夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第28回 夜景撮影を成功させるロケハンのポイント
TOPIX
今回の岩崎拓哉の夜景撮影講座はロケハンについて執筆いたしました。夜景撮影に置いては、昼間に前もってロケハンをし準備することの重要性に関して筆者は説いています。夜景撮影を円滑に行うためのチェックすべき10のポイントとは? by 編集部 |
今回は夜景撮影テクニックではなく、夜景撮影を成功させるためのロケハンのポイントを解説いたします。冬の夜景撮影シーズンは終わりを迎えますが、日没が遅くなるこれからの時期こそ、たっぷりとロケハンに時間をかけ、万全の体制で夜景撮影に挑みましょう。
写真1 事前にロケハンを済ませた展望台から撮影
写真2 明るいうちに展望台を視察
■私がロケハンを重視する理由
夜景撮影におけるロケハンとは明るい時間帯に撮影予定のスポットに訪問し、景観・眺望を予めチェックしたり、現地まで安全にたどり着けるかルートなどを確認することを意味します。自宅付近のスポットや、観光地として有名な展望施設などであればロケハンはさほど必要ではありませんが、特に旅先で車から降りて歩くような場所ほど、ロケハンが重要になってきます。私自身は夜景撮影を始めた頃からできるだけロケハンをしていますが、旅先でロケハンをせずいきなり現地に訪問して、撮影に失敗した苦い経験もあります。
写真3 ぶっつけ本番で現地に訪問すると・・・
■ロケハンで押さえる10のポイント
夜景撮影を成功させるためのロケハンは、ただ昼間に現地の景観をチェックするだけではない。安全面の確認や必要な機材の選定など、色々押さえておくポイントがある。夜景撮影を楽しむ人が増えているとは言え、昼間に比べてリスクが無いとは言えないので、特に遠くの場所へ出掛ける時ほどロケハンをして欲しい。
(1)現地に立入できるか確認
事前にインターネットや情報誌で情報収集を進めることになるが、実際に現地に着くと工事や施設の閉鎖で立入が規制されていることも少なくない。そもそも立入が禁止されている場所もある。夜いきなり訪問して立入出来ないことに気付くと、大幅に時間をロスしてしまい、モチベーションも下がってしまう。
写真4 取り壊し予定となっていた展望台
(2)訪問ルートの確認
初めて訪問する場所が公園や緑地の場合、駐車場や最寄り駅から数分~15分程度歩くことが多い。
いきなり夜に訪問しても迷子になるリスクがあるので、明るいうちに実際にルートを歩いて確認しておく。
バスを使って訪問するような場合は時刻表を控えておこう。
写真5 公園の案内図をチェック
(3)駐停車場所の確認
駐車場が整備されていなかったり、夜間は駐車場が閉鎖される撮影スポットも少なくない。近くで安全に車を停められそうな場所やコインパーキングを探しておく。
写真6 駐車場の利用時間を確認
(4)安全面の確認
いくら景観が素晴らしい場所であっても、日中に比べて夜間の訪問は安全上不安になる場所もある。明るいうちに現地を確認しておいて、もし明るい時間帯でも不安を感じたら、夜間の訪問は控えた方がいいだろう。
写真7 まさに上級者向けトレッキングコース?
(5)現地の混雑状況を予測
展望台によっては数人しか撮影するスペースが設けられていない場所も少なくない。混雑することが予想されたら、早めに現地に訪問して撮影場所を確保できる。
写真8 5人程度が限界の展望台
(6)景観の確認
実際にたどり着けたとしても、景色が見えなければ全く意味が無い。特に木々の成長で視界が狭くなるスポットが少なくない。ネット上の画像を参考にする時は、いつ頃撮影されたデータかチェックしておきたい。
写真9 極めて視界不良
(7)構図や機材の確認
三脚が使えるかどうか、どのような画角のレンズが適しているか。見渡せる景色や現地の環境を見ながら見定める。視界が狭いスポットであれば、広角レンズを減らすなど機材を選別することで、荷物を減らして移動時の負担を軽減できる。
写真10 望遠レンズだけで撮影が完結?
(8)訪問する順番の確認
一日に複数箇所訪問する場合、各撮影スポット間の距離や移動方法などを考慮する。予め移動にかかる時間や撮影スポットに入場できる時間などを把握しておくことで、効率良く撮影スポットを回れる。実際に景観を見て、トワイライトタイムをどこで撮影するかも決めておきたい。
写真11 トワイライトタイムは一番夜景の美しい場所から
(9)偶然、撮影スポットを見つけることがある
前もって撮影スポットを調査していても、実際に現地に着くともっと視界の良い場所が見つかることも。夜にいきなり訪問すると新しい場所を探すのにためらうが、日中であれば安全面やルートも余裕を持って確認できる。
写真12 偶然カーナビで見つけた展望広場からの景色
(10)ロケハン時は機材を最小限に
日中のロケハンであれば三脚を持ち歩く必要もなく、カメラもサブ機で十分だ。私はメインカメラがフルサイズ一眼レフの「EOS 6D」だが、ロケハンの時はミラーレス一眼「EOS M3」を首にぶら下げ、手ぶらで荷物を極力減らしている。
写真13 日中は機材を最小限にしてフットワークを軽くする
■今月のお勧め夜景スポット「梶原山公園」
静岡市内で最も知られた夜景スポットの1つ。標高300mの場所に整備された公園からは静岡市内の夜景が一望できる。ただし、公園までの道幅が狭いため心配な方は昼間に一度下見しておくと良いだろう。
写真14 静岡の街並みを一望する