大村祐里子の
プロ写真家に聞く ライティング術 第6回
究極の負けず嫌い DB Nori 氏に聞く
エクストリームフォト・ライティング
Text:大村祐里子 エクストリームプレイヤー:ハルト
TOPIX
クリップオンストロボを使って魅力的な作品をつくりだしているプロ写真家に、私こと大村祐里子がインタビューをして、ライティング上達の極意を教えてもらっちゃおう! という連載企画。第6回目のプロ写真家は、エクストリームフォトグラファーの DB Nori こと渡部憲之さんです( 以下、ノリさん )。ダイナミックで躍動感があって、構図もバシっと決まっていて、思わず「 カッコイイ! 」と唸ってしまうキレッキレのお写真を撮られている方です。今回はノリさんがよく訪れるという、板橋にある TRINITY B3 PARK にて取材を敢行させていただきました。何気にこの連載でポートレート以外のジャンルを取り上げるのは初めてです! 今までとは全く違う内容になること間違いなし!!( 大村 ) |
Index
■ 写真家:渡部憲之( わたべのりゆき ) ■ さっそくバンクで撮影! ■ ミニランプでの撮影 ■ プレイヤーから写真家へ ■ DB Nori 流写真勉強術 ■ 機材とアドバイス ■ DB Nori の今後 |
■ 写真家:渡部憲之( わたべのりゆき )
写真家:渡部憲之( わたべのりゆき )氏通称 DB nori。元プロインラインスケーター。インラインスケートで日本で初めてハンドレールをメイクしたレジェンド。現役時代はストリートのスペシャルチーム「 Dister Blend 」に在籍し、ムラサキスポーツ、K2、mach10 などのサポートを受け、プロライダーとして活動をしていた。現在はフォトグラファーに転身し、エクストリームスポーツ、ポートレート撮影を中心に雑誌、イベント、講師として活躍している。 |
ノリさんは、過去に一度だけお目にかかったことがありました。そのときの印象は「 物静か 」で「 まじめ 」な方。華やかなエクストリームスポーツを撮影される方はイケイケにちがいないと考えていた自分を恥ずかしく思ったことを強く覚えています。その後 facebook でノリさんとお友達になって、タイムラインを拝見させていただいているうちに、エクストリームの他に、ポートレートやお花、景色、お料理など、さまざまなジャンルの撮影をこなす方だということもわかってきました。元プレイヤーだった方が、一体どういう経緯でフォトグラファーに転向し、現役プレイヤーを撮っているのか、その心境に迫ってみたいと思います。
■ DB Nori さん登場!
今回は東京は板橋にある「 TRINITY B3 PARK 」さんにやってきましたー! すごーい! 広い! 天井が高くて、アスレチックみたい! ん? なんか向こうに高倉健さんっぽい人と美少年がいるっ! やだ、健さんの方がもしかしてノリさんじゃないかしら。もしかしなくてもノリさんよね。
こんにちは DB Nori こと渡部憲之です。
こ、こんにちは! えと、あの、前に一度お目にかかったことがあるんですが、覚えていらっしゃいますか?
(笑)もちろん覚えていますよ。大村さんですよね。お久しぶりです。それとこちらが今日の被写体をしてくれるスケートボードプレイヤーの「 ハルト 」君です。ハルトはまだ若いですけどムラサキスポーツ上野本店スケートボード契約ライダーなんですよ。
星野玄翔ですっ! よろしくお願いします。
よっ、よろしくお願いします。ふ、普段、や、ヤング( 死語?w )と触れ合うことがない熟女の大村ですっ!
落ち着いた雰囲気のノリさんと、やんちゃな外見とは裏腹に、しっかり者のハルト君。二人の会話から、お互いに信頼し合っている関係であることが感じとれました。
■ さっそくバンクで撮影!
では、はじめはバンク( 直線の斜面 )で撮影をしましょうか。ハルトには「 オーリー 」というスケートボードに乗りながらジャンプするポピュラーな技を決めてもらいます。
冒頭の「 へ~ 」はわたし(笑) 1回目のトライで、ハルト君は自分の技に納得いかない様子。ハルト君の演技に目が奪われますけど、ここはノリさんの動作に注目してくださいね。
ハルト君、ずいぶん遠くにスタンバイしていますね……! って、すごい速さで滑ってきて、飛んだー! 高いー! そしてストロボ光ったー!(汗) しかもノリさん、ノーファインダー! スピード感がありすぎてなにがなにやらさっぱりわかりません!
