夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第24回夜景写真のRAW現像・悪天候編
TOPIX
「 せっかく撮影に行ったのに悪天候だった・・・ 」こんな経験はございませんか?撮った写真をなんとかしたい!今回の”夜景写真のRAW現像 ”は ”悪天候編 ”です。悪天候日に撮影した写真をRAW現像でリカバリーして、よりベターな状態にする方法を解説いたします。ぜひご活用してください。。 by 編集部 |
前回まで3回に渡って工場夜景写真のRAW現像を解説してきましたが、今回は一般的な街の夜景をテーマに解説したいと思います。綺麗な夜景写真を撮るには気象条件がポイントになってきますが、やむを得ず悪天候日に撮影した写真をRAW現像でリカバリーして、少しでもベストな状態に近づけたいと思います。
■夜景撮影に適した気象条件(復習)
第2回の記事「夜景の基礎知識(夜景学)」で詳しく取り上げているが、改めて気象条件の復習をしよう。以下の4つのポイントを押さえ、基本的なカメラの知識があれば簡単に綺麗な夜景写真が撮れるはず。特に今の時期は日没時間が早いため、夏に比べて撮影にたっぷり時間をかけられるのも嬉しい。
(1)時期
夜景撮影は1年を通じて楽しめるが、気温・湿度・降水量が低い11月~2月頃がベストシーズン。
(2)時間(曜日)
暗くなってから時間が経つごとに光量が落ちていくので、深夜の撮影はなるべく避ける。都心は休日よりも平日の方が街明かりが多い。
(3)方角
トワイライトタイムを狙うなら太陽が沈む西向きが空にグラデーションがかかり、最も美しい。
(4)天気
晴れ>曇り>雨の順に夜景が綺麗に撮れる。雨上がりや台風一過も狙い目。
写真3 11月のベストシーズンに撮影した夜景
写真4 同じ11月の撮影でも悪天候になるケースも
■RAW現像のBefore/After
続いて、別の作例を用いてRAW現像のBefore/Afterをチェックしたい。作例に用いた写真は2015年11月に淡路島から撮影した明石海峡大橋のライトアップで、11月とは思えないほど空がどんよりしていて、なんとなく気分が暗くなるような写真だ。このような悪天候な写真であっても、RAW現像である程度リカバリーできる。
写真5 RAW現像前(Before)
写真6 RAW現像後(After)
■RAW現像テクニック
今回は全体の露出などのバランスを整えた後、空・橋桁・水面・地面などを段階フィルターと円形フィルターで部分的に補正した。作例のような写真は明暗差が激しいため、全体での調整は最低限にしておくと良いだろう。
写真7 (1)全体の調整
写真8 (2)段階フィルター・上
写真9 (3)段階フィルター・中
写真10 (4)段階フィルター・下
写真11 (5)円形フィルター・下
写真12 (6)円形フィルター・上
■今月のお勧め夜景スポット「摩耶山 掬星台」
RAW現像の作例で紹介した「六甲山 天覧台」に並ぶ神戸の有名スポット。日本三大夜景のブランドでも知られており、大阪~神戸方面の街明かりが視界一面に広がる。週末は展望台が混雑するので平日の訪問がおすすめ。撮影には丈夫な三脚と標準&望遠ズームレンズがあると良いだろう。真冬は路面が凍結することもあるので、訪問前に天気を必ずチェックしたい。
営業時間:終日開放(まやビューラインは要営業時間確認)
所在地:兵庫県神戸市灘区大石長峰山
アクセス:阪神高速「摩耶ランプ」から車で約40分
料金:無料(駐車場は1回500円)
URL:http://www.nightview.info/yakei/detail/maya/
写真13 大阪方面の1,000万ドル夜景