夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第16回:夜景撮影に適した測光モードを知る
TOPIX
夜景写真なのに写真が明るすぎたことはありませんか。今回の「 夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座 」は測光モードについて解説いたします。異なる測光モードによる絵の変化をぜひ夜景撮影時にご参照ください。 by 編集部 |
夜景撮影において測光モードの設定を意識することはありませんが、測光モードの種類によって同じ露出でも写真の明るさが大きく異なってきます。第16回では測光による作例の違いから適切な測光モードを検証したいと思います。
■測光とは
測光とはカメラが被写体の明るさを判断し、露出を決める機能のことを言う。結論から言えばカメラ購入時の標準設定( 評価測光など )のままで問題無いことがほとんどだが、測光の設定によって写真の明るさが大きく変わってくるので、各設定の意味を理解しておいて損はない。
写真2 スポット測光で撮影した作例

写真1と測光方式以外全て同じ設定で撮影。露出補正も0でありながら、全体的に色が飛んで露出オーバーになってしまった。これはスポット測光の測光範囲が極めて狭いため、工事で消灯している主塔の部分で露出を測ってしまったためだ。ただし、画面全体を見れば露出オーバーだが、主塔だけを見れば露出は適正と言える。
■測光の種類
測光の種類はカメラメーカーや機種によって異なり、設定によって露出を測る部分の面積が異なってくる。
(1)マルチパターン測光・ESP測光
NikonやOLYMPUSのカメラで設定できる。画面全体から明るい部分と暗い部分のバランスを取って測光する。
(2)評価測光
CANONのカメラで設定できる。撮影シーンに応じて、カメラが露出を自動的に補正する。画面全体から測光するため、バランスの取れた測光ができる。
(3)部分測光
逆光などで良く使われる設定。スポット測光よりは少し広範囲に測光する。
(4)スポット測光
被写体の極めて狭い範囲で測光。キヤノンのEOSシリーズの場合はファインダー中央部の約1.4%で測光する。
(5)中央部重点平均測光
ファインダーの中央部分に重点を置きながら、画面全体を平均的に測光する。
■測光種類別の作例( パターン1 )
それでは具体的に測光別の作例を見ていきたい。パターン1では画面中心に明るい被写体がある例で撮影してみた。撮影モードは絞り優先(F8)で露出補正はいずれも+1に固定。
(1)評価測光
(2)部分測光
(3)スポット測光
(4)中央部重点平均測光
■測光種類別の作例( パターン2 )
続いて、画面中心に暗い被写体( 建物 )が写るパターンを見てみたい。撮影モードは絞り優先(F9)で露出補正は0。パターン1とは逆に部分測光・スポット測光に設定すると背景の色が大きく飛んでしまった。
(1)評価測光
(2)部分測光
(3)スポット測光
(4)中央部重点平均測光
■総論
今回、4つの測光設定別に画像を比較したが、結論から言えばカメラ購入時の設定( 評価測光など )で問題無いが、測光を変えることで露出の変化が見られた。撮影前に不安な方はマニュアルを参照し、標準設定になっていることを確認しよう。夜景写真は基本的に明暗差の大きい被写体がほとんどなので、全体のバランスを取る測光モード以外を使う機会はほとんど無いだろう。
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