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〜女性の撮り方テクニック講座〜
萩原和幸の ポートレート撮影術 〜女性の撮り方テクニック講座〜
纐纈みさき
グラビア撮影テクニック編 第1回 ハウススタジオでの水着撮影(1) レンズワーク
2011/08/17
 
纐纈みさき 萩原和幸のグラビア写真集&ポートレート撮影術 〜女性の撮り方テクニック講座〜

ポートレート撮影術の『テクニック編』 ハギワラ的ハウススタジオ撮影のポイント教えます!

「ハウススタジオで撮影してみたいけど、なかなか機会がない」「どのように撮影に挑んだらいいか分からない・躊躇している」という方々の為に、私がいつの撮影でも気持ちに置いているポイントを紹介したい。(写真・文: 萩原和幸)


  ハギワラ的 レンズ選択の極意 このページのトップへ  

ハウススタジオは封鎖された空間。そこに水着のモデルさんと対峙するのだから、緊張しないわけが無い。
私でも初めて撮影するモデルさんには緊張する。
そして、その緊張はモデルさんにも伝わっていると知っていて欲しい。
お互いに緊張した状態では、なかなかスムーズな撮影というわけにはいかないだろう。

そこで、ハウススタジオで撮影する時は、出来るだけシンプルなことをポイントにするといい。
そのポイントは「レンズワーク」と「光」の二つ。
私はこの二つの展開を考えながら撮影に挑むようにしている。

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Canon EOS-1Ds Mark3 +SIGMA 50mmF1.4 EX DG HSM
絞りF4.0 1/60秒 ISO100 WB:マニュアル RAW ストロボ使用

では、「レンズワーク」とは何か。
それは意図に合わせたレンズのチョイスをするということだ。
ご存知の通り、レンズの画角は、大きく分けて“広角”“標準”“望遠”とある。
ポートレートではとりわけ望遠よりも“中望遠”の出番が多いだろう。
それと画角ではないがマクロレンズを使うことが多い。
これらのレンズを、なぜその場面でチョイスしたのか、を考えながら撮影することだ。
それが慣れてくると、『こういう画が欲しかったから○○mm』となる。

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  Canon EOS7D+Tokina AT-X165 PRO DX 16〜50mmF2.8(IF)
絞りF3.5 1/125秒 ISO200 WB:マニュアル RAW

前編の今回は、レンズワークについて、お話ししていきたい。
写りの違いをじっくりと見ていこう。分かっているつもりでも、本番になると必ず迷うもの。
ここでキチンとおさえておこう。

広角レンズ

広角はハウススタジオの撮影では余分なものが入り込んでしまうので、十分に気をつけたい。
私が使用する場面は、背景の面白みを出したい時や、ダイナミックさを付けたい時などだ。
広角レンズには特有の歪みがある。それを十分に活かすことがカギだ。

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シンメトリーっぽく縦横のラインで囲まれた空間を使い、作品全体の構成を楽しんだ。モデルにはそれを意識したポーズをお願いしている。
Canon EOS7D+Tokina AT-X165 PRO DX 16〜50mmF2.8(IF)
絞りF3.5 1/60秒 ISO320  WB:マニュアル RAW


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  寄りの迫力を出すことを意識した。こちらに迫ってくる感が強調させるのが広角レンズでの撮影の効果だ。ただし、どちらもモデルを画角の隅に入れないこと。特に頭は絶対に避けること。歪んでしまい、せっかくのモデルが台無しになるからだ。
Canon EOS7D+Tokina AT-X165 PRO DX 16〜50mmF2.8(IF)
絞りF3.5 1/125秒 ISO200 WB:マニュアル RAW

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  背景を出来るだけ見せつつ、モデルの大胆なポーズをとらえる為に広角レンズを使用。モデルの曲線ラインと、階段や壁の直線との融合を目指す。奥行きの強調にも効果的だ。
Canon EOS7D+Tokina AT-X165 PRO DX 16〜50mmF2.8(IF)
絞りF3.5 1/320秒 ISO200 WB:マニュアル RAW

標準レンズ

標準とよばれる画角…
ズームレンズで写真を始めた方には馴染みが無いかもしれないが、人の視角に近い50mmを以前は“標準レンズ”と呼んでおり、これよりも画角が広いレンズを広角、狭いレンズを望遠とした。
50mmは画がとても素直で大人しく、昔から扱いが難しいといわれている。
しかし、モデルとのリアルな距離感を出すことが出来るので、実は私の絶対的なエース的画角となっている。

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フレームに全身を収めながら、自然な距離感を50mmに求めた。ハウススタジオでの撮影では、全身カットには50mmが使いやすい。
Canon EOS-1Ds Mark3 +SIGMA 50mmF1.4 EX DG HSM
絞りF2.5 1/160秒 ISO200  WB:マニュアル RAW


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見たままの空気をそのまま切り取るのが得意な50mm。なにも誇張せず、モデルの素材をそのまま作品に取込むことができる。
Canon EOS-1Ds Mark3 +SIGMA 50mmF1.4 EX DG HSM
絞りF2.0 1/400秒 ISO200  WB:マニュアル RAW


