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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第10回:水辺夜景の撮り方

Posted On 2015 8月 28
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TOPIX

記録的な猛暑も一段落し、そろそろ秋の気配を感じる頃となりました。今回の夜景写真家・岩崎拓哉の夜景写真講座は夏から秋にお勧めの 『 水辺夜景 』にスポットをあてて解説いたします。 by 編集部

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今年の夏も例年並みの猛暑でした。夜は少しずつ涼しくなってきたものの、まだまだ暑い日が続いてます。そんな夏におすすめしたい夜景が河川敷や海岸沿いの水辺夜景。涼しさを感じる水辺で綺麗な夜景写真を撮るコツを解説したいと思います。

写真1 東京ウォーターフロント

東京ウォーターフロントの夜景富士見橋からレインボーブリッジ・東京都心を撮影。空の赤みが水面に反射し、幻想的な一枚となった。

[ ボディ:CANON EOS M3 / レンズ:EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM / 焦点距離:22mm(35.2mm相当) / 撮影モード:マニュアル / シャッター速度:1.6秒 / 絞り数値:F9.0 / ISO感度:200 ]

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■水辺撮影の基本

夜景撮影の中でも水辺の撮影は人気があるジャンルで、東京都心であれば隅田川沿いやお台場、豊洲エリアに撮影スポットが点在しています。水面にビルや橋の光を反射させたり、トワイライトタイムに空の明かりを写し込むことで作品の幅を広げることもできます。水辺での撮影にあたり、最低限以下のポイントを押さえておきましょう。

写真2 セッティング例

夜景撮影時の設定画面

EOS M3での設定例。シャッター速度を長くするため、低感度に設定してF11まで絞り込んだ。

(1)三脚でカメラを固定

夜景撮影における基本中の基本。水辺での撮影は長秒時露光が欠かせないため、なるべく安定感ある三脚を用意したい。

(2)撮影モードは「マニュアル露出」または「シャッター速度優先」

水辺での撮影は撮影者がシャッター速度を合わせる必要があるので、できればマニュアル露出(M)をおすすめしたい。

(3)ISO感度を低めに設定

ISO感度が高いとシャッター速度が短くなってしまうため、ISO100~200ぐらいが良いだろう。

(4)足場の安定した場所を選ぶ

水辺の付近は足場がデッキになっていて、振動の伝わりやすい場所が多い。デッキを避けるか、人通りの少ないタイミングを狙って撮影したい。

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■シャッター速度による絵の変化

水辺の夜景撮影で最も重要なポイントがシャッター速度の設定。最近は手持ちで夜景を撮影するシーンも増えていますが、水面をキレイに写す場合は長秒時露光が必須。ここではシャッター速度を1段ずつ変更していき、水面の写り方の違いを比較しました。最後には手持ち撮影の作例も紹介しています。今回の作例では10秒または20秒がベストショットと言えそうです。撮影場所として観覧車を撮影出来るポイントを選んでいますが、観覧車はタイミングによってライトアップの色が変化するので、シャッター速度を長く開けすぎるとライトアップの色が混じってしまうので注意が必要です。

写真3 シャッター速度:1.3秒

シャッター速度:1.3秒

写真4 シャッター速度:2.5秒

シャッター速度:2.5秒

写真5 シャッター速度:5秒

シャッター速度:5秒

写真6 シャッター速度:10秒

シャッター速度:10秒

写真7 シャッター速度:20秒

シャッター速度:20秒

写真8 シャッター速度:1/10秒(手持ち撮影)

シャッター速度:1/10秒

手ぶれ補正を有効にし、手持ちで撮影。一見、キレイな写真に見えるが20秒露出した写真に比べて、水面が荒れていて、さらに高感度(ISO6400)で撮影しているおかげでノイズも目立っている。

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■プラスアルファ:光跡を入れる

ここまで水辺撮影の基本を解説しましたが、最後にワンポイントとして光跡を取り入れてみましょう。水辺の代表的な光跡と言えば、屋形船やクルーズ船と言えますが、電車の光も良いアクセントになります。左側が光量が少なくて寂しい感じですが、水面にも電車の光が反射して色鮮やかな写真となりました。

ちなみに以下の2点の写真は光跡の違いだけでなく、東京スカイツリーのライティング(基本的に23時まで点灯)にも変化が見られます。下の光跡が無い写真は東京スカイツリーのライティングが消灯しており、寂しい写真になってしまいました。建物やランドマークを写す場合は、点灯時間も意識してみてください。

写真9 光跡あり

光跡あり

写真10 光跡なし

光跡なし
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■今月のお勧め夜景スポット「隅田川テラス」

隅田川の河川敷に整備された広大なテラス。永代橋・清洲橋・勝どき橋などのライトアップを観賞でき、場所によっては架橋のライトアップと東京スカイツリーのライティングを一度に眺められる。夜景撮影にもおすすめ。

隅田川テラス
所在地:東京都墨田区・江東区など
料金:無料
URL:東京の観光公式サイト GO TOKYO

写真11 清洲橋と東京スカイツリー

隅田川テラス

永代橋のライトアップをメインに遠くに見える東京スカイツリーも写し込む。テラスを北上すると東京スカイツリーの眺望がさらに開ける。

著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。