武石修のレンズレビュー
ソニー FE 24mm F2.8 G スナップ編
Photo : Osamu Takeishi
TOPIX
Index
1.コンパクトな”三兄弟”のひとつ
今回は 2021 年4月にソニーから発売された単焦点レンズ「 FE 24mm F2.8 G 」を紹介する。ソニーEマウント用の 35mm フルサイズ対応レンズとなっており、実勢価格は税込 79,200 円前後( 2022年4月現在、当社調べ )。
高性能だが大きく重いフルサイズ用レンズが幅をきかせる中、小型のレンズシリーズとして登場したのが「 FE 24mm F2.8 G 」「 FE 40mm F2.5 G 」「 FE 50mm F2.5 G 」の3本。いずれもフィルター径が 49mm ととてもコンパクトに仕上がっており、”軽量単焦点三兄弟”といった立ち位置になっている。
FE 24mm F2.8 G は明るさこそ F2.8 に押さえられているが、作例を見てわかるとおり高い解像力で画面隅々まで破綻の無い描写となっている。
2.充実の機能 質感も高い
最大径 × 全長は 68 × 45mm。重量はたった 162g ほどしかない。α7 III に装着していると、レンズが付いているのを忘れるほどの重量感だ。それでいてレンズ外装と同梱フードは金属(アルミニウム)製で質感も高いものとなっている。
小型のレンズだが絞りリングを搭載しており、リング操作に慣れている人には使いやすい。またフォーカスホールドボタンもあって各種機能を割り当てられる。面白いところでは絞りリングのクリックストップを無効にできるので、動画撮影にも使いやすくなっている。
AF のレスポンスも良く、キビキビとピントが合う。ちなみに最短撮影距離は 0.24m だが、MF にすると 0.18m まで寄れる。広角マクロ的な撮影も行いやすい。
なお本レンズは樽型の歪曲収差が大きいので、カメラ内または現像での歪曲収差補正は欠かせない。
3.作品による評価
α7 IIIに装着して撮影した作品を見ていく。写真は RAW で記録し、Adobe Lightroom Classic で現像している。Lightroom のプロファイル補正は歪曲収差補正を ON にし、周辺減光補正は OFF にした。
ご注意
写真の 実画像 の文字をクリックすると、カメラで撮影した実画像が別タブで表示されます。ファイルサイズが大きいのでモバイル端末での表示にご注意ください。文中のサムネイル画像をクリックすると、リサイズされた画像がポップアップ表示されます。
絞り開放から実にシャープな描写だった。タワーの細かい構造まで克明に写っている。明るさを欲張っていないレンズのひとつのメリットだろう。
F8まで絞ってパンフォーカスにした。とにかくパキッとした描写で気持ちがいい。手前のオブジェの発色も良く安心して使用できる。
24mmは景色の広がりを表現するのにも好適。持ち運びが苦にならないので、歩きながらのスナップ撮影にはちょうどいい。
階調表現も問題無く、影の中にも物体のディテールが見てとれる。
RAWデータでは目立つ樽型の歪曲があったが、プロファイル補正を適用すると解消される。基本的には歪曲補正が前提のレンズと言えそうだ。
広角レンズらしい構図にも挑戦してみたくなる。軽量なので、ここぞと言うときにサッと構えられるのはうれしい。
絞り開放で前ボケを確認してみた。超広角ということもあり、とろけるようなぼけとまではいかないが、主題を目立たせる役割を十分果たしている。
MF にして最短撮影距離の 0.18m で撮影した。ピント位置も十分シャープ。ぼけもきれいなので、積極的に最短撮影も楽しみたい。
太陽が画面に入る状態で逆光シーンをテストした。厳しい条件ではあるが、目立ったゴーストやフレアは見られない。コントラストもしっかりしていてクリーンだ。
ガラス越しの食品サンプルを被写体に、玉ボケを作ってみた。レンズの口径が小さいので、画面の周辺でもぼけが変な形にならない。この辺りの使い勝手も良さそうだ。
4.総評
24mm といえば標準ズームレンズの広角端になって久しいが、やはりズームレンズは大きく重い。その点本レンズは非常に軽快で、スナップ撮影や旅行などでも大活躍しそうだ。
昨今はズームレンズも高性能だが、こうした小型単焦点レンズを数本持ち歩いてレンズ交換を楽しむのもまた趣がある。今後、同じシリーズで 10mm 台の超広角や中望遠レンズ、そしてスナップに欠かせない 35mm などアイテムが増えるとさらに面白くなると思う。
(以上)
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
武石修