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柴田誠のフォトレポ
 シンガポールの写真&アート事情
  Singapore International
   Photography Festival 2014

Posted On 2014 11月 04
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アジア最大級の拠点として世界中から集まる写真とアート。メイン会場の一つ Festival Village at DECK

TOPIX

2014 年 10 月3日(金)~ 11 月 30 日(日)の約2カ月という長期間、シンガポールで開催されている写真展、第4回 Singapore International Photography Festival 2014。どのようなイベントで、どのような作品が紹介されているのか、シンガポールの写真&アート事情を、フォトジャーナリストの柴田誠が現地からお届けします。 by 編集部

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■ Singapore International Photography Festival 2014

シンガポールと言えば、香港と並ぶアジア経済の拠点のひとつ。もともと展示会やイベントの多い土地柄ではあるが、近年は投資の意味もあって、アートマーケットの拠点としても注目され始めている。

Singapore International Photography Festival 2014は、東京写真月間のようなスタイルのイベントで、市内のギャラリー、展示ホール等で写真に関する様々な展示やイベントがおこなわれている。空港のビジターセンターでも小冊子が置かれているなど、観光客向けにも PR されていた。メイン会場は、地下鉄の BRAS BASH 駅を中心とした地域で、Singapore Art Museum、National Museum of Singapore などの公的な美術館も展示会場となっている。

この辺りには、美術系の大学 LASALLE COLLEGE OF THE ART や総合大学 Singapore Management University( SMU )がある。また、日本の原宿のような賑やかなショッピング街 Bugis などもあって、若者が多い場所として知られている。そんなこともあって、多くの観光客や学生などが展示会場を訪れていた。

国際的な写真展を目指しているのだろう。作家名の後ろの国名を見ると、ドイツ、イギリス、中国など様々な国の名前があって、日本人作家の名前もいくつか目にすることができた。思いのほかシンガポールの写真家のものは少ない。作品は現代アート的なものが中心で、新しい表現に挑戦したものや、映像と写真組み合わせた作品などもあってバラエティに富んでいる。プリント作品は日本で展示されるようなサイズで、あまり大きくはないというのが特徴。ただし、作品はあくまで展示のみ。販売されている作品はなかった。

Singapore International Photography Festival 2014 のサイト

地図上の白い建物が展示会場になっている

National Museum of Singapore

ホールでの展示。展示室でも違う作品の展示が行われていた

交差点の角にあった CHAPEL GALLERY

CHAPEL GALLERY の内部。教会の壁面を展示スペースとして利用

コンテナを積み上げた Festival Village at DECK



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■ 関連したイベントや展示も各地で開催

Singapore International Photography Festival 2014 は会期が長いので、関連イベントも数多く開催されている。メイン会場の一つ、SAM@8Q の前に設けられた HPO( HOUSE OF PHOTOGRAPHY )では、暗室作業を紹介する催しが行われていたし、Festival Village at DECK ではほぼ毎週末にワークショップが開催されていた。また、各国からレビュアーが訪れたポートフォリオレビューにも多くの参加者があったという。約 20 分で 300SG$( 約 24,000 円 )と決して安くはないものだけに、写真に関する熱の高さが伺える。

さらに、Art Science Museum では 12 月 28 日まで写真展 Art & Science of PHOTOGRAPHY が、ミラノ発のアートの販売を目的にした MIA & D( Milan Imge Art & Design Fair )がマリーナベイサンズの展示ホールで開催されていた。

もともと広くはないシンガポール。Singapore International Photography Festival 2014 は、1日もあれば充分に見て回ることができるほどの狭い地域で開催されている。メイン会場は、東京で言えば新宿三丁目から新宿御苑までといった感じだ。しかし、移動にタクシーを使うほどの距離ではないため、暑い中をひたすら歩くしかないのが辛いところ。10 月中旬でも連日 30℃ を超え、ちょっと歩くだけで汗が噴き出してくる。真夏に逆戻りしたようだった。しかも、空港で手に入れた観光マップが簡略化されすぎていて、目的地のビル名がなかったり、あるはずの道がなかったりとあまり当てにできない。とにかく移動には苦労させられることを覚悟したほうがいい。そこここにある甜品店で涼をとりながら、余裕を持ってじっくり巡ってみるのが正しい観賞方法なのかもしれない。

コンテナ内部をギャラリースペースとして使用していた

展示会場の SAM@8Q と HOP

コンテナを利用した HOP では暗室のレクチャーが行われていた

地下鉄駅に掲げられていた Art & Science of PHOTOGRAPHY の巨大ポスター

美術系の大学 LASALLE COLLEGE OF THE ART

ミラノのアートフェア MIA & D( Milan Imge Art & Design Fair )

入場は招待者のみ。会場内はゆったりと見て回ることができた

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■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
柴田 誠 MAKOTO SHIBATA

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著者について
1964 年生まれ。2012 年春に 24 年間勤務した出版社を退社し、フリーのフォトジャーナリストとなる。その後、香港に個人事務所 CYBER DRAGON HKG LIMITED( 數碼龍珠( 香港 )有限公司 )を立ち上げ、フォトキナをはじめとする国内外のカメライベント、写真フェアなどを中心に取材活動を行い、香港をベースにして国内や海外のカメラ雑誌や ウェブマガジンに執筆している。ちなみに日本在住。出版社在籍中には、カメラ誌の製品担当者で組織する「 カメラ記者クラブ 」にも通算 16 年間在籍。編集者時代に培った幅広い人脈と豊富な経験を活かした活動をするとともに、「 日本の写真文化を海外へプロジェクト 」を主宰。業界の活性化と後進の指導にも積極的に取り組んでいる。中国のカメラ雑誌「 撮影之友 」の編集顧問も務める。日本写真家協会( JPS )会員、日本写真協会( PSJ )会員、日本香港協会( JHKS )会員。