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星景写真家・北山輝泰の日本星空名所案内 第19回 北陸編〜 04

Photo & Text:北山輝泰



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冬の足音が聞こえてくる季節ですが、今年は暖かいですね。冬に離島で星景撮影はいかがでしょうか?今回の日本全国の星空名所第 19 回目はフェリーで海を越え、佐渡島を取り上げました。ぜひ、ご覧ください。 by 編集部

<本記事は 2023 年 11 月現在の情報です。ご覧いただく時期により状況は記事内容と異なる場合がございます。>

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皆さん、こんにちは。星景写真家の北山です。いよいよ冬間近になってきましたが、時折くる寒さで体調崩されていませんか?寒さに負けない身体づくりをして、本格的な冬に備えたいものですね。さて、久しぶりの日本星空名所案内の更新になりますが、今回は新潟県の佐渡島を紹介したいと思います。

Index

1.佐渡島について

佐渡島は新潟県に属する日本最大の離島です。面積は 855 平方キロメートルで、東京 23 区のおよそ 1.5 倍の大きさにもなります。アルファベットの S の形ように見える島の形が特徴的ですが、佐渡島は「小さな日本」とも言われており、島の北と南とでは植生が大きく異なり 1,700 種類もの植物が自生しています。これは、温暖な気候をもたらす対馬海流の影響と言われています。また、佐渡島には多くの固有種が生息しており、特に「サドガエル」や「サドノウサギ」は名前が知られています。さらには、国の天然記念物であるトキを見られることでも有名です。

今回私が訪れたのは、ペルセウス座流星群が極大日を迎える 2023 年8月のお盆のころでした。事前の天気予報では、全国的に雲が広がりやすい天気で、少しでも晴れ間が望めそうな佐渡島への遠征を急遽決めました。事前の下調べで、ちょうどお盆の頃にひまわりが見頃を迎えるとのことで、ひまわりと星の撮影を候補にしつつ、ライフワークである灯台と星の撮影をするべく沢崎鼻灯台でも撮影を行いましたので、その模様をご紹介したいと思います。

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2.佐渡島のひまわり畑

佐渡島には観光できるひまわり畑がいくつかありますが、今回訪れたのは「小川のひまわり畑」です(写真1)。ここは、ひまわり畑のすぐ後ろが日本海という最高のロケーションで、水平線に沈む夕日も楽しむことができるからか、私がロケハンをしていた夕方の時間も多くの方が入れ替わり訪れて写真撮影を楽しんでいらっしゃいました(写真2)。

写真1

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE24-70mm F2.8GM
シャッター速度1/100秒 ISO感度100 絞り:f6.3 ホワイトバランス:晴天

写真2

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE24-70mm F2.8GM
シャッター速度1/100秒 ISO感度100 絞り:f6.3 ホワイトバランス:晴天

夕日が沈むとポツポツと星が現れてきたため、星空とひまわりの撮影も行いましたが、佐渡一周道路のすぐそばということもあり車の往来が激しく、車のヘッドライトの明かりを気にしながらの撮影になりました。通常の星景撮影ならば問題ありませんが、タイムラプスなどは光の点滅が激しくなるため不向きかもしれません。撮影した時間は日没後すぐということもあり、西の空に沈む春の大三角形をテーマに撮影を行いました(写真3)。ひまわりの高さは、胸の高さくらいのものから腰あたりのものと様々で、色々アングルを変えながら撮影することができます。今回、道路沿いの電線や電柱が写らないようにローアングルを主体に撮影を行いました(写真4)。

小川のひまわり畑へは車またはバイクで行くことになります。佐渡島の主要港である両津港からはおよそ30km50分と決して近くはありませんが、海をバックにひまわりを撮影できる場所は全国でもとても珍しいため、夏に佐渡に行かれる方はぜひ一度訪れてみてください。

写真3

カメラ: SONY α6700 レンズ: E11mm F1.8
シャッター速度10秒 ISO感度3200 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯(白色)

写真4

カメラ: SONY α6700 レンズ: E11mm F1.8
シャッター速度10秒 ISO感度6400 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯(白色)

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3.沢崎鼻灯台

沢崎鼻灯台は、佐渡島の南西、小木半島の突端に位置する白亜の灯台です。高さは地上 24.2m と高く、真下から見上げるとその迫力に圧倒されます。灯台へと降りていく道の途中には、江戸時代末期に異国船の来襲に備えて作られた砲台城の跡である「岡ノ平遺跡」がありますが、あまり手が入っていないのか私が行ったタイミングでは草が生い茂っていました。

沢崎鼻灯台周辺からは日本海の美しい景観を望むことができますが、特に北東方向へと続く小木海岸が美しく見応えがあります。中でも神子岩(みこいわ)と呼ばれる三角の形をした巨岩は、ピクライト玄武岩という岩質で、地中から出たマグマが急速に固まったことでこのような迫力ある形になったと言われています(写真5)。

写真5

カメラ: SONY ZV-E1 レンズ: NOKTON 21mm F1.4
シャッター速度:10秒 ISO感度6400 絞り:f2.0 ホワイトバランス:蛍光灯(白色)

沢崎鼻灯台はフレネルレンズの回転式灯台で、30秒間の間に2回白く光ります。星景写真で撮影しようとすると明かり部分は白く飛んでしまいますが、背後の空の暗さと写る星の量を見ると佐渡島の空の暗さを痛感します(写真6)。

写真6

カメラ: OM SYSTEM OM-1 レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
シャッター速度:15秒 ISO感度6400 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

今回はペルセウス座流星群の極大日前夜ということで、インターバル撮影で流れ星を狙って撮影を行いましたが、1時間ほどの撮影でもこれだけ多くの流星を撮影することができました(写真7)。沢崎鼻灯台には駐車場がないため、少し手前にある深浦駐車場に停めてから徒歩で行くか、短時間の滞在であれば灯台入り口を過ぎてすぐ左手にある車寄せに停めて行くのがよいでしょう。

写真7

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE12-24mm F2.8GM
シャッター速度15秒 ISO感度6400 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯(白色)
5枚を比較明合成

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4.佐渡島へのアクセス

佐渡島へは新潟市内にある新潟港または上越市にある直江津港からフェリーまたは高速船で行くことになります。フェリーでの所要時間は新潟港〜佐渡島両津港が2時間 30 分、直江津港から小木港が2時間 40 分とほぼ同じ時間となります。高速線は新潟港から両津港のみの就航となりますが、1時間 10 分ほどで着くため、時間優先の方や船酔いしたくないという方はこちらをおすすめします。
今回は直江津港から乗船したため、行き帰りは「こがね丸」というカーフェリーでしたが(写真8)、船内はとても広く、また自動販売機で飲み物や軽食も買うことができたため、手ぶらで乗船しても問題ない印象でした。船旅もより豪華に楽しみたいという方は、新潟港から出港している「ときわ丸」や「おけさ丸」に乗船されるのがよいでしょう。詳しくは佐渡汽船のホームページをご覧ください。

https://www.sadokisen.co.jp/

写真8

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5.まとめ

 北陸編vol.4、いかがでしたでしょうか?今回は新潟県の佐渡島をご紹介しました。今回は「小川のひまわり畑」と「沢崎鼻灯台」をピックアップしましたが、もちろんここ以外にも素敵な場所がたくさんあります。離島ならでの暗い空で見る満天の星は素晴らしいものがありますので、ぜひ一度撮影に訪れてみてくださいね。それでは次回の更新もお楽しみに!星景写真家の北山輝泰でした。

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