わー! お写真が超かっこいい! 躍動感がすごい! ジャンプしてるハルト君の床に落ちた影もカッコイイ! それにハルト君が背景に埋没しないで浮き上がって見える! ノリさん、何をどうしたらこんな魅力的な画が撮れるんですか?
スケートボードに乗りながらジャンプするオーリーと言う技を撮るときは、ジャンプの頂点で撮るといいんです。一言で頂点と言っても、プレイヤーの力みがあると良い画にならないので、力が抜けて手が自然と下がった状態を狙います。その状態を「 ピーク 」と言ってもっとも魅力的な画になる瞬間です。ハルトが背景から浮き上がって見えるのはストロボのおかげですよ。
えっ……。そんな微妙な瞬間を狙ってるんですかっ! 連写じゃなく完全な狙い撃ちで、しかもノーファインダーでっ!
連写では本当の意味での良い画は撮れませんよね。プレイヤーも最高の技を出そうと頑張ってくれているんですから、撮る方もその瞬間を狙って撮らないと。それとノーファインダーというかライブビューで撮るのは、プレイヤーの全体の動きを見ていないとピークを見逃してしまうからです。それと撮影中はいつスケートの板が飛んでくるかわかりません。アクシデントを回避するために、ライブビューにして、視野を広く持つようにしています。
な、なるほど。それってやっぱりノリさんがエクストリームスポーツを極めてらっしゃったからわかることですよね。
そうですね、理屈でどうこうじゃなくて、実際に自分でやってたから瞬間のタイミングは体が覚えているというか……。
使っているレンズはもしかして標準域の単焦点レンズですね? エクストリームを撮るときは広角レンズなのかと思ってました。
カメラはフジの X-T2。今回のレンズは広角ズームの XF 10-24mm F4 を使ってます。取材ということでどんな要求があるかわからなかったので広角ズームを用意しましたが、普段は XF 56mm F1.2、単焦点レンズを使っています。僕は普段は広角や望遠レンズは使わないんですよ。広角レンズよりも遠近の圧縮効果がある XF 56mm F1.2 くらいの画角が自分としては使いやすいんです。望遠レンズは画角からプレイヤーが行方不明になってしまうのであまり使いません(笑)
シャッタースピードはどのくらいにしているのですか?
今撮ったのは 1/60 秒ですね。このくらいのスピードの方が適度にブレるので、躍動感が出るんです。
ところでノリさんのストロボの使い方は変わってますね。1灯を固定で、もう1灯を手持ちで……。
軽めの一脚に装着したクリップオン・ストロボ Nissin Di700A がメインライトです。これを手で持って被写体を照らすわけです。もうひとつ Di700A をライトスタンドに付けて固定しているのが補助光ですね。どちらもカメラから離してい発光させるんですけど、カメラのホットシューに付けたストロボコマンダー Nissin Air1 で遠隔操作できます。
えっ? 一脚に付けた手持ちのストロボがメインなんですか!
ええ。この画ではプレイヤーを斜め上から照らして床に影を出しています。その影が広がりすぎないように、照射角度は 50mm に絞っています。一脚+クリップオン・ストロボを手持ちで使うと、高さも振り幅も自由自在に変えられるので、動きの速いプレイヤーをピンポイントで狙って照らせるんです。
なるほど! ジャンプの正確な高さを予想するのは大変だから、自在に動かせる一脚+クリップオン・ストロボなんですね! ま、まるで魔法の杖じゃないですかっ!
(笑) そうそう、一脚+クリップオン・ストロボは、CP+ のニッシンのステージで大村さんが持ってた魔法の杖をヒントにしたんですよ(笑)
!!!!! もう一人の私、Di700A ちゃん冥利に尽きます~。ありがとうございます! ところで、床にプレイヤーの影を落とすために斜め上から照射させたということですが、それはどうしてですか?
それはこの場所の定常光の位置を意識したからです。プレイヤーがジャンプする位置の真上に室内照明があるので、影の位置が床に落ちていないと不自然ですよね。だけどプレイヤーは体を「 く 」の字にして飛び込んでくるので真上からストロボを照射するとプレイヤーの体が暗くなってしまいます。それで斜め上から照射しました。もうひとつの理由はシューズやデッキの裏を明るくしたかったからです。
シューズやデッキの裏を? どうしてですか?
