夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第5回:夜桜の撮り方(後編)
Photo : Takuya Iwasaki
TOPIX
先週末から週初めの気温上昇でほころび始めた桜ですが、寒の戻りで一休みですね。週末から来週にかけては再度気温が上昇する見込みですので、関東以西では来週には桜シーズンの本格到来でしょうか。ご好評いただいた前篇に引き続き後編をお楽しみください。 by 編集部 |
「前編」では夜桜撮影に必要な機材や基本的な撮影方法について解説しましたが、後編ではホワイトバランス・絞り・ISO感度などの設定による作例の変化など応用的な内容を中心に取り上げたいと思います。また、夜桜と夜景やライトアップを組み合わせた作例もご紹介したいと思います。
■応用1:ホワイトバランスによる変化
夜桜の撮影時のホワイトバランス設定はこれが正しいという正解はありません。最近のデジタルカメラは「オート」であればたいてい見た目通りの綺麗な写真が撮れますが、せっかくなので代表的なホワイトバランスの色温度で作例を比較してみました。
写真1 夜桜名所の全体風景
写真2 桜の木全体を撮影
写真3 桜の花をアップで撮影
■応用2:絞り ( F値 ) による変化
続いて絞り値の変化を見ていきたい。50mmの単焦点レンズ(開放絞り値F1.4)で開放から2段ずつ絞っていき変化をチェックした。F1.4だと被写界深度が浅すぎて背景がボケ過ぎているようにも感じられる。F5.6以上だと背景が少々やかましく感じる。今回の作例ではF2.8がベストショットと言える。
写真4 絞り値(F1.4)
写真5 絞り値(F2.8)
写真6 絞り値(F5.6)
写真7 絞り値(F11)
■応用3:ISO感度の設定 ( ブレの防止 ) による変化
一般的な夜景撮影であれば、三脚でカメラを固定しISO感度を低めに設定して長時間露光をするのが主流だが、夜桜の場合は風によって被写体が揺れてしまい、カメラの固定が無意味になってしまうことも。ブレを防ぐ方法は大きく2つ。1つはISO感度を高めに設定してシャッター速度を少しでも早くする方法。2つ目は絞りを開放寄りにして少しでもシャッター速度を短くする方法がある。ただし、絞りを変えると被写界深度が変わってしまうため、今回はISO感度を上げることでブレを回避した。
写真8 失敗例(ISO 200 / シャッター速度 4秒)
写真9 成功例(ISO 1600 / シャッター速度 0.5秒)
■応用4:夜桜+アルファ
最後に夜桜と俯瞰夜景やライトアップ組み合わせた作例を紹介します。夜桜名所は高台よりも平地にあることが多いのですが、夜景スポットとして有名な場所であれば夜桜と夜景を一緒に観賞できることも。また、東京タワーや東京スカイツリーなどのランドマーク付近で夜桜と一緒に撮影するのも面白いでしょう。
写真10 夜桜+俯瞰夜景
写真11 夜桜+ライトアップ
夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第4回:夜桜の撮り方(前編)は コチラ
■今月のお勧め夜景スポット「千鳥ヶ淵」
皇居西側の千鳥ヶ淵と英国大使館に挟まれる場所にあり、緑道を歩きながら夜桜を楽しめる。週末は混雑するので平日の訪問がおすすめ。ライトアップは22時ごろまで。
千鳥ヶ淵
開催日:通年3月末~4月上旬頃まで(桜の開花状態により変動)
所在地:東京都千代田区九段南2丁目~三番町先
アクセス:東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線九段下駅から徒歩
料金:無料
写真12 千鳥ヶ淵