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ブツ撮りカメラマン高崎勉のつぶやき
vol.5イメージカットの方が簡単?


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Photo : Tsutomu Takasaki

TOPIX

今回のコラムはカメラマンを生業としている方には「あるある」のネタかもしれません。「 イメージカットのついでに製品カットも撮ってよ。」について商品撮影を生業とするカメラマンである高崎氏の意見です。ご覧ください。 by 編集部

Index

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■メインコラム:イメージカットの方が簡単?

1)イメージカットとプロダクトカット

広告の商品写真には「 イメージカット 」と「 プロダクトカット 」があります。それぞれの詳細は僕が依然執筆した以下の記事をご覧ください。

■ 高崎勉のネットショップのための商品撮影講座
第2回 商品撮影の基礎 ~ イメージカットとは
第3回 プロダクトカットとは

「 イメージカット 」はその商品や企業の伝えたいイメージをビジュアルで表現するものなので、作品に強い個性や世界観があれば、成立しやすいでしょう。
仕事として写真を撮ったことがない方でも、仕事に発展する可能性があります。

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ですが、「商品」を正しく再現しなければならない「 プロダクトカット( 製品カット)」となると、事はそう容易ではありません。撮影の現場で時々あるのが「 イメージカットのついでに製品カットも撮ってよ。」というお話。

プロカメラマンにとっては、仕事が増えるわけですから有り難いお話なのですが、プロダクトカットを撮ったことがない方にとっては大変なことです。つまり、それだけ簡単に言われてしまう、、、言い換えれば、難しさが理解されにくく評価されづらい撮影ジャンルなのです。

プロダクトカットに求められることは形、色、素材感、文字情報などがしっかり伝わること。

これ、なかなか難しいことなんです。

大抵、プロのカメラマンにはそれぞれ得意なジャンルで活動の幅が決まっています。( 僕の場合は商品写真 )稀にオールラウンドプレイヤーだという方もいますが、全てのジャンルに深く入り込める人は、ごく少数です。商品写真は中でも面倒臭くて、先述の通り評価されにくいジャンルなので、避けたがるカメラマンも多いのです。

僕の個人的な考えとしては、いくらチャレンジ精神があっても「 プロダクトカット 」には安易に手を出すべきではないと思っています。センスだけで撮ることができないジャンルですから。
「 専門外ですので 」と言って断ることは決して恥ずかしいことではありません。
「 イメージカットの方が簡単 」というのは意外かもしれませんけど、本当のことだと僕は思います。

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2)僕が商品撮影をする理由とは

じゃあ、なぜ僕は面倒な商品撮影をメインでやっているかって?
「 人が苦手だから? 」
いえいえ、違います。僕の仕事ではカメラを構えて被写体と対峙しているよりも、お客様とお話ししている時間の方が圧倒的に長いです。被写体の商品が話してくれないのでお客様とコミュニケーションをとらないと仕事にならないんですね。
僕がこの仕事( 商品撮影 )を続ける理由は、仕事を通じて様々な業界のお客様とお話しできることが楽しいからなんです。
商品開発の裏話、アイデアが出たきっかけ、世の中に認めてもらうまでのご苦労、そういったことを伺っているとあっという間に時間が過ぎてゆきます。

あとは、もちろん、お金( 報酬 )だって悪くありません。
多くの方が苦手意識を持ってしまう難しさ、評価が上がりにくいジャンルとはいえ、スキルを上げて自分の価値を認めてもらえば、評価に見合う報酬をいただけるのは当然のこと。商品写真が CG に流れていく時期もありましたが、また実写に戻ってきている気がします。
空気感、シズル感といった CG では難しい情緒的なことが求められてきたのでしょう。それに応えられる技量を磨くことが楽しんで継続できれば、あなたにも可能性があります。

要は、お客様の商品に関心を持って、コミュニケーションをとる、難しい言葉、専門用語でごまかさず、しっかりお客様が困っていることに耳を傾け、ニーズに応える。、、、って、どんな職種にも共通することですね。

スタジオグラフィックスやAbox Photo Academyの講座では、「少ない機材でいかにそつなくプロダクトカットを撮るか」という授業をやっていますが、実際のプロの現場はライトや機材をたくさん使います。

スタジオグラフィックスやAbox Photo Academyの講座では、「少ない機材でいかにそつなくプロダクトカットを撮るか」という授業をやっていますが、実際のプロの現場はライトや機材をたくさん使います。

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■ サブコラム:ブツ撮り質問箱

高崎勉さんによる「 ブツ撮り質問箱 」も随時質問を受け付けています。商品撮影で ” 行き詰っていること ” ・” 悩んでいること ” などがございましたら下記のフォームから質問をお寄せください。

< ブツ撮り質問箱お問い合わせフォーム >
>> https://forms.gle/2eVEJLYassBC5fmRA <<

著者について
■ 高崎 勉 - Tsutomu Takasaki - 1967年富山市生まれ。1987年東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1999年高崎写真事務所設立。静物写真にこだわり続け、広告撮影と並行しアーティストとして作品制作にも意欲的に活動する。「毎日広告デザイン賞 発言広告の部 最高賞」はじめ数多くの受賞歴を持つとともに、幅広く雑誌・書籍等で写真作品が掲載されている。2017年に開講した Abox Photo Academy 塾長。商品撮影講座&アートフォト講座の講師を務める。