柴田誠のフォトレポ
シンガポールのカメラ事情
TOPIX
前回のフォトレポでお届けした Singapore International Photography Festival 2014( 前記事参照 )。シンガポールでの写真イベントの様子をレポートしてくれたフォトジャーナリストの柴田誠氏が、今回はイベントやショーではわかりにくい、シンガポール独特のカメラ事情を取材してくれました。 by 編集部 |
■ シンガポールの暑さと物価の高さは半端じゃない
シンガポールはとにかく暑い。しかし、もともと暑い国なので、冷房はガンガンに効いているし、甜品店やドリンクスタンドは、通りを見渡せばどこにでもある。そんなわけで、Singapore International Photography Festival 2014( 前記事参照 )を見て回るついでもあって、気力を振り絞って昼間から繰り出し、街のカメラ店を探してみることにした。
シンガポールの電気店といえば、ローカルの家電チェーン店 Challenger、そしてベスト電器が有名だ。いずれも家電がメインの量販店なので、カメラの取り扱いはそれほど多くはない。旅行ガイドなどには、地元の人もよく利用する電気ビルとして bugis 駅近くにある SIM LIM( シム リム )TOWER と SIM LIM SQUARE が紹介されている。こちらは、入り口周辺にカメラ店が軒を並べてはいるものの、ビルの中は携帯アクセサリーやパソコン、パーツ類のお店ばかり。中国の電脳城と撮影機材城を混ぜ合わせたような感じだが、混沌とした印象はしない。ネットが普及したせいか、海賊版のソフトを扱う店は見当たらない。
暑い国のせいなのだろう、ビルの入り口はどこも小さく、遮光性の高い窓ガラスのせいで中の様子はほとんどわからないつくりになっている。明かりが漏れないので、夜になると閉店しているのかどうかもわからないようなビルがやたらと多いのだ。SIM LIM も外から見ると、どんな店が入っているビルなのかよく分からない。入り口に近寄って、ようやく電気関係のビルだというのが分かったほど。商品の価格を見てみると、どこも安いとは言い難い。ちなみに、香港で 30HK$( 約 400 円 )だった自撮り用のスティック。同様の商品が、シンガポールでも 30 と値札が付いていた。1SG$ = 約 80 円なので、1ケタの金額でも数100円はする計算だ。30SG$ ということは、日本円で約 2400 円。6倍ほどの値段になる。他の商品もそんな感じだから、気をつけないととんでもない高い買い物になってしまう。
■ プロ用機材から中古まで揃うペニンシュラタワー
地元の写真家に聞くと、「 SIM LIM は旅行者だとぼったくられる、カメラを買うなら City Center 駅近くの Peninsula Tower だ 」と勧めてくれた。ペニンシュラホテルに隣接する Peninsula Tower は、スポーツ用品店とカメラ店がメインのショッピングビル。カメラ店の品揃えもこれまで見た店とは違い、モノブロックストロボやレフ板、カメラバッグなども取り揃えられている。中には中古カメラ店もあって、ショーケースに綺麗に商品がディスプレイされている。しかもどのお店もカメラ類にはすべて値札がつけられているというのも驚いた。さらにこのビルの隣には、FUNAN Digital Life Mall があって、こちらはタブレットやパソコン、オーディオ、テレビゲーム機などのショップが入っている。ペニンシュラタワーがマニアックなお店の集合体なら、こちらはファミリー向けの最新家電店の入ったショッピングモールだ。もちろんカメラ店も入っていて、すべて値付けがされているので、一緒に覗いてみるのといいだろう。ちなみに、すぐ近くに Peninsula PLAZA という似たような名前の建物がある。こちらはかなりあやしい雰囲気のビルなので、お間違えのないように。また、円安の今は海外での買い物でお買い得感を得るのは難しい。ポイントや保証のことなどを考えれば、日本で買うのが一番安くて安心できるのである。
■ 市内のあちこちに点在するアートギャラリー
シンガポールはアートギャラリーが数多く存在する。その中で、写真が展示されているギャラリーということで私が訪れたのは、bugis 駅の近く、alabu street にある OBJECTIFS(http://www.objectifs.com.sg/)。2Fはショップ、3Fがギャラリースペースになっていて、ワークショップなども開催しているという。Orchard 駅のショッピングモール ion Orchard の4Fにある ION ART Gallery(http://www.ionorchard.com/en/ion-art/ion-art-gallery/)では、ION Art Photography Series, 2014 を展開しており、シンガポールの写真家 TAN NGIAP HENG の “Body of Work” を開催中。スローシャッターで捉えた人物の動きを捉えた作品と映像で、ちょうど会場ではタンゴダンスのイベントが行われていた。GILLMAN BARRACKS(http://www.gillmanbarracks.com/)は、Labrador Park 駅からちょっと歩くが、8つのギャラリーとレストランが集まった、ちょっとしたギャラリー街になっている。
11 月には 2014 BANK ART FAIR、SINGAPORE ART FAIR がおこなわれる。写真だけではないが、この時期にシンガポールを訪れるという人は、覗いてみるといいだろう。
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
柴田 誠 MAKOTO SHIBATA