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少しずつモデルとの距離を詰める。寄りのカットを撮る為には、50mmでは自分の足でモデルに近づかなければ、ということ。モデルとの距離は、見たままの距離。モデルとカメラマンの間がそのまま表れるレンズでもある。
Canon EOS-1Ds Mark3 +SIGMA 50mmF1.4 EX DG HSM
絞りF1.6 1/50秒 ISO100  WB:マニュアル RAW


中望遠レンズ

85mm前後の画角のレンズは、通称「ポートレートレンズ」と呼ばれる。
理由は、モデルと適度な距離を保てることと、見た目の大きさでファインダーに収めることができるからだ。初対面のモデルとは一定の距離が必要だし、また85mm単焦点レンズなら明るいものでF1.2、エントリーレンズでもF1.8ほどの大口径レンズが各社でラインナップされているので、屋外に比べ光が乏しいシーンが多いスタジオでは心強いなど、まさにうってつけのレンズなのだ。
ただ、やはり“中望遠”、被写界深度が浅くなるので、ピントはかなりシビアになるし、ボケも大きくなるので、使用にかなりの気遣いが必要となる。

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85mmはモデルとの距離を程よく保ちながら撮影できる。モデルとあまり離れてしまっては、会話もしづらい。適度な距離で撮影できることが85mmの魅力の一つ。
Canon EOS-1Ds Mark3 +SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM
絞りF1.8 1/80秒 ISO100  WB:マニュアル RAW  ストロボ使用


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単焦点レンズなら、大口径のものがほとんど。大きなボケ味を期待できる。
Canon EOS-1Ds Mark3 +SIGMA 50mmF1.4 EX DG HSM
絞りF4.0 1/60秒 ISO200  WB:マニュアル RAW


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見た目そのものの大きさでフレーミングできるので、撮りたいと思った状態のモデルをそのまま撮影できる。
Canon EOS-1Ds Mark3 +SIGMA 50mmF1.4 EX DG HSM
絞りF1.8 1/60秒 ISO200  WB:マニュアル RAW

望遠レンズ

ハウススタジオではなかなか出番は無い望遠レンズだが、スタジオで引きがある(奥行きのある場面をそう呼ぶ)スタジオなら使用は可能。ただ、やはり大きなレンズが多いので、三脚は絶対だろう。
私は余程の意図が無い限り無理には使わない。大きなレンズは、慣れたモデル・タレントさんでも威圧感を感じさせてしまうからだ。

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望遠レンズらしい引き寄せ感を実感できる。このレンズはとてもコンパクトなのだが、ブレを考えると、三脚を使って撮影したい。
Canon EOS7D+Tokina AT-X535 PRO DX 50〜135mmF2.8(IF)
絞りF3.2 1/250秒 ISO200  WB:マニュアル RAW

マクロレンズ

マクロレンズは花や虫を撮影する為だけにあるわけではない。歪みもなく、実はポートレート向きなのだ。確実なピント合わせなど、ゆっくり落ち着いて撮影するスタイルになるが、むしろモデルとのコミュニケーションを構築するのに一役買ってくれる。マクロレンズで寄りの撮影が出来た時は、モデルとのコミュニケーションが上手くいったご褒美だ。

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マクロレンズでも焦点距離は様々。ポートレートでは100mm前後が使いやすい。ワーキングディスタンスを確保しやすいからだ。マクロレンズではピント合わせは慎重になる。瞳にピシッと合うように心掛けたい。私はライブビューを利用している。ゆっくり撮影できるその時間は、実は至福の時なのだ。
Canon EOS7D+Tokina AT-X M100 PRO D 100mmF2.8 MACRO
絞りF2.8 1/200秒 ISO200  WB:マニュアル RAW

焦点距離によって写り方も撮影の仕方も違う。テンポも違ってくる。それぞれのスタンスでの撮影になるので、今自分が撮影したいと考えている画に合ったレンズチョイスをしよう。先にファインダーを覗き、モデルが目の前に立つ前にレンズを決めておけば、気持ちに余裕が生まれる。あれこれ画角に迷うと、焦りも繋がるし、会話も途絶え途絶えに…。またハウススタジオという狭い空間にいるわけで、その点を考えないと、せっかくのセットや空間も活かしきれなくなる。

モデルにドキドキせずに対峙できるようにもなるためにも、焦点距離の違いを頭に入れ、撮影前にスタジオ内で“ここで座ってもらい、○○mm”と、早く決めておけるようになりたい。

上達への近道だ!

 

写真や本文の無断転用・転載はかたくお断り致します。


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モデル プロフィール
纐纈みさき (こうけつみさき)
NHK「中学生日記」を皮切りに、TVに多数出演。現在、中京TV「栄TA☆RO」にレギュラー出演中。
また、雑誌では多くのグラビアに登場、今月1stDVD『みい』が竹書房より発売中。
オフィシャルブログ『笑ってみいとも。

著者プロフィール

次回予告
テクニック編 第2回 ハウススタジオでの撮影
もう一つのポイント、『光』。ハウススタジオは自然光の他、ストロボ光、タングステン光など、複数の光源を使うことが出来るのも魅力。光源によってどれくらい雰囲気が違ってくるものなのか。作例とともに紹介します!

Staff & Special Thanks
スタリング 米丸友子
ヘア&メイク 森下奈央子
   

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初出:2011/08/17
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