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KANI フィルター で角形フィルター入門!
第2回 迷ったら 150mm 幅システム

角型フィルター活用術

Photo & Text:薮田織也

TOPIX

風景を撮るときに欠かせない機材となりつつある「 角型フィルター 」。そんな角型フィルターの魅力に迫るべく使い方・選び方の基本と活用術を KANI 社の製品を使って紹介する連載の2回目は、「 迷うなら 150mm 幅システムを選ぼう 」です。なぜ 150mm 幅システムなのかの紹介と、角型フィルターを使った作例およびその撮り方を紹介します。 by 編集部

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1.角型フィルターで目で観たイメージを再現しよう

最近、SNS 上にアップされる風景写真を観ていると、角型フィルターを使ったと思われる作品がとても増えているように感じる。もちろん筆者である薮田も昔から光学円形フィルターを使って風景写真を撮っていたが、ここ数年はもっぱら角型フィルターの恩恵に授かっている。理由は自分の脳が勝手に描いた記憶色により近づけるためだ。もっと簡単に書けば、より魅力的な画にしたいからだ。角型フィルターを使うことで、空も海もより深く碧く、木々の色にもその季節を強く映し込めるし、時には自分の心象風景としての画を作るための道具としても役だってくれている。短期連載「 KANI フィルターで角型フィルター入門!」の第2回目と次回は、角型フィルターを使って撮った作例をお見せしつつ、その撮影方法を詳しく紹介していこうと思う。

まずはフィルターの有無で画がどこまで変わるのかを観ていただこう。

■写真1 フィルター有無による画の違い
フィルター有り( 左 )とフィルター無し( 右 ) ◀▶を動かして確認

この写真は伊豆半島は仁科峠から駿河湾に落ちる夕陽を映したもの。フィルターを使わずに自動露出モードで撮ると「 写真1・フィルター無 」のような画になるが、あるフィルターを使って撮ると「 写真1・フィルター有 」のような画になる。違いは一目瞭然だ。フィルター無しだとカメラが太陽と空の明るさに露出を合わせてしまうために手前の山や地面が暗くなってしまうが、フィルター有りでは太陽と空のディテールをより際立たせた上で、手前の地面のディテールも映り込む。( 両写真ともに補正無し )極めて単純な比較だが、フィルターを使うか使わないかでここまで簡単に画が変わってしまうことを理解してもらいたい。ちなみに使ったフィルターは GND フィルター( KANI Premium LR MC SOFT 0.9 )1枚だけだ。

写真1のような場所で夕陽を眺めたとすると、人間の脳内では「 写真1・フィルター有 」のイメージが構成されるはずだ。それは人間の脳が目から入った景色の明暗の差を HDR 写真のように瞬時に補正してしまうからだ。しかしフィルターを使っていないカメラで撮ると明暗差がくっきりと出てしまい、「 写真1・フィルター無 」のような写真になるはずだ。ここで掲載したフィルター作例は、まさに人間の脳内イメージを再現するためにフィルターを使った例だといえるだろう。

■写真2 KANI Premium LR MC SOFT 0.9
ND 効果を強から弱のグラデーションで与えるフィルター

ND 効果を強から弱のグラデーションで与えるフィルター

写真1・フィルター有で使った KANI Premium LR MC SOFT 0.9 というフィルターは、グラデーション ND フィルター( 以下 GND )と呼ばれる減光フィルターのひとつで、名前のとおり光を弱める効果を強から弱のグラデーションで与えるフィルターだ。GND フィルターは写真2のように、フィルター板の端から中央にかけて ND 効果が弱まるように設計されていて、グラデーションが滑らかなものを「 Soft 」、中央付近まで強く ND 効果がかかるものを「 Hard 」、その中間のものを「 Medium 」と KANI 社では名付けている。

■図1 GND フィルターの使い方
GND フィルターの濃度が濃い方を上にし、境目が山の端付近にくるようにして撮影

GND フィルターの濃度が濃い方を上にし、境目が山の端付近にくるようにして撮影

写真1・フィルター有は、GND フィルターの Premium LR MC SOFT 0.9 の濃度が濃い方を上にし、境目が山の端付近にくるようにして撮影したものだ。( 図1参照 ) こうすることで、もっとも明るい空と夕陽を減光できる。カメラの露出設定はマニュアルモードにして、3段ほどシャッタースピードを遅くして撮っている。濃度の境目より下は低反射の素通しガラスなので、3段分明るく撮れるということだ。なぜ露出設定を3段分明るくするのかというと、それは、GND フィルターの製品名の末尾にある「 0.9 」という数値が、3段分ほど露出設定が暗くなることを表しているからだ。どういうことなのか、少し長くなるが説明しよう。

