ブロンカラーでつくる
プロフェッショナル最新ライティング
第3回 ストリップライトを利用して
バースデイカード表面の凹凸を描写する
TOPIX
プロフォトグラファーからの信頼を集め、全世界で愛用されているプロフェッショナル用撮影照明機材ブロンカラー。その日本における総代理店である「 アガイ商事 」の創立 25 周年を記念して、Mook 「 ブロンカラーでつくる プロフェッショナル最新ライティング 」が玄光社から発売されました。本連載は、その Mook の中から一部を抜粋して、プロのテクニックを掲載していきます。第3回目は、ブロンカラー・ストリップライト 60 を使ったブツ撮り実践テクニックを紹介します。表面に凹凸のあるバースデイカードなどをより立体的に撮る方法を、広告写真の第一人者、黒川 隆広氏が綴ります。2月25日からCP+2017がいよいよ開幕いたします。アガイ商事では 「 G-15 」にて皆様をお待ちしております! |
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■ カード撮影のライティングとは
カードの撮影と言うと、多くの人は複写をイメージすることだろう。両サイドからライトを均等にあてて、画面全体が均一な露出になるようにライティングするのが、写真学校で教える複写の方法だ。複写台といったものがあるので、一般にもそう考えられている場合が多い。しかし厳密には、均一である必要はない。均一風に見える程度にわずかに明るさの差がある方が、立体感を出すことができる。
カード表面の凹凸を表現するには、複写の場合とは少し違ったライティングをする必要がある。一方向からの光にするのが基本だ。補助光にレフ板を入れると、レフに近い部分が明るくなって、ライトに近い方が暗くなってしまうから、レフ板は使いたくない。
通常の撮影をするように、ライトを被写体に向けた状態では、紙の素材感や表面の凹凸を表現することができない。どんなに光をディフューズしたり、距離を変えても難しい。
■ ディフューズライトを使って撮影すると
アクリルを使ってストロボ光をディフューズさせている。影はやわらかくてきれいだが、カード表面の立体感は思ったように表現できない。
■ バウンスライトを使って撮影すると
そこでライトを壁面に向け、バウンスライトにしてみる。紙の凹凸が表現され、影もやわらかくなった。このとき、ストロボはスタンドを伸ばさない高さ 70cm くらいの低い位置で、水平に発光させている。
ライトを被写体に向けずに、離れた壁に向けて発光させ、その反射光で撮る。アンブレラを使う方法もあるが、ここでは白い壁を利用し、大きな窓からの光をイメージしたバウンスライトだ。ディフューズライトよりも影がやわらかく、表面の◇が見えるようになってきた。紙の質感も出てきた。
■ ストリップライトを使って完成
もっとも凹凸をはっきりと描写できるのが、ストリップライトを用いたライティングだ。ブロンカラーのストリップライト 60 は、大きなスリット状の光をつくり出せる長方形のボックスライト。
ここでは被写体から 1m ほど離し、カードに向けるのではなく、台の外の床面に向けてストリップライトを発光させている。ストリップライトの縁から漏れる光だけを使うことで、立体感が強調され、カードの素材感も表現することができる。また光源が横長なので、カード中央のダイヤの上部2辺に、ハイライトが立つようにカバーできている。
ストリップライトを被写体に向けずに、床面に向けた状態で、やや離れた位置で発光させる。そうすることで、表面の凹凸をくっきりと描写することができた。その場合もライトをカードに向けないように気をつけよう。このとき、発光面を起こしてカードに光があたってしまうと、紙の素材感が弱まってしまう。
■ 制作・著作 ■
玄光社
スタジオグラフィックス
黒川 隆広