドライクーリエは L サイズと M サイズをライナップするが、L サイズではパンケーキタイプのレンズを装着したミドルクラスのデジタル一眼レフ1台、70 – 200mm クラスの望遠ズーム1本、24 – 70mm もしくは 24 – 120mm クラスの標準ズーム1本、単焦点標準レンズ1本が収納できる。M サイズではミドルクラスのデジタル一眼レフ1台、スリムな標準ズームと望遠ズーム、単焦点標準レンズが1本ほど入るといったところだ。ミラーレスやレンジファインダーのカメラなら、より数多くの本体と交換レンズが収納できることはいうまでもない。さらに L サイズでは 13 インチクラスのノートパソコンが、M サイズは 9 インチクラスのタブレットが入るポケットが備えられているほか、それぞれバッテリーやメモリーカードなどを入れられるメッシュポケットも備えている。
SAFETECH ドライクーリエの開口部を開けたとき、折り込み式のフラップが大きく引き出され、見た目は上記した以上の機材を入れられるように思えるが、それを越えて無理に機材をバッグに詰め込むとフラップが完全に閉じず、水やホコリの浸入を抑えられなくなってしまうので要注意だ。また、SAFETECH ドライクーリエは、バッグの形状を保持するために生地が堅牢にできており、一般的な布製のカメラバッグよりもバッグ自体の柔軟度が低い。これも、バッグの内容量を超えた機材を入れられない原因のひとつだ。SAFETECH ドライクーリエのサイズを選ぶときは、ひとつ余裕のあるサイズを選ぼう。
幅広のショルダーベルトは取り付け位置の関係から、斜めにバッグを掛けたとき体に密着するように提げられる。10mm 厚のクッションフォームも付属しており、肩への負担を軽減する。大量の機材を入れるようなカメラバッグではないが、それでも肩への負担の少なさは快適な撮影を約束するものである。さらに取り外しタイプのクロスストラップも備えており、自転車での移動のときなどバッグを安定させることができる。防水性も含めポタリングカメラマンにもオススメのカメラバッグといえるだろう。ハンドルはしっかりとした芯材入りのもので、ちょっとしたところからバッグを取り出すときなどとても便利。L サイズのみとなるが、バッグ背面にはカート通し( カートのハンドルにバッグを差し込むためのベルト )も備えるなど実に至れり尽くせりである。
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■ 総評
2ヶ月ほど SAFETECH ドライクーリエをトライアルしてみたが、とにかく気象条件をまったく気にしなくてよいのは本モデルの魅力。雨だろうが雪だろうが、関係なく持ち出せる。むしろ、そのような条件こそいい写真が撮れるとばかりに、カメラバッグが外に出て写真を撮れ撮れと言っているような気がするほどである。前述しているとおり、バッグを置く場所にも気を払わなくてよいのも便利に思えたところ。一度ロケで雪の降るなかで使ったが、雪の上にバッグを置いても内部は終始乾燥状を保ち、水気が浸透することはまったくなかった。近年、異常気象とやらで突然の豪雨などが発生しやすくなっている。そのようなときに、写真を楽しむ者として自分よりも機材を守りたいと思う気持ちが強くはたらくはずだ。SAFETECH ドライクーリエはそんな写真愛好家の大切な機材を確実に守り続ける心強いカメラバッグである。
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■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
大浦 タケシ
モデル:池田 静香