● ND フィルターの数値について

ND 系のフィルターの濃度を示す方法には大きく分けて2つある。「 ND8 」や「 ND32 」といった ND の右に数字を付ける方法の他に、「 0.3 」、「 0.6 」、「 0.9 」、「 1.2 」といった小数点以下を含む数値だけのものがある。現在は前者の減光濃度を現す数値を使った方法「 NDxx 」式が一般的だ。たとえば ND32 なら 1/32 に減光できることを表す。対して後者の数値だけで表す方法は、古くから ND フィルターを使っている人には馴染みがある表記だ。今でも海外製 ND フィルターや、国産のシートタイプ ND フィルターで使われることがある。この「 0.3 」や「 0.9 」という数値も減光濃度を表すもので、「 OD 値( 10 のべき乗指数 ) 」とも呼ばれる。OD 値「 0.3 」は「 10 の -0.3 乗 」を指し、1/2 ( 0.5 )倍と等しい。つまり 1/2 の減光効果がある。これは ND2 と同じ効果となる。

■表1 OD/ND 値と露光計数対応表
※KANI 社では ND256、ND512 相当の製品は存在しない

※KANI 社では 2020 年6月現在 ND256、ND512 相当の製品は存在しない

KANI 社製の ND 系フィルターでは、GND フィルターには OD 値が使われ、フィルター板全体で減光できる ND フィルターには NDxx 式が使われている。表示方法が混在するのは混乱の元に思えるかもしれないが、それぞれにメリットがあるのだ。それは、ND 系フィルターは重ねがけして使うことが多いので、その際にどれだけの濃度になるのかを計算する必要があるが、「 OD 値 」式だと数値の足し算で濃度が導きだせるのだ。たとえば「 0.3 」と「 0.6 」のフィルターを重ねがけするときは、0.3+0.6=0.9 の濃度になるわけだ。NDxx 式の場合は数値をかけ算する必要がある。たとえば「 ND2 」と「 ND4 」の重ねがけでは、2×4で ND8 となる。どちらが計算しやすいかはさておき、重要なのは ND フィルターを使わない場合の適正露出での設定が、ND フィルターを使ったときにどう変わるかだ。これをわかりやすくするために、表1・OD/ND 値と露光計数対応表を作ってみた。この表の「 露光計数 」という項目の数値に注目して欲しい。これは絞りやシャッタースピードの段数になる。たとえば ND8 もしくは OD 値が 0.9 の場合、露光計数は「 3 」となり、3段分の明るい露出設定ができることになる。これは、ISO 100、絞り F8、シャッタースピード 1/125 秒が適正露出のときに、ND8 もしくは OD 値 0.9 の ND フィルターを使うと、絞りを F8 から F2.8 に、またはシャッタースピードを 1/125 秒から 1/15 秒に変えられるということだ。

表1の ND 欄は KANI 社製の製品名ではなく、あくまでも一般的な ND フィルターの呼称だ。この表では ND1000 までしか表記していないが、KANI 社のラインナップには ND32000 も存在する。あくまでも目安として参考にして欲しい。また、一般的に ND512 相当のフィルターは ND500 と表記されることが多い。

少し長くなってしまったが、次のセクションでは ND 系フィルターで人間の目では観ることのできない写真の撮り方を紹介しよう。

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2.角型フィルターで心象風景を画にしてみよう

■写真3 ND 系フィルターを3枚使った作例
Nikon D850 + Tamron SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2  フィルター:HT PRO+ MC Hard GND 0.9、Premium LR MC Hard GND 0.6、HT PRO+ MC ND 1000  ストロボ:Nissin MG10 + Air10s  f/11 ss2sec ISO:800

Nikon D850 + Tamron SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2  フィルター:HT PRO+ MC Hard GND 0.9、Premium LR MC Hard GND 0.6、HT PRO+ MC ND 1000  ストロボ:Nissin MG10 + Air10s  f/11 ss2sec ISO:800

