前回、液晶モニタの中では、TFT型が品質的に優れているという話をしました。TFT型は当初高価だったものの、デジカメや携帯電話などさまざまな製品の液晶モニタにTFT型が使われるようになると、量産効果で価格も大幅に下落し、現在では液晶モニタの主流になっています。
しかし液晶モニタは、チューブ式のCRTに比べると電極スイッチのオン・オフの応答性が悪いというデメリットがあります。これは、品質に優れているTFT型でも、CRTに比べるとレスポンスが悪いといわざるを得ないものでした。電極スイッチのオン・オフの応答性が悪いということは、動きの激しい被写体を動画で表示させるときにやや難あり、ということになります。デジカメでは、ファインダの代わりとして液晶モニタが使われることが多くなりつつありましたから、これは大きな問題となりました。このため、TFT型の中でも少しずつ改良が進められていったのでした。 では今回は、このTFT型液晶モニタのさらなる進化についてと、液晶モニタで用いられている光源の種類と見やすさついて紹介していくことにしましょう。
アモルファスシリコンには、結晶状態の部分も存在しますが、電子配列に規則性はありません。そのため、電子の移動速度は単結晶シリコンの500分の1程度にまで落ちてしまうこともありました。アモルファスシリコンを採用した初期のころのTFT型モニタの中には、充分に改良されたSTN型のモニタに比べても電極スイッチのオン・オフの応答性が悪く、動きの激しい動画を表示させると残像がほんのり残ってしまうものもあったほどです。
性能も、単結晶シリコンとアモルファスシリコンの中間的なもので、電子の移動速度は、単結晶シリコンの3分の1から5分の1程度の落ち込みですみます。つまり、アモルファスシリコンの100〜300倍も高速であるわけです。
ポリシリコン液晶には、ひとつ大きな問題がありました。ポリシリコンを生成するには、1000度以上に加熱する必要があったからです。なぜ、これが問題かというと、液晶モニタで薄膜トランジスタを生成するのは、ガラス面に行うからです。つまり、1000度以上に加熱にも耐えられるような強化ガラスを用いなければならなくなります。ところが、1000度以上に耐えられる強化ガラスというのはとても高価なのです。つまり、製造コストがとても高くなってしまうのです。
そこで、アモルファスシリコンと同程度、つまり500度くらいで薄膜トランジスタを生成できるポリシリコンが開発されました。これを通常のポリシリコンと区別するために「低温ポリシリコン」と呼んでいるのです。この低温ポリシリコンの登場によって、激しい動きの動画にも追随できる性能の高いTFT型液晶モニタが、比較低価格で製造できるようになったのです。現在、TFT型液晶モニタの多くが、この低温ポリシリコンを採用するようになっています。多くの場合、アモルファスシリコンを採用したTFT型液晶モニタとの差別化を図るために「低温ポリシリコンTFT」と呼ぶことが多いようです。デジカメや携帯電話を選ぶときには、注意してスペックを読むと良いでしょう。
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