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山添太の模型撮影のススメ ~ 第5回 ライティング無しでもキレイな模型撮影(屋内編)


Photo & Text:山添太


TOPIX

2022 年より新連載が開始されました「 山添太の模型撮影のススメ 」の第5回目です。今回はライティングをしないで撮影するコツを解説しています。こちらは実践も容易ですのおすすめの撮影手法です。屋内で撮影を楽しむのはいかがでしょうか。 by 編集部

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こんにちは、山添 太です。さまざまな事情でおうち時間が増えている中でも、大手を振ってカメラ趣味を楽しめてしまう「模型撮影のススメ」。前回は1灯からできる模型撮影のライティングをお届けしましたが、今回は打って変わって、ライティングをせずに環境光だけでもキレイに見せるコツをレクチャー。スマートフォンのカメラでも有効なのでぜひ実戦してみてください。最後にはオススメ模型紹介もあるので、合わせてご覧ください。

Index

1.室内の環境光を観察し、整理しよう

蛍光灯や白熱灯、LED に分けられるだけでなく、それぞれに昼白色や温白色などといったいろんな色があって、室内の環境光はそれらが混在して構築されているものがほとんどです。色の違う光が混在すると、昨今の優秀なオートホワイトバランスでも正しいホワイトバランスにならない場合があるので、可能な限り統一させましょう。室内を広く照らしているメインライトだけを残し、メインライトと明らかに色が違う間接照明類を消していけばある程度統一は図れるでしょう。

写真1

写真2

写真のように明らかに真逆な色のライトが混在していると、被写体に映り込むハイライトの色がちぐはぐになって違和感が出てしまう

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2.スローシャッター対策をしよう

一見明るく見える室内も、撮影をするには不十分。しっかり絞って小さい被写体に寄る模型撮影となるとより顕著です。感度を上げてカバーするといっても限界はあるので、カメラを固定する三脚や雲台は用意してシャッタースピードを稼げるようにしておきましょう。構図もしっかり固定できるので、一石二鳥です。

写真3

つまみを回すだけで構図の微調整ができてしまうギア雲台は模型撮影に重宝

写真4

持ち歩く予定が無いなら、三脚はカーボン製ではなくアルミなどの金属製がオススメ。安定するし、何より安い

写真5

カメラを操作するとブレるので、コントローラがあると便利。なければセルフタイマーにして、ブレが治まるまでの時間差を作るのも効果的

3.整えた環境光のもとで撮影してみよう

第3回で軽く紹介したときよりも、もう一段回上の仕上がりを目指した撮影方法です。順序立ててレクチャーしていきましょう。

写真6

第3回では適正露出を取りやすいグレーを推奨したが、工夫次第でしっかり黒を際立たせたメリハリの効いた写真にすることができるので、今回は黒

写真7

黒バックを使う場合はホコリ等が目立つので、ブロアーなどでしっかり払っておこう。払いきれなかったら現像ソフトでしっかり処理をする

写真8

そのまま撮影してみると背景には天井からの光源が映り込み、被写体自体も少々暗め。ここから露出をカバーしていく

3ー2.上からの光を反射させて立ち上げる

写真9

光源は上にあるので、当然ながら光が当たりづらい下は暗くなりがち。レフ板で反射させて影を立ち上げれば印象がガラリと変わる。前髪で顔が暗くなりやすい女性フィギュアなどだとその効果をより強く実感できる

写真 10

レフ板で余計に暗く落ち込んでいたところが明るくなって、雰囲気の良い仕上がり

3ー3.背景に当たる光だけを遮って、黒を黒くする

写真 11

光をカットすれば黒背景は自ずと黒く写ってくれる。これが白だと光を足すか、逆に被写体への光を遮る必要があるが、調整がシビアになる

写真 12

黒背景がしっかり黒く映ることで被写体が浮き上がって見える仕上がりとなった。

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4.本日のオススメ模型「Ma.K.(マシーネンクリーガー)シリーズ」

写真 13

手前がウェーブ製、奥がハセガワ製。ハセガワ製のキットのほうが手に入れやすい


(C)Kow Yokoyama 2022

イラストレーター・横山宏が手掛けるオリジナルメカコンテンツ『 Ma.K. 』のプラキットです。『 Ma.K 』は、1982 年に「月 刊ホビージャパン 」の『 SF3Dオリジナル 』という連載から生まれたコンテンツ。模型のパーツをミキシングして作り出された今までにない SF メカは人気を博し、わずか3年半ほどの連載にも関わらず、連載中にプラキット化もされるという快挙を成し遂げました。

現在は『 Ma.K. 』というコンテンツ名で、「 月刊ホビージャパン 」にて 2010 年より連載中。ウェーブ、ハセガワ、海洋堂、マックスファクトリーといったメーカーからは関連商品が展開されており、本格的な模型商材はウェーブとハセガワからリリースされています。

一部を除き、茶紙のパッケージが目印となって模型店や販売コーナーにいっても非常にわかりやすいと思います。今年 40 周年を迎えた『 Ma.K 』。この機会に是非組み立ててみてください。接着剤やピンバイスが必要なキットもあるので、用意しておきましょう。

撮影物にも使った「ラプター」という機体。パワードスーツで、中には人が搭乗している。人型以外にも無人の二脚メカや反重力の乗り物などバリエーションは豊富だ。スケールは 1/20 で、シリーズにおけるメインスケールとなる

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5.次回予告

次回はライティングを使わない模型撮影の“屋外編”をお届けします。

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