ブロンカラーでつくる
プロフェッショナル最新ライティング 第2回
ストロボでつくるライティングのバリエーション
TOPIX
プロフォトグラファーからの信頼を集め、全世界で愛用されているプロフェッショナル用撮影照明機材ブロンカラー。その日本における総代理店である「 アガイ商事 」の創立 25 周年を記念して、Mook 「 ブロンカラーでつくる プロフェッショナル最新ライティング 」が玄光社から発売されました。本連載は、その Mook の中から一部を抜粋して、プロのテクニックを掲載していきます。第2回目は、ブロンカラーのハイエンドジェネレーターを使った著名写真家の作品を紹介しながら、玉内 公一氏がそのワークフローに迫ります。 |
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ストロボは、現在、もっとも普及している「写真撮影のための照明機材」といって間違いはないだろう。集光など光をコントロールするための周辺アクセサリーも充実していることも特徴だ。ここではブロンカラーの多彩なストロボ機材、ライティングアクセサリーを紹介していこう。
■ 今、ハイエンドジェネレーターにできること
プロフェッショナルのスタジオ撮影において、ストロボに求められる性能とは何だろうか。機材としての安全性、プロの現場で稼働する確実性はもちろんだが、光の強弱や光質で表現をするスタジオライティングでは、いかに自由に光をコントロールできるかも重要となってくる。
まずポイントとなるのは出力範囲。一般的にスタジオ用ストロボは、カメラに取り付けるクリップオンタイプの小型ストロボと比べると、数十倍のエネルギーを持っており、数 Ws( ワットセコンド )から数千 Ws までの出力範囲を調整可能だ。そしてその調整も、できるだけ細かいステップでコントロールできた方が使い勝手がよい。また最近のデジタルカメラは常用感度が上がっているため、大出力だけでなく、低出力側をどこまで設定できるかも重視されている。
使い勝手の点で言えば、リサイクリングタイム( チャージタイム )も重要だ。ストロボ発光後、次の発光が可能になるまでに、どれだけの時間を要するのか。ストロボのチャージ待ちでシャッターが切れない、切ってもストロボが発光しないというのは、非常にストレスが溜まる。銀塩フィルムの中判、大判カメラがスタジオ撮影のメインだった時代は、フィルムの巻き上げや交換でストロボチャージにも余裕があった。しかし一眼デジタルがスタジオでも多く使われるようになると、その連写に追いつかなくてはならず、ストロボも忙しい。
閃光速度( 閃光時間 )の速さも高性能ストロボに求められる条件のひとつだ。基本的にスタジオ撮影では、カメラのシャッターで瞬間を捉えるのではなく、ストロボの一瞬の閃光で被写体の動きを止める( シャッター開放時間よりストロボの閃光時間の方が短いからだ )。それによって空中に飛び散る水滴や、動くモデルの髪先を止めるといった超高速の瞬間撮影が可能になる。
色温度の安定性も気になるところ。基本的にストロボ光は閃光時間が短くなると赤味成分が減り、青味が強くなる。その誤差が少ないほど、安定した色味の仕上がりが保証されるのだ。
ブロンカラーの最上位機種スコロ Sも、そうしたプロのニーズに応えるハイエンドジェネレーターである。
3200Ws タイプの出力範囲は 3Ws ~ 3200Ws。1,000 倍強の範囲を、0.1 段の幅でコントロール。最速閃光時間は 1/14,000 秒( t0.5 )。ストロボ閃光はたとえ一瞬であっても、その短い時間に光量がゼロから最大値に達し徐々に減衰していくわけだが、スコロではその減衰部分をカットする「 カットオフ機能 」を持っている。つまり発光が最大になる一番美味しい部分のみを使い、閃光時間を短縮することで、高速閃光を実現しているのだ。