エクストリームスポーツの撮影では、ギア( シューズやデッキなど、パーツのこと )の商品名やブランド名を写すことが大切なんです。ギアにプレイヤーの個性が宿ると考えているからでもあるし、プロプレイヤーになれば使うギアはスポンサーからの支給品でもありますしね。そういう意味でエクストリームフォトはモノが中心になることが多いんです。BMX の撮影でも、クランク( 自転車の中心 )にピントを持っていったりします。
エクストリームスポーツの撮影は、大胆華麗な技をザックリと切り取っていくものなのかと思っていましたが、実際はこんな細かい配慮に満ちた世界なのですね。わたし、勘違いしてました。何事も体験してみるものですね。ところで、メインライトの一脚+クリップオン・ストロボとは別に、もう1灯はライトスタンドに固定して設置されていますが、これはどういうライトでしょう。
これは補助光です。飛んでくるプレイヤーに対して斜め前からスタンドに立てて照射し、プレイヤーの顔を明るく照らします。照射角度はメインライトより広い範囲を照らせるように 35mm です。
なぜ斜め前に置いてるんですか?
正面だとプレイヤーの進路の邪魔になります。邪魔をしないで、かつ、プレイヤーの顔を明るくするためには、どこにストロボを置いたらいいのかを研究した結果がこの位置ですね。
今度のカットは先ほどと比べて、雰囲気が変わりましたね。
今度は、デッキが回る方向に合わせて、シャッターを切る瞬間にカメラをぐるりと回転させてみました。さっきよりも躍動感のある写真になったでしょ?
えっ!? 1/60 という比較的に遅いシャッタースピードでカメラを回転させたらブレブレになるんじゃ……そうかっ! ストロボの閃光でプレイヤーを止めてるんですねっ! ストロボが当たっている部分は止まって、それ以外がブレて、ハルト君の技のダイナミックさが強調されてます!
カメラを回してブレさせることで躍動感やスピード感が出ますが、さっきも言ったようにブランド名などははっきり写したい。そういうときにクリップオン・ストロボがあれば被写体を止めて見せられるのでいいですよ。
しかし、カメラとクリップオン・ストロボの二刀流とか、ノーファインダーとか、連写しないとか、撮る瞬間にカメラを回転させるとか、全部神業ですね。開いた口がふさがりませんわ。
経験積んでますからね(笑)
■ ミニランプでの撮影
バンクでの撮影をアッサリと終え、次の撮影ポイントへ。プレイヤーさんは何回も滑ると疲れるし、テンションも下がってきてしまうので、撮影はできる限り短時間で終わらせることが大切だとか。ノリさんは、2本くらい滑ってもらってそこでテンポを掴み、3本目くらいで仕留める、という感じでいつも撮影されているそうです。常にプレイヤーさんを気遣う姿勢。さすがや。わたしも見習わなきゃ!
次はミニランプ( 半円型の傾斜 )で撮影をしたいと思います。
上から撮るんですね。私も登っちゃおっと……わっ、上から見るとすごく急な傾斜ですね! 気をぬくと転げ落ちそう。
おお! さきほどとは違った角度からのカット! ハルト君の技のダイナミックさと力強さに溢れた画に仕上がっていますね! ストロボの配置もさきほどと似ていますが……これも手持ちの一脚+クリップオン・ストロボがメインライトですか?
そうです。左手で持っている一脚+クリップオン・ストロボがプレイヤーを明るく照らすためのメイン光ですね。ミニランプではバンクと違ってプレイヤーが上方向にジャンプしていくので、撮影位置は被写体にずっと近づけます。そのために光量は 1/32 さきほどよりも落としています。もう1灯のストロボはミニランプの下にライトスタンドで固定します。このライトは、プレイヤーの輪郭を強調するためのものなので、プレイヤーの斜め後ろに配置しています。斜めから照らすとプレイヤーはより立体的に写ります。この斜め後ろからのライトとクロスする位置からメインライトを照らします。
なるほどです!
ところで大村さん、せっかくですから、ちょっとスケートボードに乗って滑ってみます?
え、え、えー! ちょ! ちょ! あっ、いや、まっ、少しくらいなら私の華麗な舞を……。
いや、踊るわけじゃないんですけど。しっかしへっぴり腰だなぁ(笑)
■ プレイヤーから写真家へ
さて、撮影はひと段落したので、今度はノリさんの人となりについてお伺いしたいと思います。ノリさんは元々インラインスケートのプレイヤーさんだったということですが、そもそもどんなきっかけでインラインスケートに出会ったのですか?
