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夜景写真家・岩崎拓哉の三脚レビュー
ベルボン・カーボン三脚 UTC-63
超小型三脚で夜景を撮る<前編・製品紹介>

Velbon UTC-63 レビュー記事

Photo & Text:岩崎拓哉

TOPIX

革新的で使いやすい三脚関連製品を提供するベルボン社から、剛性・軽量性・収納性の三拍子そろったコンパクトカーボン三脚、ウルトレックシリーズ「 UTC-63 」が登場。カメラを微動だにさせない撮影が必須の夜景写真において、UTC-63 の持つ性能がどう役立つのか、本誌で夜景撮影講座を連載する夜景写真家・岩崎拓哉が前編・後編の2回に分けて詳しくご紹介します。 by 編集部

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これまで全30回に渡って「夜景撮影講座」の連載記事を執筆させて頂きましたが、今回は夜景撮影との相性抜群の超小型三脚「Velbon UTC-63」をレビューいたします。これまでの製品には無いコンパクトさが魅力的なカーボン三脚を作例と合わせ、前編と後編に分けて詳しく解説いたします。

■ カーボン三脚を仕事帰りに持ち歩き、手軽に夜景が撮れる時代に

写真1 ミラーレス一眼とUTC-63で長時間露光撮影

横浜みなとみらいの夜景

[ ボディ:CANON EOS M3 / レンズ:EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM / 焦点距離:35mm(56mm相当) / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 ]
ミラーレス一眼とUTC-63をビジネスバッグに入れて、仕事帰りにふらっと横浜みなとみらいを散策した。カーボン三脚だけあって安定感もあり、当日は少々風が強かったがブレの心配も全く無く、長時間露光で綺麗な夜景写真が撮れた。

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■ 三脚はカメラ・レンズと並ぶ三種の神器

14年前から夜景専門の写真家として活動している著者にとって、三脚は活動当初から必要不可欠な機材であった。夜景撮影セミナーのプレゼンでも「カメラ・レンズ・三脚」を三種の神器と明記し、高感度+手持ちでそれなりに夜景写真が撮れる今の時代においても、三脚の必要性やメリットを力説している。三脚は数千円で購入できるファミリー向け三脚から10万円を超えるようなプロ用の大型三脚まで幅広いラインナップがあるが、長時間露光が前提となる夜景撮影においては三脚の性能が非常に重要となってくる。著者が夜景撮影を始めた頃は重量感ある中型のアルミ三脚を使っていたが、8年ほど前にカーボン三脚「Velbon N740」を購入して以来、軽量で剛性感が高く、振動減衰性なども優れたカーボン三脚の虜になってしまった。今では夜景撮影用に所有する三脚は全てカーボン製に統一しているほどだ。

写真2 Velbon UTC-63

Velbon UTC-63

今回、夜景撮影に使用した三脚は「Velbon UTC-63」。全高1550mm(EV含む)、脚径30mm、推奨積載質量4kgと中型クラスのカーボン三脚とほぼ同等のスペックを持ちながら、縮長は360mm、質量は1520gと小型・軽量化を実現している。これまでの小型三脚「UTシリーズ」は軽量金属マグネシウムを採用してきたが、カーボンが採用されたことで剛性感が高まり、より安心して夜景撮影に挑めるだろう。

■「UTC-63」導入の経緯

「UTC-63」の紹介に入る前に、夜景写真家 岩崎が現在愛用している三脚と「UTC-63」導入の経緯について話したい。当初は「Velbon N740 + PH-275(後にQRA-635L Ⅱも)」の組み合わせだけで撮影していたが、都心など電車移動での撮影が増え、続いて「Velbon E645M + PHD-65Q」の組み合わせを導入した。ただ、比較的コンパクトなE645Mであっても、ビジネスバッグやリュックには収納できず、他の仕事(打ち合わせなど)も兼ねた電車移動だと三脚の置き場所に困ったり、コインロッカーに預けることも多かった。時には三脚が使えない展望施設に入場する時、三脚を使うつもりがないのに注意されることも。また、会社勤めの方なら三脚ケースを持って出社するだけで、仕事帰りに夜景撮影に出掛けるのがバレバレで、周りの目が気になってしまう人も実は少なくない。そんな中、「UTC-63」の製品発表を知り、これまでの移動・撮影スタイルの常識を変えてくれるのでは?と大きな期待を込め、早々に導入を決意した。

写真3 夜景写真家 岩崎が愛用する三脚(UTC-63導入前)

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左から「Velbon N740 + PH-275 + QRA-635L Ⅱ」、「Velbon E645M + PHD-65Q」。どちらの三脚もカーボン製で夜景撮影において絶大な信頼感がある。

(1)車移動:Velbon N740 + PH-275 + QRA-635L Ⅱ

自家用車での国内旅行や大口径の望遠ズームレンズを使った撮影シーンにおいて欠かせない組み合わせ。全高は雲台との組み合わせで1890mm、推奨積載質量は7kgとハイスペックで、あらゆる夜景撮影の現場において真価を発揮する。

(2)バイク移動 OR 電車・飛行機移動:Velbon E645M + PHD-65Q

N740に比べて一回りコンパクトなカーボン三脚。質量が2kg程度と非常に軽く、推奨積載質量も4kgあるため、よほど強風など悪条件で無い限りは、ブレが発生することも滅多にない。ただし、小型のスーツケースにはそのまま収納できないため、特に飛行機移動時は雲台やハンドルなどを分解して収納していた。