リサイクリングタイムは、0.02 ~ 2.2 秒( 100V )と極めて速く、フィルム時代には考えられないスペック。発光量のバラツキも ±0.3% と安定している。
色温度に関しても、独自特許技術「 ECTC 機能 」を搭載しており、3Ws ~ 3200Ws という広い出力範囲で 5500K( ケルビン )の色温度を一定に保っている。しかも +400K から -800K の範囲でシフトすることも可能となっている。
また一定間隔で任意の回数、ストロボを発光させるプログラム発光、発光タイミングを任意にずらす遅延発光など、デジタル制御によりコンマセコンド単位で発光をコントロールができるのも、スコロならではの特徴。さらにそれらの機能を組み合わせることで、より高度なギミック発光も可能だ。
こうした高機能とフォトグラファーの意のままに発光をコントロールできることが、世界中のプロがスコロを愛用する理由なのである。
■ 高機能化するモノブロック
モノブロックとは電源部と発光部が一体になったストロボのこと。一般的にジェネレータータイプのストロボよりも低出力だが、一体型の利便性からロケ撮影やサブライトとして使われることが多かった。
しかし常用感度の高いデジタルカメラが全盛になり、大光量でなくても撮影ができること、また多灯使用の場合でもワイヤレスでまとめてコントロールできるようになったことで、スタジオでのメインライトとして使うユーザーが増えてきた。機能的にもデジタル制御回路が採用されて、従来に比べはるかに高精度で高機能な発光コントロールが実現されている。
ブロンカラーのシロスもハイエンド機種スコロと同等の ECTC 機能やカットオフ技術を搭載し、専用アプリを使って Wi-Fi でスマートフォンからのコントロールを可能としている。リフレクターはパルソ G ランプヘッドと共通のバヨネットタイプで、豊富なアクセサリー群を利用できる。
■ 光のバリエーション1 リフレクター
ランプヘッドにつけるリフレクターは、スタジオ用ストロボのもっとも基本的でシンプルなアクセサリーだ。
発光管から周囲に広がる光を、パラボラカーブの内面に反射して前面に照射する。発光管からの直進光とリフレクター内面に反射した光がミックスされることで、投光面中心には強い光があたり、周囲が徐々に暗くなる。被写体には濃い影ができるが、リフレクターのサイズや内面加工の違いで、影のエッジの滲み方も変わってくる。
いわゆる「 標準 」と言われるリフレクターの照射角度は約 60 ~ 70 度。ブロンカラーのスタンダードリフレクター P70 も、70 度という照射角度となっている。
ここでは P70 をはじめ、ブロンカラーの代表的なリフレクターを撮り比べてみた。ランプヘッドはパルソ G を使用。ライト位置は被写体左斜め上約 1.7m の距離から照射。画面周辺の光の落ち具合、ビリヤード球の影、下に敷いた紙の凹凸の出方を見て欲しい。
■ 光のバリエーション2 グリッド&スヌート
周囲に広がる光線を抑えて特定の部分のみハイライトをあてる……光のバリエーションで欠かせないのがスポット光である。特にグリッドとスヌートは簡単に光の拡散を調整できる、プロならば必ず持っていると言っていい必須アイテムだ。グリッドとはハニカム形状の網目で斜めに出る光をカットして、直進する光のみを利用するリフレクター用アクセサリー。目のサイズによってスポット効果が異なる。ブロンカラーの P70 用グリッドは目のサイズが「 S( 細 ) 」「 M( 中粗 ) 」「 L( 粗 ) 」の3枚セットだが、ここでは「 S 」と「 L 」を比較してみた。ナローグリッドは網目の厚みによってさらに照射範囲を絞ったもの。スヌートは内面が黒い筒になっている。
これらのアイテムは簡易的なスポットで、照射範囲は狭められるが、明るい部分と影の境界はグラデーションになる。よりシャープなスポット効果は得るには、パルソスポット4などレンズを使った集光するアクセサリーを使用する。
■ 制作・著作 ■
玄光社
スタジオグラフィックス
玉内 公一