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山添太の模型撮影のススメ ~ 第4回 1灯ライティングで変わる模型写真

Posted On 2022 6月 08
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Photo & Text:山添太


TOPIX

2022 年より新連載が開始されました「 山添太の模型撮影のススメ 」の第4回目です。今回は模型撮影における1灯ライティングを解説しています。経済的で収納スペースも少ないクリップオンストロボでのライティングです。レフやディフューザーも自宅にあるそうなもので代用可能ですので、休日にぜひお試しいただきたい内容です。 by 編集部

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こんにちは、山添 太です。さまざまな事情でおうち時間が増えている中でも、大手を振ってカメラ趣味を楽しめてしまう「模型撮影のススメ」。前回は模型撮影における環境についてレクチャーしました。今回は実践的な “ ライティング ” について。模型撮影における重要性について、最も手軽な1灯ライティングとともにお届けしていきます。最後にはオススメ模型紹介もあるので、ぜひご覧ください。

Index

1.立体物の模型はライティングで立体的に写すべし

物撮り用として、四方八方から光を当てることができる「撮影ボックス」というものが売られています。まんべんなく光が回った状態は被写体をキレイに写してくれますが、模型だと少し物足りません。模型は、メカメカしいモチーフを細部まで立体的に再現しています。そのディテールを強調するためには、それに応じたある程度の明暗差が必要になってきます。ライティングで立体感を生み出すことで、ディテールはより良いものに見せることができ、全体的なクオリティの引き上げにも繋がってくれます。

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2.たった1灯でも充分撮れる立体的な模型写真

撮影ボックスは必要ありません。むしろ、縮尺が違ったりして大小さまざまある模型にはあまり適していません。前回の内容を参考に背景を整理して、光源を一つだけ用意すれば、あとは創意工夫で充分のぞめます。光源はなんでも良いですが、環境光に左右されにくい「 瞬間光 」がオススメ。準備の手間が少なくお手軽ですし、ホワイトバランスも安定します。定常光の場合は環境光の排除が手間ですが、ライティングの具合を確認しやすいというメリットがあります。

2ー1.手持ちのクリップオンでお手軽ライティング

写真1

クリップオンストロボ+ラジオスレーブで遠隔ライティング。影をおこすためにレフ板を用意

すでにクリップオンストロボを持っているのなら、汎用品のラジオスレーブと組み合わせれば光源として遠隔操作が可能です。その際には技適マーク付きを選びましょう。レフ板は光を反射するなら、コピー用紙やアルミホイルや鏡などでも OK です。

2ー2.露出計があると便利

写真2

露出計は瞬間光を計れるものを用意すること

基本的にクリップオンストロボにはモデリングランプがないので、どこに光が当たっているのかすら撮ってみないとわかりません。デジタルなのでトライ & エラーを重ねても良いのですが、時間と電池ももったいないです。露出計があれば、発光量や背景の明るさなど事前に重要な情報が得られるので、特にクリップオンを使う場合は用意しておくと便利です。

3.1灯ライティングをやってみよう

より立体感を引き立てるために背景は黒をチョイス。被写体の写り方とともに背景の黒をしっかり黒く移すこともキモといえます。ライティングの正解は、被写体やその見せ方、撮影環境によっても変わります。ここで紹介するものはオーソドックスな方法としてご参考に、自分なりのライティングを見つけてみてください。

写真3

まずは地明かりで撮影してみる。自然な陰影で立体的には見えるものの、被写体の露出に合わせたことで背景も若干白っちゃけてしまい、コントラスト低めな写真となった。

写真4

ライティングしてみる。メインライトとしてクリップオンストロボを被写体の左斜め上に設置。若干下向きにして、光の芯を若干外すとともに、背景まで光が届きにくい角度に調整した。

写真5

背景を黒くする対策として背景と被写体との距離も確保している。

写真6

そのまま撮影するとこんな具合。わかりやすいくらいに陰影にメリハリの効いた写真になった。ここから調整。

写真7

被写体の向かって右側にレフ板を置き、影が強い部分を起こす。影が濃いので銀レフで強めに反射させてみる。

写真8

最初に比べて被写体の向かって右側にあった影が程よく薄くなった。顔に落ち込む影がシャープで臨場感のある雰囲気。

写真9

光の硬さが気になる場合は光源の前にディフューザーを用意しよう。トレーシングペーパーだと写真用でも比較的安価だしホワイトバランスもズレにくい。露出が少し暗くなるので適宜調整。

写真 10

コントラストが落ち着き程よく立体感も出た。ホワイトバランスも良好。特に今回は人がモチーフなのでこのくらいの仕上がりでしっくりくる。

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4.本日のオススメ模型「マックスファクトリー PLAMAX MF-49 minimum factory 谷口信輝」

写真 11

写真 12


(C) LEN[A-7] / Crypton Future Media, INC. www.piapro.net directed by コヤマシゲト

2021 年6月に「 PLAMAX 」シリーズでリリースされた、グッドスマイルレーシングのドライバー・谷口信輝のプラキット…に付属するカメラマン。このカメラマンも実在のカメラマンを 3D スキャンしたデータをもとにキット化されていて、服装や装備、身につけ方も非常にリアルなんです。1/20 スケールでサイズとしては大きすぎず小さすぎず。同シリーズにさまざまなモチーフのキットが展開されているので、組み合わせ遊びも非常に楽しくオススメです。

写真 13

ディテールに沿って分割されたユニークなパーツ構成

写真 14

パーツ同士がピシっと合わさって形になる様子はとても気持ちがいい

写真 15

接着剤必須なので用意しましょう。流し込みタイプがオススメ。

写真 16

レンズは2本用意されていて選択式。キヤノンに似ているので、やっぱり白レンズを持たせたくなる。

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4.次回予告

次回はライティングを使わない模型撮影の楽しみ方をお届けします。

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著者について
山添 太(やまぞえ ふとし) 編集者、ライター 1983年生まれ。出版社に編集者として在籍中にカメラの面白さに魅了され、カメラやレンズの収集、撮影のみならず、自家現像や自家プリントにもトライ。カメラ関連の特集や単行本も多数手がけた。現在はフリーランスとして活動中。カメラ関連を始め、趣味にまつわるジャンルで多岐にわたって編集・執筆を行っている。