中学生のときアイスホッケーをやっていたんです。そのオフトレーニングでインラインスケートを履いたりはしていたんですけど、そのときはアイススケートの練習用としか考えてなかったんですね。それで 20 歳くらいのときインラインスケートのスラロームをやっていた方に誘われて、アグレッシブインラインスケートというのを始めたんです。練習用じゃなく競技として向き合ってみると奥の深さが見えてきて。それがきっかけですね。
アグレッシブインラインスケート。初めて聞きました。
当時の日本には「 アグレッシブインラインスケート 」っていうジャンルがなかったんです。それで、「 俺これだったら飯食える 」って勘違いしちゃったんです(笑) そのとき一般企業に就職していたんですけど、会社をやめて、そっちの道に入りました。
アグレッシブですね……(笑)
でしょ(笑) 競技もアグレッシブなんですよ。階段の手すりをインラインスケートで滑ったりするんです。手すりを滑ったのは僕が日本で初めて。手摺りから落ちて骨折して入院したのも僕が日本で初めて(笑)
レジェンドがすぎます。それがまたどうして写真家に?
ムラサキスポーツさんの契約ライダーになった後、現役でインラインスケートをやりながら、スポーツ店にも立ったりしてましてね。あるときスケートパークがあるお店に配属になったんですけど、そこでパークに来る子供たちを見ていて「 彼らに何か残してあげたいな 」という気持ちになったんです。じゃあ、頑張っている姿を写真におさめてあげたらどうだろうと思って初めてカメラを持ったんです。それが5年くらい前かな。
あれ、最近の話なんですね!ということはそのあと独学で写真を勉強なさったのですか?
そうです。そこから、まずはエクストリームの写真を研究するために海外のエクストリームフォトをたくさん見ました。そのどれもが被写体、背景ともに整理されていてかっこよく、惹かれるものが多いんです。やっぱり、元プレイヤーなので「 写真を通じてエクストリームスポーツを知ってほしい 」という気持ちが強くて。そのためには多くの人に写真を見てもらう必要があるけれど、海外のエクストリーム写真のように「 写真として綺麗 」じゃないと見てもらえないんだろうなと思ったんです。そこから、まずきちんと写真を撮れるようになるにはどうしたいいのか考え始めたんです。
■ DB Nori 流写真勉強術
最近は写真学校やスタジオやアシスタントをせずにカメラマンを目指す方も多いので、ノリさん流の写真勉強術をぜひお聞かせください。
僕はカメラ歴が浅いから、世に出たら絶対バカにされるって思ったんです。だから短時間で人の何十倍も勉強しないとなって。まず、インターネットや本、あらゆるものを見ました。海外のサイトだと 500px をたくさん見ましたし、カメラ雑誌に出ている方々の写真もたくさん見ました。やっぱり他人の写真、それも優れた画を観ることって大切だと思うんですよね。
勉強熱心! 撮られた写真もノリさんの真面目さが滲み出ちゃってますもんね。
そのうち「 撮れば撮るだけうまくなるよ 」という言葉は嘘だと気がついたんです。考えて、目的を持って撮らないと絶対にうまくならないって。それに気がついてからは「 1日1つ、目的を持って撮影をする 」ことを実践するようになりました。50mm 単焦点一本、絞りは F5.6 固定ですべてを撮りきるとか、必ず目的を持って撮影をしています。
ノリさんの facebook を拝見して思いましたけど、ノリさんはエクストリームスポーツのイメージが強いですが、実は、他にも、ポートレートや風景、いろいろなジャンルの撮影もされているんですよね。これにも何か理由があるんですか?
ポートレートを撮ればエクストリーム撮影のとき被写体のことをもっと考えるようになるし、風景を撮れば背景まできちんと考えられるようになる。すべてはつながっていくじゃないですか。ジャンルを1つに絞るとそれしか見えなくなっちゃうんですよね。僕はポートレートや風景を撮るのがうまい人になりたいんじゃなくて「 写真 」がうまい人になりたいんです。あと、いろいろなものを撮れた方が仕事になりますし。
まったく同感です。プロになってからわたしもそれを強く感じるようになりました。ある程度の技術があればクライアントの要求には答えられるのですが、付加価値というのは、それ以上に「 提案 」ができるかどうかだと思うんです。
その提案は、他の視点を持っていないと絶対にないとできないんですよね。だから常に複合的な視点で勉強していたいなって思います。それと、ノリさんは「 気づく力 」に優れた人ですね。
気づく力?