写真3は南伊豆の海岸で撮ったものだ。季節は3月初旬の午後5時。お陽様は水平線よりも上にある時間帯だ。フィルター無しの写真を撮り忘れたので比較を観ていただくことはできないが、撮影時の状況写真( 写真4写真5 )でどの程度の明るさだったかを確認してもらいたい。

■写真4 撮影風景
撮影に使った機材と撮影風景。カメラの右サイドから太陽光が当たるので、それを遮るため( ハレ切り )に右手をフィルター上部にかざしている。右手で持っているのはレリーズリモコン

撮影に使った機材と撮影風景。カメラの右サイドから太陽光が当たるので、それを遮るため( ハレ切り )に右手をフィルター上部にかざしている。右手で持っているのはレリーズリモコン

■写真5 テスト撮影
構図を決めるためのテスト撮影。ND1000 を使って2秒の長秒露光で撮影。空が明るすぎると感じた

構図を決めるためのテスト撮影。ND1000 を使って2秒の長秒露光で撮影。空が明るすぎると感じた

写真3を撮るために使ったフィルターは3枚。いずれも KANI フィルター、レンズに近い順で HT PRO+ MC Hard GND 0.9Premium LR MC Hard GND 0.6 、そして HT PRO+ MC ND 1000 だ。( 写真6 )これら3枚のフィルターを組み合わせることで、まだ明るい時間帯に絞り F11、シャッタースピード2秒の長秒露光で撮影できた。この作品( 写真3 )は、写真1・フィルター有とは異なり、人間の肉眼では捉えられない作品の例だ。たとえれば記憶の中の情景だといえるだろう。わたし薮田が撮る風景写真は、写真機材の作例を除いて、筆者自身の心象風景を描いているつもりだ。ではどうやって撮ったのかを簡単に紹介していこう。

■写真6 撮影に使ったフィルター
HT PRO+ MC Hard GND 0.9、Premium LR MC Hard GND 0.6、HT PRO+ MC ND 1000

フィルター:HT PRO+ MC Hard GND 0.9、Premium LR MC Hard GND 0.6、HT PRO+ MC ND 1000

カメラを三脚に据えて構図を決めたら、まずはフィルターを付けずに絞り優先でテスト撮影をしてみる。絞りは2つの岩全体にピントが欲しかったので F11 を選択。このときにカメラの露出計が選んだシャッタースピードは 1/250 秒だった。これを2秒にするためには、露光計数を9段に上げる必要がある。前出の表1に照らしてみると、ND500( 1/500 に減光 )フィルターを使えば良いことがわかる。だが本番撮影の前にシャッタースピードを上げ下げして画の変化が観たいという理由もあって、ここではもう1段分暗くなる ND1000( 1/1000 に減光 )を選んだ。ND1000 の減光効果で暗くなった分は ISO 感度で調節する。

そうして 1/4 秒から 30 秒までシャッタースピードを変えてテスト撮影した結果、最終的にシャッタースピードを2秒にしたのは、岩の上から流れ落ちる海水の軌跡を綺麗に捉えるためで、2秒より速い、または遅いと、海水の軌跡が途切れるか流れすぎて、イメージ通りにならなかった。

■写真7 空が入らない構図
最初は空が入らない構図で撮影してみた

最初は空が入らない構図で撮影してみた

シャッタースピードが決まったらとりあえず撮った画を観て、気になる部分を探す。最初は岩と海面だけの構図( 写真7 )だったが、奥行き感を出したいと考えて水平線と空を構図に入れてみた。( 写真8 ) しかし空が構図に入ってくると、主題である岩と波よりも空が明るく映ってしまうと感じた。そこで GND を使って空だけを暗くすることにした。GND 0.9 だけではまだ明るく感じたので、もう一枚の GND 0.6 を足してみたら丁度良い暗さになった。というわけで写真6のように角型フィルターを3枚使うことになったわけだ。

■写真8 空を入れると主題が目立たなくなった
太陽が水平線の上にあるため空がまだ明るすぎる

太陽が水平線の上にあるため空がまだ明るすぎる

こうして撮りたいイメージが決まり、露出も最適解が見つかったら、ISO をできるだけ低くして適切な ND 値のフィルターに交換すれば良いのだが、交換の手間を省きたくて ND1000 のままで撮影した。今のカメラは ISO 800 程度ならノイズも少ないので、わずかな画質の劣化よりも撮影のタイミングを大事にしたいと思ったからだ。

