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薮田織也の <上級編>
写真レタッチ講座2 ~
人物写真のハイライト部を上手に補修する方法

TOPIX

人物写真のレタッチをするうえで、一番気を使うのが顔の補修です。その中でも、自然光やライティングによってできた最も明るい部分、「 ハイライト 」が色飛び( 飽和 )している場合は、本来は修正のしようがありません。今回は、飽和してしまったハイライト部の補修方法を紹介します。 by 編集部

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■ 人物写真のハイライト部を上手に補修する方法

●対応 Photoshop 

 

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■ Before → After

飽和状態に近い、または飽和しているハイライト部は基本的に補修できないが、ここでは [ パッチツール ] の裏技を使ってハイライト部を自然な感じに補修する。
「 背景 」レイヤーを複製してから、コピーレイヤー上で [ パッチツール ] を使ってハイライト部を補修し、[ 消しゴムツール ] の [ 不透明度 ] を下げて部分的に消すことで自然な感じに補修する。



■ レタッチ概要

写真において、強い自然光やライトが当たって白く飛んでしまっていることを「 白飛び 」と呼びます。白飛びの中でも RGB の各色のいずれかの値が最大値の 255 になっている場合を色飽和と呼びます。基本的に色飽和がある写真は良い写真とは呼べません。さらに、RGB すべての色が飽和していると、いかに Photoshop といえども補正はできません。たとえ色飽和とまではいかなくても、サンプル写真のように強いハイライトがある場合は、まともな手段では補正は無理と言えるでしょう。

そこでここでは、[ パッチツール ] の裏技的テクニックを使って強いハイライト部を自然な感じに補正してみましょう。[ パッチツール ] は、汚れやキズなどを簡単に補修してくれる大変便利なツールですが、さすがに白飛びに近いハイライト部の補修まで完璧にはこなせません。しかし、ここで紹介する方法を使うと、強いハイライト部も自然な感じに補正できるのです。

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■ Step1 サンプル画像を開き、「 背景 」レイヤーをコピーする

Step 1.サンプル画像を開き、「 背景 」レイヤーをコピーする 1.サンプル画像を開き、 [ レイヤー ] パネルで「 背景 」レイヤーを選択して、Ctrl + J キーを押し、「 背景 」レイヤーを複製する 2.[ ツールボックス ] の a をクリックして、[ クイックマスクモード ] する。続いて、[ ブラシツール ]( b )をクリックし、 [ 画像領域 ] で、右クリック( c )してブラシサイズを「 70px 」にする

Step 1.サンプル画像を開き、「 背景 」レイヤーをコピーする
1.サンプル画像を開き、 [ レイヤー ] パネルで「 背景 」レイヤーを選択して、Ctrl + J キーを押し、「 背景 」レイヤーを複製する 2.[ ツールボックス ] の a をクリックして、[ クイックマスクモード ] する。続いて、[ ブラシツール ]( b )をクリックし、 [ 画像領域 ] で、右クリック( c )してブラシサイズを「 70px 」にする
Note  最初に背景レイヤーをコピーしておくのは、この後のステップで操作する [ パッチツール ] の補修結果とブレンドするため
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■ Step2 抑えたいハイライトがある部分を塗りつぶして、選択範囲に変える

Step 2.抑えたいハイライトがある部分を塗りつぶして、選択範囲に変える 3.[ クイックマスクモード ] で、抑えたいハイライトがある部分( a )をブラシで塗りつぶしたら、[ 画像描画モード ] ( b )をクリックして[ クイックマスクモード ] を抜ける 4.[ 選択範囲 ] メニューから [ 選択範囲を反転 ] を選択する

Step 2.抑えたいハイライトがある部分を塗りつぶして、選択範囲に変える
3.[ クイックマスクモード ] で、抑えたいハイライトがある部分( a )をブラシで塗りつぶしたら、[ 画像描画モード ] ( b )をクリックして[ クイックマスクモード ] を抜ける 4.[ 選択範囲 ] メニューから [ 選択範囲を反転 ] を選択する
Attention [ 画像描画モード ] に戻ると、[ クイックマスクモード ] で塗りつぶした部分がマスクされ、それ以外が選択された状態になる( d )。よって、手順4で [ 選択範囲の反転 ] を実行する
Note 本来 [ パッチツール ] は [ なげなわツール ] と同じ [ 選択範囲 ] ツールを持っている。そのメリットとデメリットも [ なげなわツール ] と同じで、簡単な操作で範囲選択ができるが、選択ミスをすると初めからやり直さなければならない。また、[ 選択範囲 ] の境界が比較的に明確なため、補修後のエッジが立ちすぎるきらいがある。ここでは人物の肌を補修するためにエッジは滑らかにしたいので、[ クイックマスクモード ] でぼかしのあるブラシを使って範囲を選択している
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■ Step3 [ 選択範囲 ] を [ パッチツール ] で補修する

