夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第10回:水辺夜景の撮り方
TOPIX
記録的な猛暑も一段落し、そろそろ秋の気配を感じる頃となりました。今回の夜景写真家・岩崎拓哉の夜景写真講座は夏から秋にお勧めの 『 水辺夜景 』にスポットをあてて解説いたします。 by 編集部 |
今年の夏も例年並みの猛暑でした。夜は少しずつ涼しくなってきたものの、まだまだ暑い日が続いてます。そんな夏におすすめしたい夜景が河川敷や海岸沿いの水辺夜景。涼しさを感じる水辺で綺麗な夜景写真を撮るコツを解説したいと思います。
■水辺撮影の基本
夜景撮影の中でも水辺の撮影は人気があるジャンルで、東京都心であれば隅田川沿いやお台場、豊洲エリアに撮影スポットが点在しています。水面にビルや橋の光を反射させたり、トワイライトタイムに空の明かりを写し込むことで作品の幅を広げることもできます。水辺での撮影にあたり、最低限以下のポイントを押さえておきましょう。
写真2 セッティング例
(1)三脚でカメラを固定
夜景撮影における基本中の基本。水辺での撮影は長秒時露光が欠かせないため、なるべく安定感ある三脚を用意したい。
(2)撮影モードは「マニュアル露出」または「シャッター速度優先」
水辺での撮影は撮影者がシャッター速度を合わせる必要があるので、できればマニュアル露出(M)をおすすめしたい。
(3)ISO感度を低めに設定
ISO感度が高いとシャッター速度が短くなってしまうため、ISO100~200ぐらいが良いだろう。
(4)足場の安定した場所を選ぶ
水辺の付近は足場がデッキになっていて、振動の伝わりやすい場所が多い。デッキを避けるか、人通りの少ないタイミングを狙って撮影したい。
■シャッター速度による絵の変化
水辺の夜景撮影で最も重要なポイントがシャッター速度の設定。最近は手持ちで夜景を撮影するシーンも増えていますが、水面をキレイに写す場合は長秒時露光が必須。ここではシャッター速度を1段ずつ変更していき、水面の写り方の違いを比較しました。最後には手持ち撮影の作例も紹介しています。今回の作例では10秒または20秒がベストショットと言えそうです。撮影場所として観覧車を撮影出来るポイントを選んでいますが、観覧車はタイミングによってライトアップの色が変化するので、シャッター速度を長く開けすぎるとライトアップの色が混じってしまうので注意が必要です。
写真3 シャッター速度:1.3秒
写真4 シャッター速度:2.5秒
写真5 シャッター速度:5秒
写真6 シャッター速度:10秒
写真7 シャッター速度:20秒
写真8 シャッター速度:1/10秒(手持ち撮影)
■プラスアルファ:光跡を入れる
ここまで水辺撮影の基本を解説しましたが、最後にワンポイントとして光跡を取り入れてみましょう。水辺の代表的な光跡と言えば、屋形船やクルーズ船と言えますが、電車の光も良いアクセントになります。左側が光量が少なくて寂しい感じですが、水面にも電車の光が反射して色鮮やかな写真となりました。
ちなみに以下の2点の写真は光跡の違いだけでなく、東京スカイツリーのライティング(基本的に23時まで点灯)にも変化が見られます。下の光跡が無い写真は東京スカイツリーのライティングが消灯しており、寂しい写真になってしまいました。建物やランドマークを写す場合は、点灯時間も意識してみてください。
写真9 光跡あり
写真10 光跡なし
■今月のお勧め夜景スポット「隅田川テラス」
隅田川の河川敷に整備された広大なテラス。永代橋・清洲橋・勝どき橋などのライトアップを観賞でき、場所によっては架橋のライトアップと東京スカイツリーのライティングを一度に眺められる。夜景撮影にもおすすめ。
写真11 清洲橋と東京スカイツリー