夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第21回夜景写真のRAW現像・工場編 (1)
Photo : Takuya Iwasaki
TOPIX
前回は夜景写真のRAW現像概要についてご説明いたしましたが、今回より実践編に入ります。テーマとして取り上げたのは人気の工場夜景です。工場夜景写真のRAW現像のテクニックについてお届けいたします。 by 編集部 |
前回はRAW現像の概要やソフトウェアの種類などを解説しましたが、今回から待ちに待ったパート2の実践編に入ります。今回は定番の工場夜景写真のRAW現像がテーマとなりますが、6月の梅雨入り前の悪天候下で撮影した作例を少しでも綺麗に見せるテクニックをお伝えします。
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■Photoshop(Camera RAW)の起動
実践編では全てPhotoshop CCのCamera RAWを使って進めていきます。RAWデータを開く際、Adobe BridgeだとRAWデータのサムネイルも表示されるため使い勝手が良いです。CanonのDPPなどからもRAWデータをPhotoshopに転送できますが、色味が変わってしまうことがあるため、基本的には利用していない。なお、Camera RAWやLightroomはソフトのバージョンが古くなると最新機種に対応できなくなるため、常に最新バージョンを使うと良いだろう。
写真3 Camera RAWの起動画面
■RAW現像のワークフロー
それでは具体的にRAW現像のワークフローを見ていきたい。今回の作例は段階フィルターなど部分的に補正するフィルターは使わず、画像全体を均一に補正していく。順番は必ずしも下記の通りである必要は無いが、悪天候下で撮影した夜景写真はまず霞みを取り除くところから始めると良いだろう。
【1】かすみの除去(+30)
【2】明瞭度(+40)
【3】露光量(+0.30)
【4】白レベル(+40)
【5】色かぶり補正(+45)
■カバー写真のRAW現像ワークフロー
同じ日に別の場所で撮影した工場夜景写真もRAW現像してみた。工場と距離があるためか、霞み具合がより目立ってしまうため、「かすみ除去」を強めにかけている。「明瞭度」を上げすぎると明暗差が目立ってしまうので、少しずつプラス補正して様子を見たい。下記に設定したパラメーターを記載しているので参考にして欲しい。
写真4 RAW現像前
写真5 RAW現像後
【1】かすみの除去(+50)
【2】明瞭度(+35)
【3】露光量(+0.40)
【4】白レベル(+30)
【5】色かぶり補正(+30)
■今月のお勧め夜景スポット「東和田(鹿島石油 東門前)」
鹿島石油の東門の向かいにある歩道が撮影スポット。白く輝いている塔が美しく、まるでテーマパークのお城のようにも見える。目の前にフェンスがあるため、フェンスを隠すには望遠レンズが必須。
また、あえて作例のように標準レンズの画角(作例は35mm)で光跡を入れるのも面白いだろう。撮影時は門の前には近寄らず、反対側の歩道など離れた場所から撮影するようにしたい。
写真6 光跡と製油プラント