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■ UTC-63の紹介

それでは「UTC-63」の特徴を紹介していきたい。今回は夜景写真家の視点で魅力的に感じるポイントを6点ピックアップした。

写真4 (1)全長360mmのコンパクトデザイン

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UTC-63には専用のキャリングケースが付属。三脚がコンパクトなので、カバンにそのまま入れていいが、ケースに入れて持ち歩いてもさほど嵩張らない。

夜景撮影は場所によっては最寄り駅や駐車場から長時間歩くことがあり、重量を我慢して安定感を求めるか、機材のコンパクトさを優先するか常に悩まされる。全長360mmの超コンパクトサイズなら、どのようなシーンでも手軽に持ち運べるのが嬉しい。

写真5 (2)全高1550mmと余裕のある高さ&約4.3倍の高伸縮比

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最上部のパイプ径が30mmもあるため、組み立てた状態ではとても超小型三脚とは思えないほど貫禄が出ている。

360mmのコンパクトさを実現するため、脚は5段になっている。全高はエレベータを延ばした状態で1550mm(エレベータ無しで1360mm)あり、よほどの大型フェンスの前では無い限り、一般的な夜景撮影において不自由することはまずない。

写真6 (3)剛性感ある安心のカーボン素材と三段開脚

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一番太い最上段の脚は硬さがあり、変形が少ない「ハイモジュラスカーボン」が採用されている。

カーボンの採用によって剛性感がアップし、マグネシウム製の「UT-63」に比べてねじれ強度が13%アップしている。重量は100g軽くなり、推奨積載質量は1kgアップしているので、いかにカーボン素材が優れているかを実感できる。脚の開脚角度はノブを調整することで、1本ずつ三段階に切り替えられるため、足場が悪い夜景撮影スポットにおいて力を発揮する。

写真7 (4)上級モデルの自由雲台「QHD-S6Q」を搭載

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「PHD-65Q」や「PHD-66Q」などの雲台とクイックシュー(QRA-35L)が共通のため、他の三脚との互換性も高い。そのため、著者は全てクイックシューを統一している。

UTC-63に標準装備されており、3本の脚を反転させてたたんだときに、脚の間に収まるように設計されていて、三脚の小型化に大きく貢献している。2Wayの水準器も装備されており、特に夜間は地平線が見えないため、水平が合わせづらいのでとても重宝する。フルサイズ一眼レフを載せても微調整もスムーズで、構図を決めやすい。

写真8 (5)フルサイズ一眼レフも安心の推奨積載質量4kg

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EOS 6D:755g + EF24-70mm F4L IS USM:600gを合わせると重量は約1355g。フルサイズ一眼レフを載せても安定感がある。

いくら剛性感の高いカーボン三脚でも小型のタイプになると、推奨積載質量が2.5kg~3kgの製品が多くなる。一眼レフ+標準レンズぐらいなら問題無いが、大口径の望遠レンズを使った夜景撮影は少々不安に感じる。現行の「N645M Ⅱ」など中型カーボン三脚でも推奨積載質量が同じ4kgなので、いかに4kgという数値が大きいかを現行製品と比較することで実感できる。

写真9 (6)雲台は取り外しが自由

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好みの3Way雲台などに取り替えて撮影できるのも嬉しい。
写真は軽量で扱いやすい「PHD-55Q」。

コンパクトさを実現するために、専用の自由雲台が標準装備されているが、撮影シーンによっては3Wayの雲台が使いたくなる時も。雲台は自由に取り外し(雲台取付ネジはUNC1/4の細ネジ)ができるため、他の雲台に交換して自分なりのスタイルで撮影を楽しむのも良いだろう。

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■ UTC-63ならではの収納術

これまで全高360mmのコンパクトさを強調してきたが、実際に360mmという全高はどれほど小型化されていて、便利なものなのか。「UTC-63」の性能がフルに活かせそうな3つのシーンにおいて、収納性を検証してみた。

写真10 (1)ビジネスバックにUTC-63を収納

ビジネスバッグにUTC-63を収納

ビジネスバッグに楽々入るため、通勤や出張が終わった後の夜景撮影にも便利。一昔前ならビジネスバッグにカーボン三脚が収納できるとは誰も想像出来なかったはず。

「UTC-63」のコンパクトさの最大のメリットはビジネスバッグに収納できる点だろう。満員電車の通勤では荷物を少しでも減らしたいし、周りを気にせずにカーボン三脚を持ち歩きたいビジネスマンにはまさにベストパートナー。カメラやレンズも一緒に収納するならインナーソフトボックスがあると便利。

写真11 (2)カメラ用リュックにUTC-63を収納

カメラ用リュックにUTC-63を収納

仕切りを変えられるタイプで高さに余裕のあるリュックなら、UTC-63がそのまま収納できてしまう。

一般的なカメラ用リュックは外に三脚を取り付けられるが、「UTC-63」ならリュックによっては、内部に収納でき、見た目もスッキリする。

写真12 (3)バイクのシート下にUTC-63を収納

バイクのシート下にUTC-63を収納

三脚をシート下にそのまま収納すると振動などで傷が付く可能性があるので、
専用ケースに入れて収納すると安心(車種はHONDA PCX)。

都心などで駐車場が少ない場所では小回りの利くバイクが活躍するが、一般的な三脚は長さがあるため、シート下や専用のケースに収納できないことも多い。試しにUTC-63を愛車のシート下に入れてみたが、余裕で収まった。夜景に限らず、撮影旅をメインとした長距離ツーリングにも力を発揮しそうだ。

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岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「ゼロから学ぶ工場夜景写真術(アスペクト社)」。
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