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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第34回 夕景・夜景撮影に役立つフィルター活用術

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Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

今月の「 岩崎拓哉の夜景撮影講座 」は夜景撮影時に表現の幅を広げるレンズフィルターについて解説いたします。イルミネーションをキラキラに撮るクロスフィルターの他にも夜景撮影において使用できるレンズフィルターが多くあります。今月はそんなレンズフィルターを作例を交え解説いたします。 by 編集部

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猛暑日が続いていた夏も終わり、夜はずいぶんと過ごしやすくなりました。9月は台風シーズンとなるため、夜景撮影のオンシーズンまでもう少し時間がかかりそうです。今月は夕景・夜景撮影に適したフィルターを紹介します。夜景=クロスフィルターを想像する人が多いと思いますが、NDフィルターやトワイライトフィルターなど夕景・夜景と相性の良いフィルターがたくさんあります。

写真1 定番のイルミネーション+クロスフィルター

クロスフィルター

夜景撮影でフィルターと言えば真っ先に浮かぶのがイルミネーションで定番のクロスフィルター。クロスフィルターには光条の線の本数ごとに種類が分かれ、主に4本・6本・8本の3種類ある。

写真2 夕景・夜景撮影に役立つ様々なレンズフィルター

レンズフィルター一式

レンズフィルターは様々な種類があり、撮影する被写体や時間帯によって使い分けることで個性的な作品が撮れる。

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■【 夕景 】トワイライトフィルター

夕景~トワイライトタイムにかけての撮影におすすめのフィルター。ケンコー製品では「色彩強調フィルター」のカテゴリに入っており、特定の色を強調させる効果がある。「レッド」と「ブル-」の2色あり、夕景の赤みを強めるなら「レッド」、トワイライトタイムに空の青みを強めるなら「ブルー」がおすすめ。

写真3 フィルター未装着

トワイライトフィルター(使用前)

ホワイトバランスは赤みが強い「日陰」に設定して撮影したが、雲が多いためか赤みが弱く感じる。

写真4 トワイライトフィルター「レッド」を装着

トワイライトフィルター(レッド)

全体的に赤みが強まり、夕焼け空らしい情景的な印象に仕上がる。

写真5 トワイライトフィルター「ブルー」を装着

トワイライトフィルター(ブルー)

全体的に紫がかった色味に仕上がる。「ブルー」は夕焼けより日没後の薄明時間(トワイライトタイム)の方が適してそうだ。

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■【 夕景 】ハーフNDフィルター

本格的に夕景を撮影するなら欠かせないフィルター。市街地などを見下ろして夕景を撮影すると空と市街地の明暗差が目立ってしまい、空と市街地の両方を適正露出で写すのは困難。ダイナミックレンジの広いフルサイズ機でも綺麗に撮るのは難しいほど。

写真6 KANI 角形ハーフフィルター SOFT GND0.9 を装着

ハーフNDフィルター装着

ハーフNDフィルターはフィルターの装着位置を調整することで
暗くする部分を調整できる。

写真7 ハーフNDフィルター装着前

ハーフNDフィルター(使用前)

日没後の夕焼け空を撮影。空は綺麗に写ったが街との明暗差が大きく、
街が完全に沈んでいる。

写真8 ハーフNDフィルター装着後

ハーフNDフィルター(使用後)

空の部分にハーフNDフィルターの暗い部分を当てると
明暗差が目立たなくなり、肉眼で見る自然な印象に仕上がる。

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■【 夜景 】NDフィルター

NDフィルターは花火撮影に使うイメージがあるが、光跡を画面の端から端まで入れたり、多重露光で撮影する時に便利。明るさによってND4・ND8・ND1000など様々な種類があるが、一般的な夜景撮影用途にはND4とND8があれば十分だろう。

写真9 NDフィルター無し(30秒露光)

NDフィルター未使用事例

マニュアルモードで30秒開けて撮影。船の光跡は画面の端から端まで入れるには30秒では足りないことが多い。

写真10 NDフィルター有り(約128秒露光・ND4)

NDフィルター使用事例

ケンコーのPRO ND4を使用して撮影。NDフィルターを使わないと確実に色飛びしていた。

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ND4 58mm フィルター

Kenko NDフィルター PRO ND4 58mm

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■【 夜景 】ソフトフィルター

光をにじませることで写真全体の雰囲気をソフトに仕上げる。長時間露光でピントをずらしてもソフトな仕上がりにできるが、フィルターを使った方が自然に写る。

写真11 ソフトフィルター未装着

ソフトフィルター(使用前)

横浜の万国橋から撮影。ビルの明かりが多い平日を狙って訪問。

写真12 ソフトフィルター(弱タイプ)

ソフトフィルター(弱)

ケンコー・フォギー(A) Nの弱タイプを使用。全体的にふんわりとしたソフトな印象に。

写真13 ソフトフィルター(強)

ソフトフィルター(強)

ケンコー・フォギー(A) Nの強タイプは夜景には効果が強すぎるか。

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Kenko レンズフィルター フォギーA 58mm ソフト描写用

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■【 夜景 】光害防止フィルター

天体撮影用のフィルターとして親しまれており、ナトリウムランプや水銀灯の光色などの不要な光を除去する時に活用される。街明かりがメインの作品で使うケースは少ないが、作例ではどんよりとした曇り空がスッキリと見え、白飛びも軽減された。

写真14 光害防止フィルター未装着

光害防止フィルター(使用前)

当日は天候が曇りで、全体的に重たい雰囲気の写真になってしまった。
こうなると通常はRAW現像でリカバリすることになる。

写真15 光害防止フィルター装着

光害防止フィルター(使用後)

KANIのPrevent Light Pollution Filterを装着。
レインボーブリッジの白飛びが軽減され、空もスッキリ見える。

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■今月のお勧め夜景スポット「豊洲ぐるり公園」

2017年7月に開園した話題の公園。公園一帯からはレインボーブリッジを中心に東京タワーや晴海方面まで大パノラマが広がる。西向きに視界が広がっており、美しい夕景も期待できる。付近の富士見橋や有明北緑道公園と合わせて訪れるのも良いだろう。

豊洲ぐるり公園

開放時間:終日開放

所在地:東京都江東区豊洲6丁目

アクセス:ゆりかもめ「市場前駅」約10分 ※駐車場あり(有料)

料金:無料

URL:豊洲ぐるり公園(夜景INFO)

写真16 東京タワー・晴海埠頭方面の夜景

豊洲ぐるり公園から東京タワー方面

街明かりとやや距離はあるが、東京タワーや晴海埠頭が見える。東京タワーはビルの後ろに隠れているため、歩きながら東京タワーが見える位置まで移動したい。

著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。