少し蛇足になるが撮影裏話を。この写真3の撮影は当日の朝から始めたのだが、狙った構図では太陽の位置が高くてイメージ通りにならず、また、海水の飛沫がフィルターに付き、その飛沫に陽射しが当たってゴーストが出てしまった。( 写真9 ) ゴーストが出た画も悪くはないと感じたが、やはり狙ったイメージではないし、かといって構図は変えたくなかったので陽射しが斜め後方に回る夕方を待つことにした。そして午後5時、ようやく狙った光になったが、今度は岩のディテールが潰れて迫力がなくなってしまったので、ほんの少しのハイライトを入れるために GN80 のストロボを照射角を最大望遠に設定してフル発光で照射した。とまぁ、こんな感じで丸一日かけて撮った作品が写真3だ。

■写真9 ゴーストが入ってしまった例
陽射しがカメラのほぼ真横から入ってきたためにゴーストが出てしまった例

陽射しがカメラのほぼ真横から入ってきたためにゴーストが出てしまった例

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3.迷ったら 150mm 幅システムを選ぼう

使うとひと味違った風景写真が撮れる角型フィルターではあるが、少しハードルが高いと感じ、使い始めるのにためらっている人も多いようだ。そのためらいの原因のひとつには、機材の種類があまりにも多く、どれを購入すれば自分の機材に適しているのかがわかりづらいということがあげられるだろう。そこで、前回の記事( こちらを参照 )とは少し趣が違ってしまうと感じるかもしれないが、薮田推奨のシステムを紹介したいと思う。それは、迷ったら 150mm 幅システムを選ぼう、である。

■写真10 150mm 幅のフィルターホルダー
150mm 幅フィルターホルダーのみの写真。これにホルダーアダプター( レンズによってはアダプターリングも加える )を組み合わせてレンズに装着する

150mm 幅フィルターホルダーのみの写真。これにホルダーアダプター( レンズによってはアダプターリングも加える )を組み合わせてレンズに装着する メーカーサイトで確認 ※フィルターホルダーはレンズ専用セットで販売されている

● 150mm 幅システムをお薦めする3つの根拠

前回の記事( こちらを参照 )ではフィルター系が 82mm 以下のレンズしか持っていないのであれば、100mm 幅システムで十分だと書いた。マイクロフォーサーズのような小型のシステムでは 75mm 幅システムがベストだとも書いた。このことを訂正するつもりはない。が、もし将来的にもっと広角のレンズや、口径の大きなレンズを買うかもしれない……であるのなら、以下の3つの理由で 150mm 幅システムを購入すると良いだろう。

  • 1.フィルターの種類と対応レンズが多い
  • 2.やっぱり大は小を兼ねる
  • 3.三脚使用時なら取り回しは気にならない

なぜ薮田が 150mm 幅システムを推奨するのか、その1つ目の根拠は、KANI 社製の 150mm 幅システムはとにかく種類が豊富だからだ。同社の角型フィルターシステムには、フィルター板の幅に合わせて 170mm、150mm、100mm、75mm の4種類のシステムがあるが、この中で 150mm 幅のシステムにはフィルター板、ホルダー、アダプターが他のサイズのシステムよりも豊富だ。150mm 幅システムであれば一部の出目金レンズ( 超広角レンズ )を除いてほとんどすべてのレンズに対応できるし、選べるフィルター板が豊富なことは画作りする上でも役に立つ。

メーカーサイトで 150mm フィルターホルダーを確認

■写真11 150mm フィルターホルダーとアダプターリングセット
150mm フィルターホルダーをさまざまなレンズに装着するためのアダプターリングセット

150mm フィルターホルダーをさまざまなレンズに装着するためのアダプターリングセット 150mm アダプターリングセットのページを参照 アダプターリングセットにはフィルターホルダーは含まれない

2つ目の根拠は極めて単純でやっぱり「 大は小を兼ねる 」からである。「 ちょっと待て、それなら 170mm 幅システムの方が…… 」と突っ込まれるかもしれないが、前回の記事の「 フィルターサイズの選び方 」を観てもらえばわかるように、170mm 幅でなければ対応できない超広角ズームレンズの種類は 2020 年 6月の時点で6本だ。もちろんこの6種類のレンズを所有している、または購入予定がある人であれば迷うことなく 170mm 幅システムを購入されることをお薦めするが、それ以外なら 150mm 幅システムで十分だと薮田は思う。

