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SGギャラリー

柴田誠のフォトレポ
 シンガポールのカメラ事情

Posted On 2014 11月 05
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Peninsula Tower 内のカメラ店

TOPIX

前回のフォトレポでお届けした Singapore International Photography Festival 2014( 前記事参照 )。シンガポールでの写真イベントの様子をレポートしてくれたフォトジャーナリストの柴田誠氏が、今回はイベントやショーではわかりにくい、シンガポール独特のカメラ事情を取材してくれました。 by 編集部

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■ シンガポールの暑さと物価の高さは半端じゃない

シンガポールはとにかく暑い。しかし、もともと暑い国なので、冷房はガンガンに効いているし、甜品店やドリンクスタンドは、通りを見渡せばどこにでもある。そんなわけで、Singapore International Photography Festival 2014( 前記事参照 )を見て回るついでもあって、気力を振り絞って昼間から繰り出し、街のカメラ店を探してみることにした。

シンガポールの電気店といえば、ローカルの家電チェーン店 Challenger、そしてベスト電器が有名だ。いずれも家電がメインの量販店なので、カメラの取り扱いはそれほど多くはない。旅行ガイドなどには、地元の人もよく利用する電気ビルとして bugis 駅近くにある SIM LIM( シム リム )TOWER と SIM LIM SQUARE が紹介されている。こちらは、入り口周辺にカメラ店が軒を並べてはいるものの、ビルの中は携帯アクセサリーやパソコン、パーツ類のお店ばかり。中国の電脳城と撮影機材城を混ぜ合わせたような感じだが、混沌とした印象はしない。ネットが普及したせいか、海賊版のソフトを扱う店は見当たらない。

暑い国のせいなのだろう、ビルの入り口はどこも小さく、遮光性の高い窓ガラスのせいで中の様子はほとんどわからないつくりになっている。明かりが漏れないので、夜になると閉店しているのかどうかもわからないようなビルがやたらと多いのだ。SIM LIM も外から見ると、どんな店が入っているビルなのかよく分からない。入り口に近寄って、ようやく電気関係のビルだというのが分かったほど。商品の価格を見てみると、どこも安いとは言い難い。ちなみに、香港で 30HK$( 約 400 円 )だった自撮り用のスティック。同様の商品が、シンガポールでも 30 と値札が付いていた。1SG$ = 約 80 円なので、1ケタの金額でも数100円はする計算だ。30SG$ ということは、日本円で約 2400 円。6倍ほどの値段になる。他の商品もそんな感じだから、気をつけないととんでもない高い買い物になってしまう。

SIM LIM SQUARE。階段下はフードコートになっている

SIM LIM SQUARE の入り口にあったカメラ店

小さな店がぎっしりと入っている SIM LIM Tower

bugis 駅近くにあった修理と中古カメラを扱う路面店

Peninsula Tower 内のカメラ店

フードコート脇までカメラ店が軒を並べている

どこの店のショーケースもきれいにディスプレイされている



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■ プロ用機材から中古まで揃うペニンシュラタワー

地元の写真家に聞くと、「 SIM LIM は旅行者だとぼったくられる、カメラを買うなら City Center 駅近くの Peninsula Tower だ 」と勧めてくれた。ペニンシュラホテルに隣接する Peninsula Tower は、スポーツ用品店とカメラ店がメインのショッピングビル。カメラ店の品揃えもこれまで見た店とは違い、モノブロックストロボやレフ板、カメラバッグなども取り揃えられている。中には中古カメラ店もあって、ショーケースに綺麗に商品がディスプレイされている。しかもどのお店もカメラ類にはすべて値札がつけられているというのも驚いた。さらにこのビルの隣には、FUNAN Digital Life Mall があって、こちらはタブレットやパソコン、オーディオ、テレビゲーム機などのショップが入っている。ペニンシュラタワーがマニアックなお店の集合体なら、こちらはファミリー向けの最新家電店の入ったショッピングモールだ。もちろんカメラ店も入っていて、すべて値付けがされているので、一緒に覗いてみるのといいだろう。ちなみに、すぐ近くに Peninsula PLAZA という似たような名前の建物がある。こちらはかなりあやしい雰囲気のビルなので、お間違えのないように。また、円安の今は海外での買い物でお買い得感を得るのは難しい。ポイントや保証のことなどを考えれば、日本で買うのが一番安くて安心できるのである。

ほとんどの商品には、値札がつけられていた

FUNAN Digital Life Mall。家族連れで訪れられる明るいモール

オーディオやゲーム機、パソコンなどのお店が多い

ビルの1Fにはコーヒーショップが入っている

3Fのギャラリースペース。展示作品はあまり大きくはない



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■ 市内のあちこちに点在するアートギャラリー

シンガポールはアートギャラリーが数多く存在する。その中で、写真が展示されているギャラリーということで私が訪れたのは、bugis 駅の近く、alabu street にある OBJECTIFS(http://www.objectifs.com.sg/)。2Fはショップ、3Fがギャラリースペースになっていて、ワークショップなども開催しているという。Orchard 駅のショッピングモール ion Orchard の4Fにある ION ART Gallery(http://www.ionorchard.com/en/ion-art/ion-art-gallery/)では、ION Art Photography Series, 2014 を展開しており、シンガポールの写真家 TAN NGIAP HENG の “Body of Work” を開催中。スローシャッターで捉えた人物の動きを捉えた作品と映像で、ちょうど会場ではタンゴダンスのイベントが行われていた。GILLMAN BARRACKS(http://www.gillmanbarracks.com/)は、Labrador Park 駅からちょっと歩くが、8つのギャラリーとレストランが集まった、ちょっとしたギャラリー街になっている。

11 月には 2014 BANK ART FAIR、SINGAPORE ART FAIR がおこなわれる。写真だけではないが、この時期にシンガポールを訪れるという人は、覗いてみるといいだろう。

ショッピングモール ion Orchard 内にある ION ART Gallery

ギャラリーはダンスイベントが開催できるほどの広さがある

芸術村 GILLMAN BARRACKS

小さなギャラリーが長屋のように幾つも並んでいる

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■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
柴田 誠 MAKOTO SHIBATA

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著者について
1964 年生まれ。2012 年春に 24 年間勤務した出版社を退社し、フリーのフォトジャーナリストとなる。その後、香港に個人事務所 CYBER DRAGON HKG LIMITED( 數碼龍珠( 香港 )有限公司 )を立ち上げ、フォトキナをはじめとする国内外のカメライベント、写真フェアなどを中心に取材活動を行い、香港をベースにして国内や海外のカメラ雑誌や ウェブマガジンに執筆している。ちなみに日本在住。出版社在籍中には、カメラ誌の製品担当者で組織する「 カメラ記者クラブ 」にも通算 16 年間在籍。編集者時代に培った幅広い人脈と豊富な経験を活かした活動をするとともに、「 日本の写真文化を海外へプロジェクト 」を主宰。業界の活性化と後進の指導にも積極的に取り組んでいる。中国のカメラ雑誌「 撮影之友 」の編集顧問も務める。日本写真家協会( JPS )会員、日本写真協会( PSJ )会員、日本香港協会( JHKS )会員。