カメラマンになるために必要なこと、自分に足りないものを、人に教えられるのではなく、全部自分で気がついていっているのが、すごいなあと。普通、そういうものに人は自発的に気がつかないものです。わたしはアシスタントをするようになってから、その「 気づく力 」こそが成長の速度を左右すると強く感じるようになりました。よく師匠に「 ゆり茶はもっと気づけるようにならないとダメだ 」って言われてますもん(笑)
その力って、写真がどのくらい好きかに左右されると思うんですよね。好きだからこそ、早く成長したいでしょ。
ノリさんは本当に写真がお好きなんですね。
すっげ~好きですね(笑) なんでこんなに好きなのかわからないくらい好きです。シャッターを押せない日が怖くて仕方ないですね。
恋は盲目(笑) 恋愛観もそんな感じですか?
いや、恋愛面では冷めてます……。
えー(笑)
■ 機材とアドバイス
今日はクリップオンストロボの Di700A を使われていましたが、どうしてクリップオンストロボを使われるようになったのですか?
エクストリームを撮り始めた頃は、ストロボなしで撮ってたんです。必要な意味もわからなかったですしね。で、夜エクストリームを撮ってみたんですけど、高感度で撮影をしたら絵がザラザラで見れたもんじゃなくて。そこで初めてストロボが必要と知ったんです。そこから、ストロボについて調べ始めたんです。
ここでもノリさんの勉強熱心さが発揮されていますね。
調べるうちに、ストロボには、たとえば高速で羽ばたいているトンボの羽を止めたりと、「 動きの速いものを止める 」という効果があると知ったんです。ストロボを発光することで「 動きを止める 」ことに惹かれました。
動きの速いエクストリームスポーツにはぴったりですね。
でもいきなりエクストリームを撮るのは難しかったので、まずは家のテーブルでスーパーボールを転がしながら、様々な閃光速度を試して練習しました。駒に数字を書いてまわして撮ったりもしていましたね。うまく撮れると、数字が止まって見えるでしょ。
地味な練習方法! だけどそういった地道な練習がいまのノリさんの基礎をつくっているのですね。今回使用したストロボ、Di700A はいかがでしたか。
Nissin Di700A と、コマンダーの Air1 は普段から使わせていただいています。Di700A は、個人的に背面パネルが見やすいのが気に入っています。他のストロボは、オレンジの背景に黒文字とか、すごく見づらいんですね。でも Di700A は LED の色で今の設定がわかる。緑のランプがついているからマニュアル、とか、紫のランプだからスレーブだなとか、遠くからでも判断することができるから、安心して使えます。
コマンダーの Air1 についてはいかがでしょう。
Air1 はね、現場で知らない人に「 それなに? 」ってすっごい聞かれるんですよ(笑) Air1 は光量や照射角度がゲージで表示されるので、直感的にわかりやすく、人に説明するときも楽でありがたいです。これ、小・中学生でも理解できるじゃないですか。だから、Air1 はストロボの教材としても優れているなと僕は思います。自分の撮影ワークショップでもよく使わせていただいています。
ノリさんから、アマチュアのクリップオン・ストロボユーザーへ、ライティングが上達するアドバイスをいただけますか。
ストロボを使ってるからうまく撮れるやーっていう感覚じゃなくて、自分に足りないものを見つけて使わないと宝の持ち腐れになっちゃうと思うんです。ストロボ使ってるからえらいぞおじさんになっちゃだめですね。ストロボをきちんと理解して、必要なときに必要なだけ使うことを心がけたら良いのではないでしょうか。
そうですねえ。多灯にしたから偉いみたいな風潮はおかしいですよね。シンプルなライティングできちんと撮れる人のほうが圧倒的に偉いんですけどね。(笑)
■ DB Nori の今後
今後されてみたい活動はありますか?
エクストリームの人たちをモデルにして、身近に撮れる速い動きの「 講習会 」を多くやっていきたいですね。速い動きを撮れる機会ってなかなかなくて……モータースポーツはサーキット行かないといけないし、バスケだと体育館の試合に行かないといけないでしょ。その講習会をやっていって、エクストリームスポーツの認知度を上げたいですね。そうすることが自分のいた世界への恩返しなのかなと。
今回拝見して思いましたけど、体験してわかることって多いですよね。ほんとうにいい勉強をさせていただきました。そういえば……最後になっちゃいましたけど、DB Nori さんの「 DB 」ってなんですか? ま、まさかドラゴン○ールのファンだとか……?
ドラゴ○ボールってよく言われますね(笑) 本当は、「 ディスターブレンド 」文句を言う奴の集まり、って意味です。僕、本当は結構辛口なんですよ。DB していいすか?(笑)
えー! 最後の最後に意外な発言ー!(汗)
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
大村祐里子
■ スケートボードプレイヤー ■
星野 玄翔(ほしの はると)