■写真12 82mm 径の標準ズームレンズへの装着
82mm 径の標準ズームレンズ( Tamron SP24-70mm )へ 150mm フィルターホルダーの装着

82mm 径の標準ズームレンズ( Tamron SP24-70mm )へ 150mm フィルターホルダーの装着

■写真13 95mm 径の超望遠ズームレンズへの装着
95mm 径の超望遠ズームレンズ( Tamron SP150-600mm )へ 150mm フィルターホルダーの装着

95mm 径の超望遠ズームレンズ( Tamron SP150-600mm )へ 150mm フィルターホルダーの装着

■写真14 出目金タイプの超広角ズームレンズへの装着
フィルターネジのない出目金タイプの超広角ズームレンズ( Tamron SP15-30mm )へ 150mm フィルターホルダーの装着

フィルターネジのない出目金タイプの超広角ズームレンズ( Tamron SP15-30mm )へ 150mm フィルターホルダーの装着

上記の写真からもわかるだろうが、KANI 社製のアダプターは幅広い共通化がなされており、豊富に用意されたアダプターリング( ステップアップリング )を使えば、フィルター径が 82mm 以上のレンズ( 112mm、105mm、95mm )にもフィルターホルダーを装着できる。また、150mm アダプターリングセットというセット商品が用意されていて、これを購入すれば 77mm ~ 95mm までのフィルター径のレンズをカバーできるのだ。フィルター径が 77mm 未満のレンズの場合は市販のステップアップリングを使えば 67mm のフィルター径レンズまで対応できる。さらに、マイクロフォーサーズ( M.4/3 レンズへ装着する 150mm ホルダー用アダプタリングも用意されている。

3つ目の根拠は、薮田の経験則からだ。1台のカメラで撮影する風景写真であれば、フィルターシステムのサイズもレンズに合わせてコンパクトな方がいいのはもっともだ。しかしレンズマウントの異なる複数台のカメラで撮影するとなるとどうだろう。薮田が撮る風景写真に使うカメラは、以前から中判デジタル、フルサイズ一眼レフ、そしてマイクロフォーサーズ機で、ロケにはこれらセンサーサイズの違うカメラをすべて( 車でロケ地に行く )持って行くので、角型フィルターのシステムも 75mm、100mm、150mm 幅の3種類を必ず用意していた。だが、角型フィルターを使った撮影に慣れてきたころには 150mm 幅システムしか使わなくなっていた。その理由は、薮田の撮る風景写真はほとんどがカメラを三脚で固定して撮っているからで、フィルターシステムのサイズが大きくても取り回しに不自由することは特に感じないからである。150mm 幅システムに絞ったことで、持ち歩く機材が減ったことは書くまでもない。

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4.次回予告

■写真15 次回は向日葵畑での撮影方法
山梨は明野の向日葵畑にて M.4/3 機+ 150mm 角型フィルターを使った撮影方法のご紹介

山梨は明野の向日葵畑にて M.4/3 機+ 150mm 角型フィルターを使った撮影方法のご紹介

次回は実践編ということで、向日葵畑での角型フィルターを使った撮影方法を紹介したいと思う。作例は昨年夏に山梨は明野の向日葵畑で撮ったものだ。今年ももうすぐ向日葵の季節が訪れるが、もしコロナ禍が収束していてチャンスがきたら、読者の皆さんにもチャレンジしていただきたいと思う。お楽しみに。

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著者について
■ 薮田 織也( Oliya T. Yabuta )人物・光景写真家 ■  1961 年生まれ。テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て、1995 年独立、人物写真家に。2000 年よりモデルプロダクションの経営に参画し、モデル初心者へのポージング指導をしながらポージングの研究を始める。2008 年「モテ写: キレイに見せるポージング」を共著で上梓。2003年か らStudioGraphics on the Web の創設メンバーとして活動。近著に「 美しいポートレートを撮るためのポージングの教科書 」( MdN 刊 )、監修書籍に「 ちょっとしたコツで10倍かわいく見える モテ[写]の教科書。」(MdN 刊)がある。公益社団法人 日本広告写真家協会 正会員