Step 3 [ 選択範囲 ] を [ パッチツール ] で補修する 5.[ パッチツール ] を使う前に、手順1で複製したレイヤーが選択されていることを確認する 6.[ ツールボックス ] の b にあるアイコンを長押しして、[ パッチツール ]( c ) を選択 7.[ パッチツール ] のポインタを[ 選択範囲 ] の中に置き、マウスのボタンを押したまま、d の位置までドラッグしてマウスボタンを離す

Step 3 [ 選択範囲 ] を [ パッチツール ] で補修する
5.[ パッチツール ] を使う前に、手順1で複製したレイヤーが選択されていることを確認する 6.[ ツールボックス ] の b にあるアイコンを長押しして、[ パッチツール ]( c ) を選択 7.[ パッチツール ] のポインタを[ 選択範囲 ] の中に置き、マウスのボタンを押したまま、d の位置までドラッグしてマウスボタンを離す
Attention [ 選択範囲 ] が [ パッチツール ] で指定したソース位置の画像で補修されるが、このサンプルのように、ハイライト部分は上手く補修できないことが多い
Note [ パッチツール ] と [ スポット修復ブラシツール ] は、補修したい箇所にハイライトまたはシャドウに近いピクセル群があると、補修対象のピクセルにハイライトまたはシャドウの色が流れ込んでしまうような補修結果になることがある。補修対象のピクセルがハイライト、またはシャドウの場合は予測できない結果になることもある
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■ Step4 [ 消しゴムツール ] の [ 不透明度 ] を下げて、補修した部分を部分的に消す

Step 1 [ 消しゴムツール ] の [ 不透明度 ] を下げて、補修した部分を部分的に消す 8.[ ツールボックス ] で [ 消しゴムツール ]( a )を選択し、[ オプションバー ] で [ ブラシサイズ ]( b )を「100」、[ 不透明度 ]( c )を「30%」に設定する 9.[ パッチツール ] で補修した部分( d )を何回かに分けて [ 消しゴムツール ] で消していく

Step 1 [ 消しゴムツール ] の [ 不透明度 ] を下げて、補修した部分を部分的に消す
8.[ ツールボックス ] で [ 消しゴムツール ]( a )を選択し、[ オプションバー ] で [ ブラシサイズ ]( b )を「100」、[ 不透明度 ]( c )を「30%」に設定する 9.[ パッチツール ] で補修した部分( d )を何回かに分けて [ 消しゴムツール ] で消していく
Attention [ 消しゴムツール ] の [ 不透明度 ] を「30%」にしているため、一度の操作で完全に消えることはないので、下のレイヤーの画像に馴染むように何回かに分けて消していく
Note [ パッチツール ] で補修した箇所を、[ 不透明度 ] を指定した [ 消しゴムツール ] で部分的に消していくことで、[ パッチツール ] の不自然な補修結果を弱め、「 背景 」レイヤーの画像が復元されていく。レイヤーの [ 不透明度 ] を下げることでも似たような結果になるが、[ 消しゴムツール ] であれば不自然ではない箇所を残しながら「 背景 」レイヤーとブレンドできる
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■ Step5 以下のハイライト部を同じ手順で補正する

Step 5 以下のハイライト部を同じ手順で補正する

Step 5 以下のハイライト部を同じ手順で補正する
Attention 元のハイライトが少しだけ復元する状態で補修するとベスト。額部分は範囲が大きいので、一度の操作ではなく、分割して補修するとよい。また、髪の毛や眉毛は避けて補修すること
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■ レタッチ解説

写真におけるハイライト部はとても重要なものです。強すぎると邪魔になり、まったくなくなってしまうと艶のない写真になってしまいます。特に人物の顔のハイライトはその傾向が強いと思ってください。ここでのポイントは、中間調の肌の色合いから滑らかに明るくなる程度のハイライトを残しながら補正することにあります。

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著者について
■ 薮田 織也( Oliya T. Yabuta )人物・光景写真家 ■  1961 年生まれ。テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て、1995 年独立、人物写真家に。2000 年よりモデルプロダクションの経営に参画し、モデル初心者へのポージング指導をしながらポージングの研究を始める。2008 年「モテ写: キレイに見せるポージング」を共著で上梓。2003年か らStudioGraphics on the Web の創設メンバーとして活動。近著に「 美しいポートレートを撮るためのポージングの教科書 」( MdN 刊 )、監修書籍に「 ちょっとしたコツで10倍かわいく見える モテ[写]の教科書。」(MdN 刊)がある。公益社団法人 日本広告写真家協会 正会員